無敵 3

無敵
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邸に戻ったのは11時を少し過ぎた頃だった。

「坊っちゃん、おかえりなさいまし。」
タマが出迎える。

「ご飯は食べたんですか?」

「ああ。」

「嘘おっしゃい。ご飯も食べずにお酒ばかり呑んでいては駄目ですよ。」

「分かったから、年寄りはもう寝ろ。」

そう悪態をついても、あとを付いてくるタマ。

「誰と呑んでいたんですか。」

「いつものあいつらだ。」

「なら、お断りしてくださいよ。せっかく今日はつくしも来ていたのに。」

残念そうにそう言うタマ。

「……帰ったのか?あいつ。」

「ええ、ついさっき。
坊っちゃんの顔を見てから帰ると言っていたのになかなか帰ってこないから…。
せめて、電話でもしてあげてくださいな。」

タマが俺を待っていたのはこれを言いたかったからだろう。

「明日、どうせ会社で会うだろ。」

「プライベートな事はプライベートな時間に!」

「うるせー、夜遅くそんなでかい声出すなっ。」

「坊っちゃんがしないなら、今ここでタマが電話しましょうか?」

「いいから、やめろ。」

「では、タマの前で今すぐつくしに電話してあげてくださいまし。」

「もう、寝ただろあいつも。」

そうこう言ってるうちに部屋の前まで来た俺たち。
そこでタマがエプロンのポケットから携帯を取り出して本当に電話をかけ始めた。

「つくしかい?
坊っちゃんが今帰ったよ。
後で坊っちゃんから電話させるから、待ってておくれ。」

その言葉を聞いて、口パクとジェスチャーで『やめろ』と全身でタマに言ってやる。

すると、タマが急に眉間にシワを寄せて言った。

「つくし?今どこにいるんだい?」

その言葉に、部屋に入ろうとしていた俺も立ち止まる。

「終電って……、タクシーで帰ったんじゃなかったのかい?
こんな遅くに、ふらふらしてたら危険だから、」

タマが話す内容を聞いていた俺は、
タマから携帯を強引に奪う。

「もしもし、」

「…っ、道明寺?」

「おまえ、今どこにいる?」

「どこって…、今電車降りて家まで歩いてるところ。」

「今すぐタクシーに乗れ。」

「えっ?でも、もうすぐそこだから。」

「いいからっ、乗れって!」

「でも、もうマンション見えてるし、こんな所でタクシーなんて捕まらないし。」

困ったようにそう言うこいつに、俺は言っていた。

「じゃあ、このまま話しながら歩け。」

「え?」

「だからっ、部屋につくまで電話切るなよ。」

「……う…ん。」

その会話を聞いていたタマが静かに俺から離れていった。




次の日、
ダイニングへ行くと、いつものようにタマが朝食を運んできた。

俺は無言でタマに、昨日借りたままだった携帯を差し出す。

「坊っちゃん。」

「なんだよ。」

「長電話の請求は坊っちゃんにお願いしますよ。」

「長電話なんてしてねーよ。」

「朝方まで話してたんじゃないんですか?」

「するかっ!」

実際は、ほんの5分だった。
マンションの部屋に入った牧野は、
「道明寺、おやすみなさい。」
そう言って、電話を切った。

もう少し、
もう少し話していたいと思ったのは俺だけか…。

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