nephew 3

nephew

動物園に来るのは何年ぶりだろうか。
俺の人生の中で数えるほどしか来たことのないここは、いつも牧野と一緒だった。

始めてきたのは高校生の時の奇妙なダブルデート。
結局、牧野のダチの彼氏を殴ったことで険悪なムードになったが、あれは今思えばいい思い出だ。

「そろそろ疲れた?休憩しようか。」

園内をざっと歩いて見て回っただけなのに、それだけで二時間近くかかった。
週末だけあって親子連れが多く、どこも混んでいる。

「あたしジュース買ってくるからそこ座ってて。」
空いてるテーブルを指差して牧野がそう言うが、
疲れてるのはこいつも同じ。

「いいから、おまえも座ってろ。
俺が買ってくる。」

「大丈夫、あたしトイレにも行きたいし。
宗太くん何飲む?」

「果汁100パーセントなら何でもいい。」

「……そういうところが似てるわ。
道明寺はコーヒー?」

「おう。フラフラしねぇですぐ戻ってこいよ。」

「わかってるって。子供じゃないんだから……」

そうブツブツ文句をいいながら歩いていく牧野の後ろ姿を見つめて自然と笑みがもれる。
そんな俺に、

「司にぃ、あいつのどこがいいの?」
と、生意気に聞いてくる宗太。

「全部。」
即答する俺を驚いた顔で見たあと、

「どうせ、あいつもどこかのお嬢様なんだろ?
付き合うのだって、結婚するのだって、全部いつのまにか誰かに勝手に決められるんだろ?」
と、わかった口を聞きやがる。

「クックッ……ませたガキだなおまえは。
宗太、おまえは好きな女も自分で決めれねぇぐらい情けねぇ男なのかよ。
俺は牧野が金持ちだろうが貧乏だろうが構わねぇ。
ババァに猛反対されても諦めなかったぞ。」

「反対されたの?」

「ああ、すげーな。
ズタズタに引き裂かれた……けど、俺はどうしてもあいつ以外考えらんねぇから。
おまえもそれぐらい惚れる相手を探せ。
そうすれば、そんなバカみてぇなこと言ってらんなくなるぞ。」

俺はそう言って立ち上がり、向こうから両手に飲み物を持って歩いてくる牧野を迎えに行く。

俺もこいつに出会う前は恋愛も結婚も、ビジネスとしか見てこなかったし、そう教えられて育ってきた。
そんな俺が、地位も家も棄ててでも欲しいと思った唯一の女がこいつ。

まぁ、6才のガキにはわかんねぇだろうけど、宗太にもそういう女が出来たら、諦めんなと背中をおしてやってもいいぞ。

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