有りか無しか

有りか無しか

有りか無しか 30

1年後 千歳空港。飛行機の時間まではあと一時間もある。たくさん土産を買い込んだ牧野の手から、その紙袋を受け取ると、 「昼飯どーする?」と、聞く。 「んー、しばらく北海道には来れないから、最後にバターラーメン食べたいっ。」...
有りか無しか

有りか無しか 29

道明寺からのキスを受けて思う。ああ、あたしもこの人を欲していた…と。 キスが深くなってきて、いつものように道明寺の手があたしの身体を這いはじめる。それを抵抗することなく受け入れると、すぐに服の中まで入り込んでくる大きな手。 着...
有りか無しか

有りか無しか 28

一度東京に戻り、次に北海道に来た日は道明寺の退院と同じ日だった。 病室に行くと、すでに帰り支度を整えソファにくつろぐこの人。 「空港まで迎えに行ってやったのに。」 「病み上がりのくせに。」 「映画でも見ていくか?」...
有りか無しか

有りか無しか 27

病院の1階にあるフリースペース横の自動販売機。小銭を入れて、お茶のペットボトルに手を伸ばしたその時、 「牧野さん。」と、後ろから突然呼ばれ、咄嗟にその横のオレンジジュースを押してしまった。 「あっ…!」ガタンとジュースが落ちる...
有りか無しか

有り難無しか 26

振り向いた先にいたのは、呆れた顔のババァと心配そうに病室を覗くタマの姿だった。 「心配して来てみれば、なんですかその様は。」 「おっつ、なんでここにババァがいんだよ。」 「口を慎みなさい!」 邸では仕方なく容認して...
有りか無しか

有りか無しか 25

牧野がせっかく北海道まで来てくれたというのに、ダウンして入院までする事になっちまった。 いつも強気なあいつだけど、目を赤くして不安に堪えて、側にいてくれている事は分かる。 だから、「おまえが側にいてくれさえすればいい。」と伝え...
有りか無しか

有りか無しか 24

道明寺が眠りについてから2時間ほどたった。タマさんから預かった梅干しと、棚の中にあったお米でお粥を作り、起きたら着替えさせようと下着も用意した。 けれど、一つ気になることがある。眠りながらも、何度も激しく咳をしている道明寺。 ...
有りか無しか

有りか無しか 23

北海道に降り立ったあたしは、今、西田さんから貰ったメモを握りしめタクシーに乗っている。 道明寺が言っていたとおり、北海道の寒さは想像以上に身に染みる。温室育ちの坊っちゃんにはさぞ辛いだろう。 タクシーに揺られ30分程したところ...
有りか無しか

有りか無しか 22

毎月少なくとも2回は東京に戻って来ていた道明寺が、ここ1ヶ月一度も帰ってきていない。 「殺人的な量で仕事が貯まってる。」つい1週間前も電話でそう言っていた。 付き合っている訳でもないのに、3日をあけずに連絡してくる所は、以前と...
有りか無しか

有りか無しか 21

滋さんから話しを聞いて1ヶ月がたつ。その間、道明寺は2回会いに来た。けれど、北海道へ行った本当の理由も、マンションで一人で暮らしている事も、何も語らない。 何事もなかったように、今までと同じくあたしに接してくる。辛くない?もしかして...
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