My teacher 33

My teacher

エレベーター内で、3年ぶりにキスをした俺たち。

「キス…してください。」
なんて、言っておきながら、
ガチガチに緊張している牧野。

ゆっくりとその唇を味わった後、エレベーターは最上階で止まった。
牧野の腕を取りエレベーターを降りると、
バーを出て、ホテルから帰ると思っていたのか、目の前に広がるスイートルームの大きな扉を見て、

「道明寺先生?」
と、怪訝な顔をするこいつ。

「部屋、取ってある。」

「え?」

「おまえのために、スイートルーム。」
そう言いながらカードキーを扉にかざす俺に、

「…なんか、慣れてますね、こういうの。」
なんて、人聞きのわりぃ事を牧野が言い出す。

「プッ…なんだよそれ。」

まだ、何か文句がありそうな牧野も、部屋に入るなりその豪華さに
「すっご!なにこの部屋。」
と、感嘆の声を上げる。

メープルのスイートルームと変わらないほどの豪華さを誇るこの部屋。
この部屋を一泊予約するのに、サラリーマンの給料の3ヶ月分はゆうに超えるだろう。

「気に入ったか?」

「うん……。
初めから、ここにくる予定だったの?」

「ああ。」

そう答えると、牧野が俺を見上げて言った。

「西門さんが言ってた事って、本当?
道明寺先生もあたしをずっと?」

「あのヤロー。
恐ろしく口が軽い。」

「どうしてすぐに答えてくれなかったんですか?
考えさせてくれって言われたから、ダメかと思った。」

俺の胸をドンと拳で叩く牧野の頭に手を置いて、
俺は甘く言ってやる。

「俺を振った仕返しだ。」

「はぁ?」

「3年分の『好きだ』を言わせてやろうと思った。」

「…何よそれ。」

口を尖らせて抗議する牧野。
そんなこいつに俺は潔く負けを認めるしかねぇ。

「もっと苛めてやろうと思ったのに、おまえからの好きを聞くたびに、早く触れたくて堪らなかった。」

帰国中の3週間は返事を先延ばしにして、思いっきり牧野から愛の告白を受けるつもりだったのに、
あっという間に惨敗。
もう、限界だ。

スイートルームのメインルームを突っ切って、ベッドルームへと牧野を連れて行く。
そして、キングベッドに牧野を押し倒す。

「わぁっ…!」
勢いよく俺に倒された牧野は軽く抗議の目を向けながら、
「いつの間に、こういう事に慣れたんですか。」
と、睨んでくる。

「あ?
だから、その人聞きのわりぃ言い方やめろ。」
笑いながら言ってやる。

そして、
「総二郎は口は軽いけど、嘘は言わねーよ。
俺がこの3年間、ずっとおまえだけだったってのは、本当だ。」
そう言って、再び牧野に熱いキスをした。

………

ゴソゴソゴソ…
ベッドの中で動く気配がして薄目を開けると、
部屋のブラインドの隙間から薄らと陽の光が部屋に差し込んでいる。

腕の中に閉じ込めていたはずの牧野が居なくて、反対側の方に身体を向けると、
白い肩を剥き出しにして、携帯を見つめている牧野が、
「嘘でしょ!」
と、呟くのが聞こえた。

そして、慌ててベッドから起きあがろうとするこいつ。
その腕を俺は咄嗟に捕まえて、もう一度ベッドへと引きずり込むと、
「んぁっ、やっ…」
と、朝っぱらから色っぽい声。
それだけで、あっという間に下半身が覚醒していく。

「道明寺先生、離してっ」

「やだね。」

「間に合わないのっ!」

「あ?どこに行くんだよ。」

「部活の試合っ!」

聞いてねぇ。
そんな事ひとつも聞いてねぇ。

「マジかよ。
今日くらい、ゆっくり過ごすんじゃねーのかよ。
3年ぶりに一緒に朝を迎えたんだぞ?
もっと余韻に浸りてーし、まだまだヤリ足りねぇ。
それに、」

不満は次々口から出てくるが、そんな俺の唇にチュっと軽くキスをした後、
「大事な試合なの。行ってくる。」
と、可愛く笑いやがる。

「もう一回。」

「ん?」

「だから、もう一回、キスしろ。」

俺たちの3年ぶりの甘い時間は、こいつの大事な生徒たちに邪魔されるらしい。

俺からの要求に、照れながらも身体を寄せてキスをしてくる牧野。
堪らずにその柔らかい肌に手を這わせると、

「ダメダメダメっ、」
と、逃げる牧野。

そんなこいつを追いかけて、俺たちはシャワールームへと消えた。

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