僕らの時間 6

僕らの時間
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総二郎が言った言葉が頭から離れなくて、その日の夜つくしにメールを送った。

「少し話せるか?」

「窓。」

つくしからのその返事を見て、俺は部屋の窓を開ける。

すると、いつものようにあいつの部屋のカーテンが開き、顔を出した。

「なに?」

「ここでは無理だ。」

「秘密の話?またタマさんに怒られるような事したの?」

「ちげーよ。

俺がそっちに行くか?」

「んー、いい。

あたしがそっちに行く。」

そう言って窓を閉めたつくしは、その数分後俺の部屋のドアをノックした。

部屋に入ってきたつくしは、風呂上がりなのか髪の毛先が少し濡れている。

もう肌寒い時期だというのに、下はショートパンツで肌の露出が多め、その姿にドキンと胸が鳴る。

こうしてつくしを異性として意識し始めてから3年以上経つ。

きっかけは中学3年生の時に、つくしの父親に連れていってもらったキャンプだった。

夕食までの一時、つくしと川で遊んでいると、あいつが足を滑らせ川に落ちた。

前の週に降った雨のせいかいつもより流れが早く、あっという間に20メートほど流され、俺は慌ててつくしを追って川に入った。

幸い、流れた先は水深も浅く大事に至ることはなかったけれど、つくしを川から引き上げた時、あいつは泣きながら俺にしがみついてきた。

テントまでの帰り道、足を挫いて歩けないつくしをおぶりながらゆっくり歩く俺に、背中で「ごめんね。」と言ったあと、「ありがと。道明寺がいてくれて良かった。」と呟いた。

その時に、俺は思った。

俺は自分が危ない目にあってでも、こいつだけは死ぬ気で守る。その事に迷いはないと。

その自分の思いに気付いてから、

思春期真っ只中の脳内は、バカみてぇに今もずっとこいつで溢れている。

「このパズル、まだ完成してないの?」

部屋に入ってきたつくしはローテーブルに広げられた未完成のパズルを見て言う。

「おまえが始めたんだから完成させろよ。」

「何年かかるか分からないよ。」

そう言って笑いながら、ローテーブルの側にあるソファに座る。

「話ってなに?」

「おまえさ……」

面と向かうとなかなかいいづらい。

つくしの隣に座り、ひとつ大きく息を吐く。

「おまえ、山村と付き合ってんのか?」

「は?」

「どうなんだよ。」

お互い面と向かって恋愛話をしたことなんて無い。

だからか、俺を不審そうに見つめて、

「なんでそんな事聞くの?」

と聞き返してくるこいつ。

「祭りに一緒に行くんだろ?」

「茶道部のみんなも一緒。」

「花火は?」

「花火は……」

そこまで言って口篭るつくしに、もう一度聞く。

「あいつと付き合ってるのか?」

「……付き合ってない。」

「それなら、行くな。」

キツい口調で言う俺に、つくしも怒ったように言い返す。

「なんで?なんで道明寺にそんな事言われなきゃいけないの?」

「山村の家に呼ばれてんだろ?」

「そうだけど」

「それがどういう意味か分かってんのかよっ。」

「どういうって……」

眉間に皺を寄せて俺を見つめるこいつは、今になってようやくその意味を考え始めてる。

そんなつくしの危うさと純粋さに無性に腹が立って、

俺は自分でも予想していなかった行動を取った。

隣に座り俺を見つめるつくしの顔に俺の顔を近づける。その距離15センチ。

目を見広げて固まるつくしに、

「この距離に山村を近づけるのか?」

と聞く。

何も言わないこいつに、俺はさらに近づく。

その距離10センチ。

もう、互いの息遣いが感じられる近さ。

そして、

「そんなの無理だろ。」

と呟いたあと、つくしの唇に俺のを軽く重ねた。

ファーストキス。

たぶん……つくしもそう。

軽く数秒重ねたあと、すぐに離して至近距離で見つめると、

じっと固まっていたつくしが突然、

「信じらんないっ!」

と俺の胸を突き飛ばし、部屋から出て行った。

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