学園からの帰り道、道明寺と並んで歩きながら、さっきの美作さんと道明寺の会話を思い出す。
『会長を支えられるのは自分しかいない。
少しでも近くに居たい…そう思って副会長に立候補する。
それをみて、会長の心も少しずつ副会長に向けられて、……』
あれって、道明寺と白石会長の事?
最後には『口外すんじゃねーぞ』と口止めまでしていたところを見ると、かなり本気らしい。
あの話が本当なら、道明寺は白石会長のことが好きで、その会長の側にいたいから生徒会に入ったって事なのか。
女嫌いで有名で、浮いた話のひとつもない道明寺がそんな秘めた恋愛をしていたなんて……。
そう考えると辻褄が合う。
面倒くさいことは嫌うはずなのに、生徒会に入り毎日遅くまで残っている。
それは学園の為だとか言いながら、実は白石会長に会うためだったのだ。
確かに。白石会長は誰もが認める美人だ。
色白で背もスラッとしていて、ツヤツヤな長髪。
ご実家は京都の老舗旅館だったはず。
道明寺はああいうおしとやかな女の人が好きなのね。好きな子を追って生徒会に入るなんて。
長年一緒にいるのに、そんな一途な一面があったとは知らなかった。
これはかなり面白そうだ。
そう思いながらニヤニヤしていると、
「おまえ、なに1人で笑ってんだよ。」
と、不審そうにあたしを見下ろすこの人。
「別に〜。」
「明日はテスト前だから部活ねーんだろ?」
「あー、うん。」
「じゃ、1人で先に帰ってろよ。」
「道明寺は?」
「生徒会の話し合いがまだ残ってるから、明日も少し遅くなる。」
「……へぇ〜。」
白石会長に想いを寄せている事を知ってしまったから、道明寺のこの言葉にも意味があるように感じてしまう。
「白石会長も残るの?」
「多分な。」
「ふぅーん。」
またニヤニヤしてしまうあたしに、今度は明らかに疑いの目で睨みながら道明寺が言う。
「なんだよ」
「ねぇ、道明寺ってさ、好きな人いるの?」
「あ゛?」
「いや〜、なんか、チラッとそんな噂を聞いたから。」
「は?誰に」
「んー、生徒会の人……かな」
テキトーに言葉を濁しながらそう言うと、
「誰だよ、そんなデタラメ言ってんのはっ、」
と、動揺してる男。
ほんと、こういう所は嘘がつけないというか、バカ正直というか。
「やっぱ、居るんだ。」
「……うるせぇ。
どんな噂だよそれ。」
「んー、道明寺の片想いで、その人を一途にずっと想ってるって。」
「あきらのやつ、ぶっ倒す。」
どうやら美作さんが噂を流したと勘違いしてるらしい。
けど、この道明寺の反応を見れば分かる。
これは、本気のやつだ。
「忘れろ。」
そう一言呟いたあと、道明寺は照れくさいのかスタスタと早歩きであたしを置いて行った。
………………
テストが終わった数日後。
茶道部に嬉しいプレゼントが届いた。
茶道部の菅野先輩が映画の試写会チケットを大量に持ってきてくれたのだ。
先輩のお父さんはイベント会社の社長なのは有名な話で、芸能事務所も経営している剛腕社長。
今度の日曜日に開かれる試写会のチケットが手に入ったので、茶道部のみんなを招待してくれた。
元々見たかったこの映画。
道明寺とも、面白そうだよね〜と話してたばかり。
茶道部全員にチケットが行き届いたあと、西門さんが「まだ余ってるな。誰か行きたい奴にやるか?」と聞いてきたので、
「道明寺も行きたがってた。生徒会に持っていく?」
と提案すると即了承され、向かいの部屋の生徒会室へ持って行くことにした。
部屋に入ると、白石会長と美作さんと道明寺の3人がパソコンを囲んで座っていた。
「牧野、どした?」
美作さんに聞かれ、
「これ、おっそわけです。」
と、チケットを見せる。
「試写会?」
「菅野先輩が貰ってきてくれて。
まだ余ってるので生徒会の皆さんも良かったら。」
「あー、日曜か。俺はパスかな。
予定があるんだ。司は?」
美作さんが道明寺に聞くと、
「おまえは?」
と、なぜかあたしに聞いてくる道明寺。
「もちろん行くでしょ。観たかったやつだし。」
「だな。俺も観てぇから行く。」
そう言ってあたしの手からチケットを1枚取る。
日曜日の映画。
白石会長はどうしようか迷っている様子。
それを見ながらあたしはふと思う。
これはいいチャンスかもしれない。
幼なじみの恋愛を応援してやるか。
「白石会長も良ければ一緒に行きませんか?」
「え?」
「是非、行きましょう!」
あたしはそう言って会長にチケットを手渡した。
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