nephew 4

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動物園からの帰り道、運転中の俺の携帯がなる。
画面を見ると姉ちゃんから。

ミラーを確認して停車させようとしたが、夕方の混んでいる時間帯でハザードをあげるタイミングがねえ。

「牧野、姉ちゃんから。」
仕方なく牧野に携帯を手渡すと、

「もしもし。」
と、電話に出る牧野。

「……はい、……いいえー大丈夫ですよ。気にしないでください。
お姉さんこそ、体調どうですか?
……あははっー、……ええ、……はい、……そうなんですかー、あははー……はい、」

姉ちゃんと牧野は仲がいい。
俺らが付き合いだした高校生の頃からその関係は変わらず、そのおかげで、何度も俺らのピンチを助けてくれた姉ちゃん。
今では俺よりも頻繁に姉ちゃんと連絡を取り合ってる牧野は、姉ちゃんのことを本当に慕っている。

電話を終えた牧野が俺に携帯を返しながら、
「お姉さんがね、宗太くんを今日は病院に泊まらせるからこのまま病院まで連れてきて欲しいって。」
と後部座席で疲れて眠っている宗太を見ながら言う。

「ったく、俺はタクシーじゃねーんだっつーの。」

「いいでしょ。それに、あたしもお姉さんに会いたいし。」
そう言って俺の肩を、労うように軽く揉んでくるこいつに、

「しゃーねぇな。」
と、答えて病院へと進路を変えた。

姉ちゃんが入院してる病院に着くと、だいぶ眠ったせいか元気を取り戻した宗太は病室までの廊下を猛スピードでかけていく。
それを、
「病院の廊下は走っちゃダメっ!」
とか、なんとか言いながら一緒に激走する牧野。
そして、そんな二人の後ろ姿を見ながら、爆笑する俺。

病室につくとベッドに座る姉ちゃんと、いると予想してなかったババァの姿まであり、俺は咄嗟に緩んだ顔を引きしめ、牧野の横に並んだ。

「司、今日はごめんね。
せっかくの『で・え・と』だったのに。」
からかう姉ちゃんに、

「わりぃと思ってるなら、俺に休暇を与えるように隣にいる『社長』に言ってくれ。
牧野と旅行にでも行きてぇから。」
と、本音で返してやると、隣の牧野が赤くなって俺を睨む。

そんな俺に、
「相変わらず、ぞっこんね。」
と、呟いた姉ちゃんは、
「宗太、司とつくしちゃんにちゃんとお礼言いなさい。
『今日はありがとうございました』って。」
と、宗太に向けて言う。

すると、ババァの前だからなのか言われた通りに、『ありがとうございました。』とお利口さんに頭を下げて礼を言う宗太。

でも、それで終わらなかった。

「ママ、僕、今日は病院に泊まらないで邸に戻る。」

「え?」

「ね?いいだろ、つくし。」

その宗太の発言にそこにいる全員が固まった。

「…………っ!
てめぇ、気安く牧野のこと『つくし』なんて呼ぶんじゃねぇ!」

「いいだろ、だって、ママだってタマだって、みんなつくしって下の名前で呼んでるじゃん。」

「うるせぇ。他の男が呼ぶのは許せねぇんだよっ。」

「道明寺っ!」

ガキ相手に熱くなる俺を牧野が抑えるが、
それなのに、このクソガキは更に度肝を抜くことを言いやがった。

「ママ、僕は邸に戻るからママも赤ちゃんのためにゆっくり休んで。
僕のことは心配しなくても大丈夫。
つくしも邸に泊まるって言ってたから寂しくないよ。」

その宗太の突然の発言に今度は牧野がすげー慌て出す。

「いえ、そんな、あたし、邸に泊まるつもりなんてありませんからっ。ね、道明寺っ!」

同意を求められた俺も、
「ああ、泊まらねぇよ。」
と、答えると、

「だって、さっき車の中で司にぃがつくしに言ってたじゃん。
『今日は邸に泊まれ』って。」

こいつっ、起きてやがったのかよっ!
確かにここに来る前に車の中で牧野に、
『今日は邸に泊まれ』とは言ったけど、それはいつものじゃれあいで、今まで一度だって牧野が『うん』と言ったことはない。

牧野に言わせれば、
『親と一緒に暮らしてる家に、いくら付き合っているからと言って泊まりにいくのは……』
と、ババァに気を使っているらしく、
その代わり、俺が牧野の部屋に泊まるのが常。

だから、この宗太の発言は、牧野にとってはババァに変な誤解を与えかねない失言だ。
早めにフォローしておくのが先決。

「宗太、おまえの聞き間違いだ。
おまえはこのまま病院に残れ。」

「嘘だっ、絶対嘘だ!」

「嘘じゃねぇ。」

「…………でも、司にぃは明日も休みだろ?
なら、俺も邸に戻る。ねーいいでしょ、グランマ。」

出た。
こいつの『グランマ』。
グランマ=グランドマザー=ババァだ。

「都合が悪くなったからって、ババァに話をふるな。」
俺がそう言うと、

「だって司にぃが意地悪するからだろっ。
病院に泊まったって、遊ぶものなんてなんにもないし、廊下だって走っちゃいけないんだろ。
そんなところにずっといたらおかしくなるよ僕。」

こんなときだけ生意気な口聞きやがって。

「うるせぇ、クソガキ。」

「司、言葉に気を付けなさい。」

「ププ……司にぃ、グランマに怒られてる。」

「うるせぇ。
とにかく、俺は今日は牧野の部屋に泊まる予定だから邸に戻っても俺はいねーぞ。
おとなしく病院に泊まってろ。」

これでどうだ。
クソガキも何も言えなくなっただろ?
勝ち誇ったようにそう言うと、

俺の予想に反してこのクソガキの目がキラッと光った。

「それなら、僕もつくしの部屋に泊まる。」

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