nephew 16

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牧野が邸で暮らすようになって一ヶ月半。

一度バレてしまえば牧野の部屋に出入りすることへの後ろめたさもなくなり、最近では週のほとんどを同じ部屋で過ごしている俺たち。

それでも相変わらず牧野は、ババァに遠慮しているようで体を重ねることには躊躇気味。
「結婚したらどーすんだよっ」と愚痴る俺に、
「それはまた違う話でしょ」と、素っ気なく切り返すこいつ。

久しぶりに『結婚』というキーワードを出しても乗ってこない牧野を見ると、こいつの中では『今はない』話題なんだろーなと改めて思う。

そんな中、いつものようにオフィスで帰りの支度をしているとデスクの電話が鳴り出した。
受話器を耳に当てると西田の声。

「支社長、タマさんからたった今連絡が入りまして椿さまが産気付いたご様子なので、奥さまも宗太坊っちゃんも牧野さまも病院の方に行かれたようです。」

「わかった。」

「それで…………、あのぉー、」

「なんだよっ。」

「支社長は邸で待機するようにと……」

すげぇ、言いづらそうに俺にそう言う西田に、
「フ……わかってる。言われなくてもそうするつもりだ。」
と、返してやる。

思い起こせば姉ちゃんが宗太を出産した時、義理の兄さんやタマと一緒に病院に行ったはいいが、男の俺がすることなんてひとつもねーし、「痛い痛い」騒ぐ姉ちゃんに、「少しは我慢しろっ。」
と暴言を吐き、姉ちゃんをぶちギレさせたことは、今でも道明寺家の笑い話になっている。

だから、今回の出産は行かねぇと自分でも決めていただけに、ホッとした。

「言いつけ通りに邸に帰るから車を回せ。」

「かしこまりました。」

その夜、なかなか寝付けねぇ俺の携帯に牧野から着信があった。

「道明寺?」

「ああ。」

「ごめんね、起こしちゃって。」

「いや、寝付けねぇでウトウトしてたから大丈夫だ。」

「あのね、……生まれたよ。女の子。
3600グラムもある元気な女の子だって。」

その牧野の声を聞いて俺は優しく言ってやる。

「なんで、おまえが泣いてんだよ。」

「だって……すごく感動しちゃった。」

「よかったな。……姉ちゃんは?」

「うん、元気だよ。
お姉さんが陣痛で苦しんでる時に、『司はどうしたのよっ!』って怒ってた。
『今度こそ、女の意地を見せてやるつもりだったのにっ』って言ってたけど、それってどういう意味なんだろう?
前に何かあったの?」

「ったく……。別に何でもねーよ。
今日はそっちに泊まるのか?」

「うん。お母さんがあたしたちの分までベッドを借りてくれたから今日はここに泊まる予定。」

「……そっか。……今日は寝れそうにねーな。」

「ん?なに?」

「いや。
姉ちゃんに明日顔だすって伝えてくれ。」

「わかった。おやすみ。」

「ああ、おやすみ。」

おまえがいねぇとぐっすり眠れそうにねぇけど、さっきまで冴えていた目が、牧野の「おやすみ」の声を聞いただけで、ゆっくりと閉じていくのが分かる。

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