ビターな二人 ビターな二人 27 「道明寺 幸」 「はい。」 学校の体育館に響く声。校長に名前を呼ばれ、壇上に上がり証書を受け取ると、保護者席に目を移す。 そこには、並んで座り俺を見つめるパパとママの姿。今日、俺は中学校を卒業する。 1年前、正式に... 2021.06.03 ビターな二人
ビターな二人 ビターな二人 26 道明寺と暮らす事に、正直、不安がないと言えば嘘になる。生まれた環境があまりにも違いすぎるし、価値観だって大幅にズレている。好きという気持ちだけで、乗り切れる事だろうか。 そんな不安は、一緒に暮らしてみて杞憂だったという事が分かった。... 2021.06.01 ビターな二人
ビターな二人 ビターな二人 25 3人で暮らすと決めたら、やる事は山ほどある。まずは家探しだ。 「邸から出るの?」と聞く牧野に俺は即答する。 「ああ。3人だけで普通の家族のように暮らしたい。」 邸から俺が出れば、ババァやタマは口にはしないけれど、寂しがる... 2021.05.29 ビターな二人
ビターな二人 ビターな二人 24 その後、ママと二人でパパの帰りを待っていたけれど、時計の針が23時を過ぎてもパパは帰ってきていない。 途中、ママに電話があり、「終わらせなきゃなんねぇ仕事があって、すこし遅くなる。」と、連絡がきたが、果たして今日中に帰ってくるのだろ... 2021.05.27 ビターな二人
ビターな二人 ビターな二人 23 美作さんのマンションで1人で待っていると、1時間後に幸が西田さんに連れられてやってきた。 「おー、すげぇ部屋!」 テンション高めの我が子を見て、あたしも緊張がほぐれていく。 「お騒がせしてすみません。」西田さんに頭を下げ... 2021.05.24 ビターな二人
ビターな二人 ビターな二人 22 旅行を終え、道明寺の車が邸に近づくにつれ、何やら辺りが騒がしいのに気付く。 いつもは見かけないような大きなバンが数台邸の側に駐車している。 道明寺も異変に気付いたようで、いつも使っている門を素通りした後、あたしに言った。 ... 2021.05.22 ビターな二人
ビターな二人 ビターな二人 21 「ピルで妊娠を予防するような相手がいるのかよっ。」 道明寺が怒ったように言うその言葉を、すぐに理解できないあたしは頭で何度も復唱する。すると、待ちきれなくなった道明寺が、あたしの身体を引き上げ乱れた布団の上に座らせる。 つい数... 2021.05.11 ビターな二人
ビターな二人 ビターな二人 20 「あたしも、ずっと好きだったよ。」 牧野から発せられた言葉。俺と同じように、『ずっと』という所を強調してくれるこいつに、想いが溢れ出す。 牧野がくれた触れるだけのキスじゃ全然足りなくて、隣に座るこいつを引き寄せて、最初から激し... 2021.05.06 ビターな二人
ビターな二人 ビターな二人 19 お風呂から戻ってくると、もうすっかり外は暗くなっていた。20時には花火が打ち上げられる。 「腹減った。」道明寺がそう呟くのと同時に、部屋がノックされ食事の用意が始まった。 和食の豪華な御膳とビール。旅の締めには最高のご馳走。向... 2021.05.04 ビターな二人
ビターな二人 ビターな二人 18 道明寺が予約してくれた宿は、観光地から少し離れた静かな温泉地。家族連れというよりも、熟年のご夫婦や若いカップルが多く見られる。 あたしたちも例外ではないと思われたのか、宿の受付で荷物を預ける際、あたしの事を「奥さま」と呼ぶスタッフ。... 2021.05.02 ビターな二人