限りなくゼロ

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限りなくゼロ 22(最終話)

牧野の部屋で一夜を過ごした次の日の夜、俺はNYへと帰るジェット機の中にいた。 あいつと離れるのは辛い。だけど、俺は心に決めた。 『これから先の人生は牧野と共に過ごす。』 もう待つ必要もないし、それだけの準備はしてきたつも...
限りなくゼロ

限りなくゼロ 21

4年前がどうのこうの言ってる訳じゃねぇ。あの時だって、すげー感動した覚えがあるけど、ただ、今日は……それ以上だった。 牧野のマンションで4年ぶりに愛し合った俺たち。あの時より確実に雰囲気も身体も女らしさを増した牧野。そんなこいつに、...
限りなくゼロ

限りなくゼロ 20

二人とも無言のまま歩き続け、表通りから脇道に入ったところで牧野が口を開いた。 「いつ帰ってきたの?」 「今日だ。」 「そうなんだ。知らせてくれればよかったのに。仕事で?」 「いや。…………さっきのあいつ誰だよ。」 ...
限りなくゼロ

限りなくゼロ 19

いつもより二時間も早くオフィスに着いた俺を迎えたのは西田だった。 「おはようございます。ジェットの用意は出来ております。」 早朝、理由も言わずただ『日本に行くから手配してくれ』と伝えた俺に、西田は忠実に動いてくれていた。 ...
限りなくゼロ

限りなくゼロ 18

俺たちは、出会って5年目にして、ようやく結ばれた。 俺の強引な片想いから始まったこの恋は、いつしか実を結び互いを想うように変化したが、ここまで来るのに、あまりにも長かった。 そして、やっと巡ってきたこの機会にも俺は躊躇せずには...
限りなくゼロ

限りなくゼロ 17

大学4年目はNYに行くと決めた俺。残された時間は1か月もなかった。 ここ数日はババァの帰国と重なり、唯一牧野と過ごせる大学のカフェテリアに足を運ぶことが出来ていなかった俺は、久しぶりに昼休憩に顔を出した。 いつもの場所にやつら...
限りなくゼロ

限りなくゼロ 16

記憶を取り戻して1ヶ月半が立とうとしていた頃、ババァがNYから一時帰国した。ババァに会うのは半年ぶりだ。 「記憶が戻ったそうね。」 そう言われて、はじめてババァに報告してなかったことに気付く。 「ああ。思い出した。」 ...
限りなくゼロ

限りなくゼロ 15

「また、牧野らしいとんでもない目標を立てちまったな。」 「でも、そうさせたのは道明寺さんのせいでもありますよ。」 「そうだな。司が牧野のことを忘れてほっとくから、牧野は勉強一筋になったわけだろ?」 「そうそう。男なんて信...
限りなくゼロ

限りなくゼロ 14

ボロいアパートの前。昔よりは良くなったが、相変わらず貧乏は変わらねぇらしい。 両親は牧野の高校卒業とともに、田舎に戻って働きはじめ、弟は都内の全寮制高校に入っている。ということは、牧野は今は独り暮らしだ。 10時を過ぎたこの時...
限りなくゼロ

限りなくゼロ 13

約束通り、類の家に来た俺。久しぶりに訪れたそこは、懐かしい香りがした。昔、この屋敷でF4とかくれんぼをしたり、カードゲームをした記憶が甦ってくる。 今日、もしかしたら俺たちの関係は変わるかもしれねえ。この屋敷に招かれるのも最後かもし...
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