僕らの時間 13

僕らの時間
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次の日、大学内の食堂で遅めのランチを取りながら、昨夜の自分の行動を思い出していた。

昨日初めて会った男の人の車に乗り込み、家の前まで送ってもらい、22時をすぎた遅い帰宅。「また会おうと」と言われ笑顔で手を振り見送った。

相川先輩に非はないのはもちろんだけど、道明寺が誤解するのも無理はない。

怒られて当然なのに、

あたしときたら、カッとなって言い返して更に道明寺を怒らせた。

その証拠に、あれから電話もメールも来ていない。

まだ怒ってるのかな……、どうやって謝ろうか……、

頭の中は朝からそればかりぐるぐると考えているのに、なかなか連絡が出来ずにお昼になってしまった。

ランチを食べ終えて、はぁーーーと深いため息を付くと、

「なによ、どした?暗い顔して。」

と、隣に座る友人が聞く。

「んー、ちょっとねー」

「彼氏とケンカ?」

「っ!なんで分かるのっ?」

「それだけ携帯を朝から何度も確認してれば分かるわよ。彼氏からの連絡待ちでしょ?」

「…………」

「グズグズしてないで、こっちから電話してみればいーのに。」

「それが出来ないから困ってるの。

相当怒ってるだろうし。」

あたしがそう言うと、意外そうに目を丸くして友人が言う。

「へぇ〜、つくしにも怒ったりするんだ、あの道明寺司は。」

「なによそれ、」

「だって、いつもつくしにだけは甘々でしょあの人。それなのに怒らすってことは相当ヤバイかもね。早く謝っちゃいなさいよ。」

友人にそう言われ、ますます気が重い。

今までは喧嘩をしても時が過ぎればいつの間にか元通りになっていたあたし達。

でも、今はそれではダメな気がする。

もう、あたしたちはただの幼なじみじゃない。道明寺の事が今まで以上に大事だと自覚してるから。

「あたし、行ってくる!」

急に立ち上がるあたしに、友人は驚いて、

「はぁ?どこに?」

と聞く。

「道明寺のいるキャンパスっ」

「プッ……さっきまで電話することにもグズグズしてたのに、キャンパスまで押しかける気?

まぁ、そういうところ、つくしらしくていーけど。」

………………

教育学部とは6駅離れた医療系学部のキャンパス。

ここに来るのは初めてだ。

勢いで来てみたはいいけれど、道明寺がどこにいるかも分からない。

キョロキョロと辺りを見回しながら、近くにあったベンチに座り、携帯を取りだして電話をしようと思った時、

隣のベンチから「道明寺」というワードが聞こえてきて、思わず手の動きを止めて声の方をこっそりと覗き見る。

「昨日撮った写真、私の携帯に送って〜。」

「これ、よく撮れてるよね!かっこいいなぁ、道明寺さん。」

「由美のグループ、道明寺司と実習が一緒で羨ましいぃ〜。」

どうやら、彼女たちは看護学部の生徒らしい。

会話の内容から、昨日の食事会に出席していたようだ。

看護学部は100人以上いて、ほとんどが女子生徒。

実習だけでなくこれからも医学部との交流はあるだろうし、道明寺を狙っている生徒も少なくないはず。

そんな彼女たちにあたしは勝てるのだろうか。

「幼なじみ」なんてなんの強みでもないし、むしろ新鮮味がなくて負けレースのような気もする。

大きくため息が漏れそうになった瞬間、

「でもさ、道明寺さんって彼女いるらしいよ。」

と、再び彼女たちの声が聞こえてきた。

「それって、噂でしょ?

いつも一緒にいる幼なじみの子がいて、その子を彼女だって噂してる人がいるみたいよ。」

「私もそうだと思ってたの。でもね、昨日、本人が言ってた。彼女がいるって。」

「えっ、道明寺さんがっ?」

「うん。大事にしてる彼女がいるって。その言い方がさ、超カッコよくて、彼女がいてもいいからデートしてくださいって叫びそうになったわ。」

「きゃはははーっ」

楽しそうに笑う彼女たちの話を聞きながら、耳が急激に火照ってきて、あたしは急いで立ち上がりその場を離れた。

『大事にしてる彼女』

それって、あたしのこと?

道明寺が昨日、人前でそんな風に言ったとしたら、あたしの昨日の暴言は酷いものだ。

『女の子にフラフラしてるのはどっちよっ!』なんて言ってしまった。

後悔しても遅い。

とにかく、早く謝って昨日のことは無かったことにしたい。

そう思い、携帯を取り出してコールしようとした時、

視線の先に、探していた人の姿を見つけた。

医学部の講義が終わったところなのか、数人で歩いてくる道明寺。

連絡もせずに来てしまったけれど、あいつはどんな反応をするだろう。

ケンカ中だと言うことを急に思い出し、足が止まってしまったあたしと、向こうから歩いてくる道明寺の視線が絡まった。

驚いたようにあたしを見つめ、そばにいた友人に何か声をかけたあと、1人でこっちに歩いてくる。

怒ってる?表情からは読み取れない。

立ち止まっているあたしの目の前まで来た道明寺は、

「フッ…」と少し鼻で笑ったあと、

「随分ちんちくりんな奴がいると思ったら、やっぱりおまえかよ。」

と、憎たらしいことを言う。

「ちんちくりんで悪かったわね。」

「おう、目立ってしょうがねぇ。」

そう言いながら、急にあたしの首に腕を回し歩き始める。まるで獲物を捕らえたかのように。

「ちょっ、道明寺っ、離してよっ!」

「俺に逢いに来たんだろ?」

「っ、そーだけど、み、見られてるから…」

キャンパス1有名な道明寺が、女子の首に腕を絡ませ強引に引きずるように歩いている。

そんな姿を周囲の人が見逃すはずがない。

さっきの看護学生たちも驚いたようにあたしたちを見て固まっている。でも、当の本人は全然気にしていない。

それどころか、

「逢いに来たからって、昨日のことは許してねーからな。」

と、あたしの頭を拳でグリグリしながら楽しむドSな男。

もうっ、穴があったら入りたいっ!

なぜ電話でなく、キャンパスまで逢いに来てしまったんだろうと今更後悔するあたし。

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