僕らの時間 16

僕らの時間
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『僕らが18歳の夏』

日曜の夜、ダイニングで夕食をとっていると、

「奥様、少し宜しいですか?」

と、タマがババァに声をかけた。

「どうしたの?」

「毎年頂いている夏の休暇についてなのですが、」

「ああ、そうね、日程は決まったの?」

「はい、来月の三連休に合わせて頂いても宜しいでしょうか?」

「来月ね、分かったわ。」

タマは毎年夏になると休暇をとって京都の友人に会いに行く。

1週間でも1ヶ月でも好きな時期に好きなだけ、休暇を取って構わないとババァは言っているのに、タマは1年のうち夏の時期の3日ほどしかとらない。

そしてその休暇には必ず、一緒に連れていく相手がいる。

それが…………つくしだ。

「つくしちゃんの予定は聞いたの?」

「はい。つくしもその三連休で良いと言ってますので、奥様さえ良ければ、」

「私は大丈夫だけど、あとは司ね。

タマもつくしちゃんも居ない間、1人で生きていけるかしら?」

そう言って、ババァが俺をからかうように見る。

いつからだったか、タマの京都旅行につくしがお供するのが恒例となった。

年齢差60近い2人なのに、なぜかウマが合う。

タマが休暇でいない間は、テキトーに外で食事を済ませる事が多いのだが、その食事相手としてちょうど良いつくしも不在となれば、ババァが心配してからかうのも無理は無い。

「あ?生きていけるに決まってるだろ。

うるせぇ奴らがいなくて、むしろ伸び伸びできる。」

と、ババァに強がって言ってみても、

正直、恋人であるつくしに3日も会えないのは寂しい。

どうやって過ごそうか……と、思考を巡らせた時、

タマが俺に向かって言った。

「坊ちゃんも一緒に行きませんか?」

「…あ?」

「忙しいですか?」

つくしとタマの恒例の旅行に誘われるとは思ってもみなかったから、返事に戸惑っていると、

「嫌ならいいんですけどね。」

と、タマが言う。

「い、嫌じゃねーけどっ」

慌てて否定すると、

「司なんて連れていったら邪魔よ。

せっかくの休暇なのに、司のわがままに付き合わされて休めないわ。」

と、ババァが口を挟んでくる。

「そうですかね…。坊ちゃん、どうします?」

タマにもう一度聞かれた俺は、行きたい気持ちを全力で押し殺しながら、それでもこのチャンスを逃したくないと、

「まぁ、どうしても一緒に…ってタマが言うなら仕方ねーな。

タマも年寄りだし、俺が荷物持ちでもしてやるしかねーだろ。」

と、わざとぶっきらぼうに言ってやる。

すると、そんな俺に、

「つくしがいいと言ったらですけどね。」

と、タマがにやけながら言って、食後のコーヒーを注いで行った。

……………………

夕食を終えてお風呂からあがると、ママが

「司くんが来てるわよ。部屋に上がって待ってるわ。」

と、あたしにオレンジジュースが入ったグラスを2つ持たせて言った。

こんな遅い時間にどうしたんだろう…。

そう思いながら、階段をあがり部屋に行くと、

あたしのベッドに寝転がって進の漫画を読んでいる道明寺。

「どうしたの?」

オレンジジュースを机に置きながらそう聞くと、漫画の本をパタンと閉じたあと、ベッドに起き上がり隣をポンポンと叩く。

どうやら、あたしに隣に座れと言う合図だ。

大人しく道明寺の隣に座ると、なぜかこの人は嬉しそうにあたしを見つめてくる。

「な、なに?」

「すげぇ、いいニュース教えてやろーか?」

「いいニュース?」

「おう、聞きてぇ?」

勿体ぶってなかなか言わない道明寺に、

「早く言いな。」

と、睨みつけてやると、

「京都、俺も行くことになった。」

と、予想外のニュースが返ってきた。

「はぁ?京都って、タマさんと行く旅行?」

「ああ。」

「なんで?どうして道明寺も行くのよっ。あれはあたしとタマさんの毎年恒例の2人旅行で……、」

不審がるあたしに、道明寺はついさっきタマさんとした会話を教えてくれて、

「タマに誘われたからしゃーねーだろ。」

と、得意げに答える。

その顔が、バカみたいに無邪気に嬉しそうで、なんだかこっちまで笑いが込み上げてきて、

「そんなに嬉しい?」

と、この人に聞いてみる。

すると、「ああ。」と、即答。

「そんなに京都に行きたかったの?」

「あ?場所なんてどこでもいーだろ。」

「はぁ?」

「おまえと行ければどこでもいい。」

この人は、相変わらずこういう事をサラッと言い放つ。

「な、なによそれ。」

「一日中、2人でいれるじゃん。」

「はっ?タマさんとの旅行なんだから、変なこと考えないでよねっ!」

「……変なこと?」

あっ、まずい。墓穴を掘ったかも。

道明寺がこの顔をする時はヤバイ時だ。

案の定、あたしの方に顔を近づけてきて、3秒ほど固まったあと、

「こういう事かよ。」

と、呟いて唇を重ねてくる。

最近、あたしは道明寺がキスをしてくるタイミングが分かるようになってきた。

いつもより真剣な顔であたしの目をじっと見つめてくる。

そうなれば、もう逃げることが出来ず、いつも捕らわれの身のあたし。

吐息までも飲み込まれるほどの激しいキスと、服の中に忍び込んでくる大きい手。

ベッドの上に押し倒され、ブラの隙間から胸をゆっくり揉まれながら、首元に道明寺のキスが降ってくる。

「……ンッ……どう、みょーじ……ダメ」

道明寺の手と唇で同時に色々なところを触られると、思考が停止して身体がジーンと痺れてくる。

この甘い感覚から逃げ出したいともがくほど、身体は敏感になり刺激にビクンと反応してしまう。

あたしの胸を触る道明寺の腕を掴み、ダメダメと頭を振ると、

「もう少しだけ。」

そう言って、道明寺の手があたしのズボンの中へ入り込もうとする。途端に、あたしの身体はガチガチに固まって緊張してしまう。

そう、あたしたちは付き合ってそろそろ半年になるけれど、まだ、そのぉー、最後までは行っていないのだ。

なぜかは一目瞭然。

あたしが臆病だから。

心の準備がまだ出来ていないから。

自分でも分かってる。

半年も経つのに、道明寺を待たせ過ぎだってことは。

今日もまた、ガチガチに緊張してるあたしを見ながら、

「プ…、泣きそうな顔すんなバカっ。

待つって言ってるだろ。おまえがいいっていうまで待つって決めたから、そんな顔すんなって。」

と、言ってあたしの頭を撫でる道明寺。

その優しさに溺れすぎてちゃダメで、

そろそろあたしもきちんと道明寺の優しさに報いたい。

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