俺の出張だの、牧野の月のものだの、色々理由が重なって、2週間以上していなかった『行為』。
それを、ようやく今夜、久しぶりにたっぷりと堪能したあと、ベッドの上で呼吸を整えていると、もう隣にいるつくしの目がとろんとしてきている。
「眠いか?」
「……んー。」
だいぶハードにやりすぎたか。
さっきまでの行為を思い出し、苦笑いする。
牧野を抱き寄せて、顔にかかる髪をかきあげてやりながら、もう眠りそうなこいつに言う。
「牧野、もっと声聞かせろよ。」
「ん?」
「シテル時のおまえの声、ちゃんと聞きたい。」
俺のその言葉に、眠そうな目が開いた。
「我慢すんなって。
おまえ、いつも声出さねぇようにしてるだろ?」
もう、何度も身体を重ねていくうちに、こいつの感じる場所は分かっている。
そこを攻めると、甘い声が漏れることも。
でも、恥ずかしいのか、声を抑えて耐える牧野。
それはそれで興奮する。
けど、男の欲求としてはもっと聞きたい。
何を言われたか気付いたこいつは、俺から視線を逸らすようにうつ伏せになり逃げていく。
綺麗な背中が露になって、そこにチュッと軽くキスをしてやりながら、俺の本音をぶつける。
「別に、エロいビデオに出てくるような女みてぇに大袈裟に声を出せって言ってるわけじゃねぇよ。
けど、隠す必要はねーだろ?
おまえが気持ちいいと思ったら、ちゃんと教えろよ。俺だけが満足する行為にしたくねぇから。」
すると、うつ伏せになりながら顔だけ俺の方に向けて、予想外のことを言ってくる。
「道明寺も、そういうビデオ見るんだ。」
「……あ?」
返事に躊躇していると、
また反対側に顔を向けて俺から視線を逸らす。
「いやっ、牧野、今俺が言いてぇのは、そういう事じゃなくて……」
慌てて否定しても、言ってしまったからにはもう遅い。
仕方ねぇから強引にこいつの身体を引き寄せて、もう一度俺の方に向かせると、さっきまでのとろんとした目ではなく、もうハッキリと俺を睨んでくるこいつ。
「今は観てねーよ。昔はそのぉー、まぁ、学生の頃はたまに観たりした事も、」
「ふぅーん。」
「おまえとこういう仲になってからは観てねぇ。それは断言する。」
「別に、観ても構わないけど?」
「あのよ、ちゃんと聞けよ。
世の中の男で、ああいう物を観てねぇやつはいねーから。思春期の男は全員通る道なんだっつーの。」
これは絶対に、間違えていない。
現にあの類でさえ、あいつの部屋に置いてあるのを見たことがある。まぁ、出どころはあのお祭りコンビだろうけどな。
「女とはちげーんだよ。だから、あんまり深く考えるな、サラッと流せ。」
「サラッと?」
「ああ。あーいうやつは内容は大したことねーから。まぁ、観たことねぇおまえには分かんないだろーけど、」
そう言って言い訳すると、なぜだか、一瞬牧野の目が泳いだ。
そして、俺の腕から逃げ出してまた背中を向ける。
ん?
なんだ、あの妙な間と、泳いだ目は。
「牧野、」
「……。」
「もしかして、おまえさ、」
「……。」
「観たことあるのか?」
ぴくんっ。
こいつの背中が小さく跳ねるのを俺は見逃さなかった。
「なぁー、牧野つくし。
シカトしてんじゃねーよ。」
俺はそう言って背中からこいつをガバッと抱きしめてやる。
「まさか、おまえにそんな趣味があったとはな。」
すると、焦ったように、
「違っ!違うもんっ。」
と、可愛い反応。
「何が違うんだ?言い訳を聞いてやるよ。」
と言って、こいつを俺の方に向かせる。
「……。
滋さんが『勉強のため』に貸してくれたの。」
「あ?滋?」
「あたしがNYに行く前。
緊張してるって話したら、これでも観て勉強していきなさいって渡されて。」
牧野がNYに来たのは、俺が留学していた21歳の時。付き合って2年目の春だ。
遠距離恋愛中の俺は正直限界だった。牧野不足で。
それまで何度かチャンスはあったけれど、結局最後まではシテいなかった俺たち。
限界だった俺は、春休み中の牧野をNYに呼び寄せて、しかも、
「今度こそ、会った時におまえとシタい。」
と、予め伝えていたほどの余裕のなさ。
あの時、牧野に相当のプレッシャーを与えていたのは事実だろう。
でも、それとこれとは話が別だ。
「滋のヤロー、ふざけやがって。」
俺がそう呟くと、クスクス笑いながら
「ほんと、滋さんって思考が斜め上をいくよね。」
と、牧野が言う。
「それで、参考になったのか?」
「プッ……全然。
なんか、人のプライベートを盗み見みしてるような気分になって、全然観れなくてすぐに返したの。」
牧野がそういうのを好んで観るとは思えねーけど、でも、観たいなら別に全然構わねぇ。
けど、気になることはひとつある。
「それ、俺とする前だよな。
やっぱ、ビデオの男を見て興奮したりしたのかよ。」
「はぁ?」
思いっきり軽蔑するような顔で俺を見返してくるこいつ。
「だって所詮、あーいうのは、それが目的だろ?
ビデオに出てる異性に興奮して、処理するっつーのが。」
そうオブラートに包まずに言ってやると、
「あんたみたいなビデオ中毒者と一緒にしないでよっ。」
と、根も葉もない疑いをかけられて睨まれる。
「俺はちげーよっ、おまえと出会ってからは観てねーし、観たいとも思わねぇから、」
「もう、知らない。この話は終わりっ!」
「おいっ、こっち向けって。」
「いやぁー、変態っ!」
「てめぇ、」
ベッドの中でじゃれ合う俺たち。
もちろん、『行為』が終わったあとで2人とも何も身につけていない状態。
そうなれば、ここから発展することはただひとつしかない。
「ヤッ……どこ触ってるの、バカっ」
「変態って言われたから、それを証明してやるよ。」
「しなくていいっ、ヤッ……ンッ……」
とりあえず、牧野の『弱いところ』を指で掻き混ぜると、まだたっぷりと濡れている。
「なぁ、きもちぃ?」
「ンッ……知らない」
「素直じゃねーな。なら、我慢できなくさせてやろーか?」
手加減しないで、牧野の感じる場所を執拗に攻め立てると、たっぷりと液が溢れだしてくる。
さっきまで眠そうにしていたこいつ。
寝かしてやろうかと思ったけど、もう2ラウンド目の準備は整ったようだ。
「牧野、」
「……ンッ?」
「おまえは俺だけに興奮してろ。」
そう言って、久しぶりの夜がふけていく。
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