チーム長の策略 16

チーム長の策略
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牧野に何を食べたいか聞かれて、頭に思い浮かんだのは、小さな頃に食べていたタマの和食料理。

「和食がいい。」

そう答えると、

「良かった。あたし和食しか作れないから。」

とはにかむ姿がマジでツボる。

この1年間、こいつの上司として間近で見てきた。

仕事に対しては超がつくほどマジメ。『牧野さんに精査してもらえばどんな書類も間違いない。』とチームのみんなが言うほど、完璧主義。

残業も、たまの休日出勤も、嫌な顔ひとつせず男並みに働くこいつは、男の影どころか色恋沙汰の噂も一切無し。

密かに想いを寄せている俺にとっては嬉しい事だけど、時々はこうして照れたようにはにかんだり、女らしいスカートや髪型を見てみたいともずっと思ってきた。

だから、いま目の前で俺のためだけに食材を選び、買い物をし、笑いかけてくる牧野に全力で想いが溢れそうになる。

俺の部屋に女が来るのは、人生初めてのこと。

牧野と2人きりになるのも車の中以外ではこれが初めてだ。

色々我慢してきたから、一度触れたら止まれないだろう。

きっと、牧野も子供じゃねーんだからそれは分かってるはず。

帰宅途中で食材を買い、マンションの上層階にある部屋に入ると、

「凄っ!これで一人暮らしですか?」

と、興奮した声で聞いてくる。

「ほとんど寝るだけの空間。

キッチンも使ってねーから何があるかわかねーけど、適当に使って。」

そう言って奥のキッチンへ牧野を連れていく。

「急いで作るので、チーム長は仕事していてください。」

「おう、サンキュー。

そこにいるから何かあったら呼んで。」

キッチンから見えるリビングスペース。

そこのソファに持たれながらパソコンを開くと、貯まったメールに目を通していく。

2週間の出張の準備はほぼ整った。

あとは、日本に残していく仕事をチーム内のメンバーに引き継いでいくだけ。

集中しながら仕事をしていると、

「チーム長?」

と、牧野に呼ばれハッとして顔を上げる。

「ご飯できたから、少し休憩しませんか?」

「おう。」

壁の時計を見ると、1時間近くたっていたようだ。

パソコンを閉じサイドテーブルにのせると、そのまま手を伸ばし牧野の腕を掴む。

そして、ソファーの俺の横に座らせて、身体を引き寄せる。

仕事のあとのご褒美タイム。

軽くチュッと唇を重ねると、照れたように下を向く。

足りない。まだまだ足りなくて、牧野の顎を持ち上げて上を向かせさらに口付ける。

クチュ……クチュ……。

いやらしい音が室内に響き、俺の理性を崩していく。

「チーム長、ごはん。」

「後で。」

「冷めちゃいますっ」

「さっきにこっちを…喰いたい。」

ソファに押し倒し、これでもかと言うほど深くキスで犯していく。

ようやく手に入れた大事な存在。

大切にしたいのに、めちゃくちゃに壊したい。

そんな男の欲望がメラメラと全身に行き渡り、加速する。

ブラウスの上から胸に手を乗せると、予想以上の膨らみの大きさに下半身が熱くなる。

直に触りたい。そう思い服の中に手を入れようとした時、

「待って…、」

と、焦ったように牧野が言う。

「ダメ?」

「ダ、ダメじゃないけどっ……ご飯は?先に食べましょ!せっかく作ったのに冷めたら美味しくないし。それにっ、……明日仕事でしょ?だからあんまり遅くなると支障をきたすっていうか、」

そこまで早口で捲し立てるように言ったあと、牧野は下を向き、俺から顔を隠すようにして言った。

「はぁー、めんどくさい女でごめんなさい。」

「あ?」

「もったいぶってるとかじゃないの。全然そんなつもりじゃなくて。ただ、……こういうの初めてで。」

「…………」

牧野の言葉を頭の中で噛み砕き整理してみる。

そして、ストレートにぶつける。

「初めてって?」

「…………。」

「セッ×ス?」

「…………。」

牧野の反応で、当たりだということは分かった。

けど、さらに疑問が沸きあがる。

「えっ?おまえさ、あの詐欺師とは?

あのヤローとはしてねーのかよ。」

「水川さん?うん、してない。」

「はぁー?!ヤラしてもいねー男に、500万も渡そうとしてたのかよおまえはっ!」

「えっ?だって、そんなの関係ないし。逆に身体目当てじゃない所に安心したっていうか、」

「いやいやいやいや、マジでねーから。」

「なんで?男の人にはわかんないのっ、」

「いやいやいやいや、全然っわかんねぇ。」

「…………。」

きつい言い方かもしんねーけど、俺がどんだけモヤモヤしてきたか、こいつに教えてやんねーと収まんねぇ。

「うわーもー、どうでもいーけどよ、マジで……良かった。」

「……え?」

「男に対して全く入る隙を与えねぇおまえが、あっさりあの詐欺師には心を許したから、どんだけ身体でドロドロにイカされたのかと思ってた。」

「はぁ?」

「金を貢ぐほど身体の相性が良かったのかと思って、マジで闘争心燃えまくった。」

「何言ってんの。」

顔を真っ赤にして抗議してくる牧野。

そんなこいつに言ってやる。

「牧野。もっと、もったいぶってもいーぞ。

俺はそういうおまえが好きだから。」

「……え?」

「牧野らしくていーじゃん。

簡単になびかないっつーか、納得しねーと動かないっつーか、俺はそこに惚れてるから。

だから、おまえが待てって言うなら、警察犬なみにいつまでも待っててやるよ。」

ありったけの気持ちでそう伝えると、牧野が小さな声で言った。

「心の準備は出来てる。

だから、いつでも、……どーぞ。」

照れたようにそう言うこいつの頭を撫でて、

「とりあえず、飯食おうぜ。」

と俺は言った。

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