My teacher 4

My teacher
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19時になろうとしている。
いつものように仕事を終えて、そろそろ学校を出ようかとしていた時、俺の机の電話がなった。

「はい。」

「道明寺先生、ちょっと校長室まで来てもらえませんか?」

「今からですか?」

「大至急お願いします。」

持ちかけていた鞄を下に置き、俺は渋々立ち上がった。

校長室に入ると、教頭も揃って待ち構えていた。
何か面倒くさいことになりそうだ…と思った矢先、

「道明寺先生のクラスの北川さなえの事ですが、」
と、予感的中。

北川さなえは、先日星稜高校の男子生徒とラブホテルに入るところを補導されたあの生徒だ。

「北川がどうかしましたか?」

「それが、…先日の件がどうやら他の生徒にも知れ渡っているようで、部活を休んでいるそうなんです。
クラスでの様子はどうですか?」

思い当たる節はある。
いつも一緒にいるメンバーと、ここ数日行動を共にしていない。
北川といつもいる連中は、クラスの中でも目立つ存在のグループで、お嬢様格のリーダーと言ってもいい奴ら。

「男子生徒とホテルに行っていたなんて保護者の耳に入ったら大変です。あくまで未遂ですからっ、そんな事実は無かったという事で、道明寺先生も他の生徒に聞かれたらきっちりと否定してくださいね!」

「はぁ…。」

ため息ともとれる相槌をした所で、校長室の電話が鳴り響いた。

「もしもしー。」
教頭が出る。

「はい……、はい、……えっ?
連絡がつかない!?……分かりました。何か分かったらすぐ連絡くださいっ。」
電話を切った教頭が渋い顔で俺と校長を見る。
そして言った。

「北川さなえのお母様から先程電話があり、彼女が家に帰っていないと。
今日はピアノのレッスンがあるのでいつもなら17時には家に着いているはずなのに、部活でもしているのかと連絡が来たそうです。」

どうやら、本格的に面倒くさい事になったようだ。

「道明寺先生、思い当たる所に、大至急連絡してみてくださいっ!」

……………

プルルルル……。
バレー部の部員たちと部活の後片付けをしていると、校内放送が流れた。

「牧野先生〜、牧野先生〜。
お電話です。職員室までお戻りくださーい。」
事務の竹中さんの口調は相変わらず緩くて最高だ。

「ちょっと行ってくるから、後片付けお願いね!
ネットは綺麗に畳むのよっ!3年生、後輩にやらせてサボっちゃダメよ!」

あたしは部員たちにそう告げると、急いで職員室へ戻った。
机の上にある電話を耳にあて、「もしもし、牧野です。」と言うと、聞き慣れない声がした。

「もしもし。」

「…はい?」

「白百合学園の道明寺ですが、」

白百合学園の道明寺……。
てっきり生徒の保護者からだと思っていたあたしは、その名前を聞いて、一瞬ポカンとした。

「もしもし?」

「あっ、はい!」

「先日、交番で会ったのは覚えていますか?
うちの生徒とお宅の生徒がホテルへ、」

あー、あの時の先生か。
確か長身で、綺麗な顔の人だったはず。

「はい。どうかされましたか?」

「実は、あの時の生徒が今日まだ家に帰ってないんです。
親御さんから連絡が来まして、探している所なんですが、もしかしたらそちらの生徒と一緒にいる可能性も…。」

そういうことか。
あの時の生徒は河野健太郎。
あたしのクラスで、しかもバレー部だ。

今日の部活には……来ていないっ!

「河野も部活に来てませんので、すぐに連絡してみますっ!
あいつ、またホテルなんて行ってたら、今度こそ殺すっ。」
最後の方は呟くように言ったあたしに、
少しだけクスッと笑う声がした後、道明寺先生が言った。

「俺の携帯教える。
何か分かったらいつでもいいから連絡くれ。」

ずっと敬語で話していた道明寺先生が、フラットにそう言った言葉。
急に距離が近くなったようで、なんだかドキっと胸が鳴った。

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