My teacher 1

My teacher
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プルルルル……

「はい、もしもし。」

「道明寺先生でしょうか?」

「そうですが、
……はい、北川さなえはうちのクラスの生徒です。
補導?
はぁ…わかりました。今からそちらに向かいます。」

電話を切った俺は、チッと舌打ちをしながら、車のキーを掴み部屋を出た。

向かったのは電話で告げられた交番。
繁華街の中心に位置するその交番の扉を開けると、
「こんばんは。」
と、笑顔で制服姿の警官に声をかけられる。

「先程お電話を頂いた道明寺です。」
そう告げると、

「あっ、どうぞ中へ。」
と、交番の奥へ連れて行かれる。

そこには長テーブルとパイプ椅子が並べられてあり、そこにしょんぼりと並んで座る男女の姿。

「先生…。」
俺を見てそう呟く女生徒に、

「おまえ、しばくぞ。」
と、小声で言い、頭を小突いてやる。

そんな俺に、警察官が
「今、星稜学園の先生もお見えになりますので少しお待ちください。」
と、言い奥へと消えていく。

うちの生徒である北川さなえの隣に座るのは、座っていても分かるほどの筋肉質な身体の男子学生。
そいつの制服は、この界隈では有名な体育会系高校の星稜の制服である紺のブレザーとチェックのパンツ。

よりにもよって男子校の星稜の生徒と……。

俺が勤務する高校は県内でも歴史と伝統のある白百合学園。
女子校のそこは、いわゆるお嬢様学校で有名だ。
そこの生徒が、よりにもよって、筋肉自慢しかない運動バカの星稜高校の生徒と

ラブホテルに入るところを補導されたのだ。

何も1番補導員が多い月末の金曜日に、
しかもご丁寧に制服姿で、
ラブホに入ろうなんて、舐めてくれたじゃねーかよ。

男子生徒の横顔を睨みつけようとしたその時、
突然大きな声で「河野っ!」と叫びながら女が入ってきた。

その声に今までしょんぼりとしていた男子生徒が
「先生っ!」
と、素早く立ち上がる。

「河野っ、あんたって子は、このバカ!」

「イッテーっ」

「問題起こすなってあれほど言ったでしょ!」

「ごめんって、牧野先生、分かったから殴んなっ。」

先生と呼ばれるその若い女は、ショートカットの髪にトレーナーとハーフパンツ。
まるで自分が部活帰りの学生のよう。

男子生徒の頭をポコスカ殴りその場にいた警官に「落ち着いて下さい先生。」と、取り押さえられる始末。

ようやく落ち着いた後、
「星稜高校の牧野と申します。
この度はうちのクラスの生徒がご迷惑おかけいたしました。」
と、俺に向かって頭を下げ、隣に立つ男子生徒にも頭を下げさせる。

「白百合学園の道明寺です。
こちらにも非がありますので。」

チラッと北川さなえを見ると、罰が悪そうに視線を落としたままだ。
航空関係の仕事をする父を持ち、帰国子女。
正真正銘お嬢様のこいつが、ホテルで補導なんて同級生には絶対に知られたくないだろう。

「一応、未遂と言うことで今回はご両親には連絡していませんが、学校の方でももう一度生徒さんに指導をお願いいたします。」
警官からそう言われ、俺たちは交番を後にした。

時計を見ると9時近い。
北川家ならここからタクシーで15分くらいか。
そんな事を考えていると、
女教師が男子生徒に話している声が聞こえる。

「いつから付き合ってるの?」
さっきまでの勢いとは違い、落ち着いて生徒に話しかける教師。

「2週間くらい前かな。」

「そう。真剣に付き合ってるんでしょ?」

「ああ。」

「じゃあ、あんまり焦らない事。
早く事を進めたい気持ちも分かるけど、彼女が大事ならゆっくり関係を築いていく方が大事よ。」

そう言って頭一つ分でかい生徒の胸をトンと叩くと、
「家には先生から電話しておく。
部活が長引いた事にするから、寄り道しないで急いで帰りなさいよ。」
と、優しく笑う。

男子校の乱暴な女教師…という第一印象が、少しだけ崩れる。

「北川、おまえもタクシーで帰れ。
家には報告しないから安心しろ。」

「はい。」

ちょうどすぐ側に止まっているタクシーに北川を乗せると、俺も自分の車が止めてある方へ向かおうと歩き出す。

すると、男子生徒と教師が俺に向かって頭を下げているのが目に入った。
その2人の隣を通り過ぎる時に、俺は男子生徒にだけ聞こえるように言ってやる。

「いくら急いでたからって、もう少しマシなホテルを選べ。」

白百合学園の生徒を連れ込むにはあのラブホテルじゃ、お粗末すぎるだろ。
そこから考え直さねぇと、おまえら長続きしねーぞ。

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道明寺が道明寺家を継いでいないストーリーは初めてです。どうぞお楽しみください⭐︎

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