My teacher 17

My teacher

牧野の部屋のベルを鳴らすと、数秒後に
「はい?」
と、ドアの向こうから声がした。

「俺だ。」

「道明寺先生っ?!」

ガチャっと鍵が開く音がして、牧野が驚いた顔でドアを開けた。

「どうしたんですか?」

「おまえに、話があって。」

「話?」

聞き返す牧野の肩を押して、俺は玄関の中へと入った。
そして、キョトンと見上げるこいつに、
もう隠す事が限界に達した俺の気持ちをぶつける。

「牧野、俺たち付き合わねーか?」

「…え?」

「おまえがいつも俺の頭ん中に居座って、終いには夢にまで出てきやがって離れねぇんだよ。
だから、…責任取れよ。」
言葉は俺様かもしれねーけど、こんなに甘く囁いたのは初めてだ。

「はぁ?責任って…」
不服そうに俺を見る牧野。
そのこいつの肩をもう一度押して、玄関の壁へと追い込むと、俺はもっと甘い言葉を言った。

「頭ん中じゃなく、俺の目の前にいて欲しい。
好きだ。付き合ってくれ。」

「……。」

至近距離まで近付く俺に、恥ずかしそうに下を向いた牧野。
俺からはこいつの頭頂部しか見えなくて、
その頭頂部に向かって言ってやる。

「返事しろよ。」

「…うん。」

「ん?」

「…お願い、します。」

消え入りそうな声で牧野が言う。

「聞こえねぇ、顔上げてもう一回。」

すると、俺の胸を押して無言で抗議してくるこいつが堪らなく可愛い。

「プッ…なぁ牧野、こっち向けって。」

「ヤダっ、」

「耳、すげぇ真っ赤。」

「もうっ、見ないでっ」

俺以上に緊張して、俺以上に照れているこいつを見ていると、段々と余裕が出てエスカレートしていく感情。
だから、その前にもう一度確かめたい。

「牧野、もう一回聞くぞ。
俺と付き合ってくれるか?」

その問いに、ゆっくりと顔を上げた牧野が俺を見てコクンと頷く。

「オッケー。じゃあ、恋人同士がしてもいい事、するぞ。」
俺はそう言って、壁に追い詰めた牧野の唇を優しく塞いだ。

…………

キス……されてる。
ようやく思考と現実が重なったあたしは、人生初のキスに身体が固まる。

そんなあたしの頭に優しく手を置き、もう片方の手であたしの顎を持ち上げた道明寺先生。
格段にキスがしやすくなった体勢に、更に強く唇が重なった。

狭い玄関が道明寺先生の香りに包まれる。
なんの香水だろう。
甘すぎず、爽やかな香りが心地よくて、緊張が解けていく。

そして、唇がゆっくり離され道明寺先生が言った。

「やっぱ、耳まですげぇ真っ赤。」

「っ!もうっ、」

恥ずかしさで顔が火照っている自覚はある。
だから、道明寺先生の胸を押し返して逃げようとすると、
そのあたしの手を掴み、

「逃げんなって。すげぇ可愛い。」
と、更に赤くなるような言葉を吐くこの人。

もう、恋愛初心者のあたしには限界で、
手のひらでパタパタと熱くなった顔を煽ぎながら、
「信じらんない、もう。」
と、呟くあたし。

と、その時
道明寺先生の携帯が小さく鳴り響く。

ズボンのポケットからそれを取り出し、相手を確認した道明寺先生は、
「ダチからだ。」
と言って電話に出る。

「あきら、どうした?
……ああ、そうか。被害は?……ああ、俺も今帰るところだ。…分かった、サンキュー。」

そう言って電話を切った道明寺先生が、あたしに、
「連続強盗のチンピラが捕まったそうだ。」
と、言う。

「えっ、ほんと?」

「ああ。巡回に出てた私服警官に現行犯逮捕されたって。」

「あー、そう。良かった。」

このところ何件も続いていた嫌な事件がようやく解決した。
今日、巡回に出ていた教職員もホッとするだろう。
そんな同僚たちを思い浮かべながら、

「これで安心ですね、生徒たちに被害が出なくてほんと良かったです。」
と、言うと、

そんなあたしに、道明寺先生は腕を組みながら呆れた顔で言う。

「すぐ教師に戻るのな、おまえは。」

「へ?」

「今度から2人の時は仕事の話しは無しだな。」

「…なんでですかー。」

教師同士なんだから、仕事の話しは無しなんてあり得ない。
そう思い眉間に皺を寄せるあたしに、道明寺先生は携帯をポケットにしまいながら

「教師モードの牧野もいーけど、さっきまでのおまえの方が俺的には好物。」
と言って、再び壁にあたしを追い込むこの人。

そして、固まるあたしの耳元で、
「もう一回、耳まで赤くしてやろーか?」
と、甘く囁いた。

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コメント

  1. 瑛里 より:

    こんばんは!
    司…俺様で押せ押せ。(きゅん)
    つくしは俺様で攻められてタジタジ。
    電話に邪魔されて、つくしがすぐ教師モードに戻っちゃうのが不満な司。
    もっと攻めちゃえ!!司!!
    っと司応援隊です(笑)
    続きも楽しみにしております♪

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