出来ない女と、しない男

出来ない女と、しない男

出来ない女と、しない男 39(最終話)

あの日、三年ぶりに取った休みを牧野の家で過ごした。着いて早々に俺が『つくしさんと結婚したい。』と告げると、心底驚いた顔で固まった牧野の両親。 俺の素性について詳しく牧野から説明すると、ますます頭を抱えた二人だったが、あれから半年、す...
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出来ない女と、しない男 38

まさかババァが牧野に婚約指輪を渡すとは思っても見なかった。 でも、その指輪は俺が想像していたのよりはるかに安価なものに見える。 「牧野、指輪は俺が買う。だから、これじゃなく、おまえの好きなものを選べ。」そんな俺の言葉に、 ...
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出来ない女と、しない男 37

俺のため……? 「俺に会うためにこのエレベーターに乗ってるのか?」 「最初はそうじゃなかったけどっ……、でも今は…………、」 たぶん、牧野がこのエレベーターを使うようになったはじめの理由は俺の想像通りだろう。だけど、今は...
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出来ない女と、しない男 36

ババァの出現と突然のフライングプロポーズで、俺もゆっくりしていられなくなった。早く牧野に合う指輪を用意して、自分の口から結婚を切り出したい。 そんな俺は、夜景の綺麗なレストランを予約して、最高のワインで乾杯をし、一生に残るプロポーズ...
出来ない女と、しない男

出来ない女と、しない男 35

ババァが帰ったあと、大河原邸に残された俺たちに、 「つくし、あたしも叔母さんと出掛けてくるから。今日はそのまま実家に泊まるから、あとはよろしくね。」 そう言って滋が出ていった。 「道明寺、ご飯は?」 「あ?……そう...
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出来ない女と、しない男 34

チャイムもせず大急ぎで大河原邸に入ると、リビングのドアが開けっぱなしになっていて、そこに牧野の姿が見えた。そして、牧野と向き合っているのはババァ。 「牧野っ!」 「……道明寺?」 俺の呼ぶ声に驚いて振り向く牧野。俺はそん...
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出来ない女と、しない男 33

「大事な人です。」 彼女のその台詞に、今日自分がここに来た意味を思い知らされたような気がした。 司には母親としてしてやるべきことの半分もしてこなかった自分。年頃の司が女性に興味を持たないのも、そういう愛情ある育てかたをしてこな...
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出来ない女と、しない男 32

半年ぶりの帰国だった。来週の株主総会に合わせての帰国だが、理由はそれだけではない。 最近、司の周りが騒がしい。彼女に関する噂でマスコミの取材も増え、それはNYにまで飛び火してきている。 当の本人は、隠す気配もなく「好きな女がい...
出来ない女と、しない男

出来ない女と、しない男 31

道明寺との付き合いが深くなればなるほど、雲の上の存在のように感じるこの人。生まれた家柄も育った環境も天と地ほどの差があるあたしたちなのに、そんなことなんてなんの障害もないようにあたしの世界に入り込んでくる。 そんな道明寺が昨夜、電話...
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出来ない女と、しない男 30

温泉宿を出たところで俺の専用車が止まっているのが見えた。いつものように運転手が後部座席の扉を開けている。車の中に牧野を押し込んで、俺も続けて入ると、ゆっくりと車が動き出した。 「西田さんは?」しばらく車が走り出したあと牧野が俺に聞い...
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