バカな男

バカな男 14

昨日、あんなことがあって、きっとあいつは誤解してる。 でも一日たって冷静になってみると、あれでよかったのかもしれないと思える。酷い女だと思われてもいい。すぐに新しい彼氏を作ったと軽蔑されてもいい。悲しまれるより、憎まれた方がずっとい...
バカな男

バカな男 13

「月が綺麗だな。」あのメールが送られてきた日からずっと、同じような時間に道明寺からメールが送られてくる。 それはいつも短い文で、まるで独り言のようなもの。今日もまた寝る寸前に、 「おまえがNYで見た映画、日本にもやっと来たな。...
バカな男

バカな男 12

「あぁ、終わっちゃった。」自分の声があまりにも悲しげで、その事に少し驚いた。 道明寺をあの公園においてきたあと、どこをどう通って家までたどり着いたのか、はっきりと覚えていない。気づいたら、自分のマンションの部屋にいて、いつも通り夕飯...
バカな男

バカな男 11

牧野との約束の日曜日。意外にもあいつが指定してきた場所は美術館だった。美術館の入口に入っていくと、すでにあいつが待っていて俺を見つけると「これ」と言って1枚のチケットを渡してきた。「これ、見たかったの。付き合って。」それは、今、美術館で開...
バカな男

バカな男 10

牧野を腕の中に閉じこめた。NYでの逢瀬から4ヶ月。久しぶりのこいつの温もりと香りに包まれて、全身に安堵感が広がる。 さらに腕に力を入れてギュッと体を密着させようとした時、俺の膝下に牧野の蹴りがヒットした。 「痛てぇーっ。」 ...
バカな男

バカな男 9

俺は今、すげー後悔してる。帰国祝いと称していつものメンバーで飲んだあの日から10日あまり、毎日のようにため息をついている。何故かと言うと、『なんで俺はあいつの携帯番号を聞かなかったんだ』と悔やむ。 滋にでも聞けば教えてもらえるかも知...
バカな男

バカな男 8

いつものメンバーで飲んだあと、店の前で滋の車に一緒に乗り込もうとしてる牧野の肩を掴み、「牧野は俺が送る。」と言うと、牧野は戸惑ったような顔をしたが、俺は気付かねぇ振りをして、滋の車のドアを閉めた。 F3がニヤつきながら、俺の肩を叩き...
バカな男

バカな男 7

帰国祝いでいつものメンバーが店に集まった。あきらが選んだ店はラフな雰囲気の内装で、飲み物も自分でカウンターに頼みに行くというシステムだが、来ている客はさすがあきらが通う店だけあって、名の知れた2世たちが揃ってる。 金曜ということもあ...
バカな男

バカな男 6

20日後、俺は日本に帰国した。この若さで日本支社の支社長に就任したことで、ニュースにも大々的に報道され、話題になったが、徹底したマスコミ管理とクールな対応で、騒ぎも短期間に鎮まった。 これだけニュースになれば、牧野の耳にも俺の帰国の...
バカな男

バカな男 5

姉ちゃんの電話を通してあいつの本音を知ってから俺はすぐに動いた。 まずは社長であるババァにアポをとる。同じNYの同じ会社にいながら、直接会うのは久しぶりかもしれねぇ。 電話でも会議でもなく直接オフィスに出向きたいと言った俺に、...
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