僕らの時間 11

僕らの時間
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入学して2ヶ月がたった。

ようやく大学生活に慣れ、周りでは飲み会やコンパが頻繁に開かれている。

先日、道明寺が「こいつ、俺の彼女だから。」と唐突に宣言して以来、あたし達の付き合いは大学内で周知の事実となってしまった。

おかげで、誰もあたしをコンパに誘ってくる人は居ないのに、

「誘われても絶対行くなよ。」

と、しつこいくらい道明寺は言ってくる。

「そういうのなんて言うか知ってる?」

「あ?」

「束縛って言うんだよ。」

「なんとでも言え。」

開き直るこの人は、幼なじみを卒業してすっかり彼氏顔で甘すぎる。

そんなある日、同じ学部の友達から、

「ねぇ、今日先輩に食事に誘われてるんだけど一緒に行かない?」

と、誘われた。

「先輩?」

「うん。3年生の相川先輩って知ってるでしょ?あのラグビー部の。」

「あー、あの大きい人?」

3年生の相川先輩と言えば、185cmほどある身長にラグビーで鍛えた大きな肩幅、甘いマスクで女子生徒から人気の先輩だ。

道明寺並のスタイルだなぁーとあたしも後ろから眺めていたことがあるから知っている。

「そう、その相川先輩と約束してるの。つくしも行こーよ。」

「……えっ、でも……」

束縛過多の彼氏の顔が頭をよぎる。

「絶対行った方がいいって!相川先輩、去年と一昨年のテストの問題と回答をくれるって言ってるから。」

「テストかぁー。」

サークルに入っていれば先輩からテストを譲り受ける機会もあるけれど、あたしみたいに何も入っていない人は友達のコネを使って入手するしかない。

「7時ね!場所はあとで連絡するっ。」

友達がそう言って手を振って走っていくのを見つめながら、

『これは正当な理由があるからOKよね。』

と、自分に言い聞かせて大きく頷いた。

………………

夕方、友達からお店の地図が送られてきた。

道明寺に言った方がいいか、いや別に友達とご飯を食べるだけなんだから言わなくてもいいか…

迷っているうちに、あたしの携帯がなった。

「もしもし。」

「どこにいる?」

「部屋にいるけど。」

電話の相手は道明寺。

その後ろから騒がしい声がしている。

「道明寺は?」

「今、講義終わったところなんだけどよ、これからちょっと学部の奴らと飯食いに行くことになった。」

「ふーん。」

何気なくそう返事をすると、道明寺は言いにくそうに付け足した。

「看護学部の奴らも一緒なんだ。」

「看護学部?」

「ああ。医学部と看護学部の顔合わせだってよ。今度、解剖学の実習があって、その時に看護学部とグループを組むんだ。だから、今のうちに顔合わせしておけって教授から言われて、」

珍しく長々と説明する道明寺にあたしの顔が緩みはじめる。

「道明寺。」

「ん?」

「それって、顔合わせっていう名の合コンでしょ?」

「あ?ちげーよ!俺は別に行きたいわけじゃねーけどっ、」

道明寺の慌てっぷりがレアでもう少しいじめてやりたい気もするけれど、あたしの約束の時間も迫ってきている。

「分かった分かった。

道明寺、楽しんできて〜。」

そう言って電話を切ろうとするあたしに、

「つくしっ、遅くなんねーと思うから、帰ったら連絡する。」

と、道明寺は言った。

道明寺の帰りは何時くらいだろう、遅くならないと言うことはあたしよりも早いかも。

さすがにこのまま何も言わずに出かけるのはまずいと思いなおし、

「あー、あのね道明寺、」

と切り出す。

「ん?」

「実は、あたしも今日出掛ける約束してて、」

「時間は?」

「7時。同じ学部の友達となんだけど…、先輩も来るみたいで、」

歯切れの悪い言い方に、道明寺が鋭く突っ込む。

「先輩って男か?」

「…うん。学部のテストを譲ってくれるっていうから。」

「………。」

いつものように『行くな。』と言われれば反論もできるのに、何も言わない沈黙がいちばん怖い。

「道明寺?」

恐る恐る名前を呼ぶと、

「携帯、必ず繋がるようにしとけよ。」

と、拗ねたような声がかえってくる。

「え、いーの?」

「俺だけ行って、おまえにダメって言えねーじゃん。」

「プッ…そりゃそうだわ。」

ケラケラ笑うあたしに、過保護な彼氏は、

「テストだけ受け取ったら、さっさと帰って来い。」

と、怒ったように言った。

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