僕らの時間 1

僕らの時間
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新しい連載です。
もしもシリーズという事で、
今回は、司とつくしが『同級生』の幼なじみ設定。
性格は原作通りの2人ですが、家はお隣さんで家族も顔なじみ。
少しずつ恋へと発展する2人をお楽しみください。

………………

『僕らが17歳の冬』

お袋から受け取ったNY土産を持ち、日曜の昼過ぎ俺はいつものように隣家のインターフォンを鳴らした。

「はーい。
あっ、司くん?どーぞー入って。」

その声は、俺が「チエコさん」と呼ぶ牧野家の母。
パタパタと玄関まで駆けてきて、ドアを開け招き入れてくれる。

「これ、ババァからの土産。いつものケーキ。」

「ありがと。
ババァって、その言い方いい加減にやめなさいよ〜。
楓さん、またNYに行ってたの?」

「3日間だけ。」

「ケーキ、一緒に食べてく?」

「ん。」

ババァがNYに行くと必ず土産に買ってくるチョコレートケーキ。
カヌレ風の生地に甘すぎないチョコが絶妙で、もちろん俺の好物でもあるけれど、何より1番このケーキを待ち望んでいるのはこいつだ。

「あっ!いつものケーキ?」

牧野家のリビングにあるソファ。
そこに寝転んでいた、俺の幼なじみであるつくしが目を輝かせてケーキの箱を見つめる。

「太るぞ。」

「はぁ?なら持ってこないでよ。」

「いらねーなら、持って帰るし。」

「いるっ。」

俺の手からケーキの箱を奪い取り、キッチンへと消えていく。
相変わらず女っ気のねぇ奴。

数分後、ケーキがのった3つの皿をお盆に乗せてリビングに登場したこいつの顔は満面の笑み。

「ほんと、いい香り〜。
やっぱり高級なお菓子は香りから違うよね〜。」

そう言いながら、幸せそうに食うこいつを見ると、わざわざ土産を持ってきてやった甲斐もあるなと密かに思う。

「道明寺、宿題やった?」

「あ?なんの?」

「数学のプリント。」

「あー、あんなの配られた瞬間に終わらせてやった。」

「はぁー、腹立つ。」

「天才って呼べ。」

俺たちのいつもの会話。そして、その先もいつも通り、

「見せて。」
と、当たり前のようにこいつが言う。

「自分でやれよなー。」

「出来るなら初めからそうしてるもん。
出来ないから頼んでるんでしょ。」

「見返りは?」

「んー、あんたの好きな紅茶いれてきてあげる。」

どうせ見返りなんてなくたって見せてやるのは分かってるくせに、毎回律儀に見返りを差し出してくる。

「後でプリント持ってきてやる。」

「じゃあ、今紅茶いれてくるから待ってて。」

そう言ってキッチンへと消えていくつくしは、日曜の昼過ぎなのにまだパジャマ姿だ。

「あいつ、今起きたの?」

チエコさんに聞くと、
「朝早く起きたのに、着替えもしないで机にかじりついて勉強してたわよ。」
と、笑う。

つくしは俺たちが通う英徳学園でも成績はかなり上位の方。
まぁ、ガキの頃から英才教育を受けて育った俺とは対照的に、あいつは努力でのし上がってきてる人間だ。

宿題だってもちろんやっているに決まってる。
ただ、かなりハイレベルの問題になるといつも俺の回答を見て確かめをする癖がついている。

キッチンからティーカップを持って戻ってきたつくしは、
「あたし、ちょっと調べ物あるから図書館に行ってくる。
プリント、部屋に置いといて。」
そう言って、パタパタと自室のある階段を上って行った。

…………
それから1時間後。

俺は再び牧野家に来ていた。
手には数学の宿題であるプリントを持って、2階のつくしの部屋へ向かう。

あいつは多分図書館に出掛けただろう。
そう思い、なんの躊躇いもなく部屋の扉を開けた瞬間、

俺は固まった。

そこに居たのは、着替え途中のつくし。
パジャマを脱ぎ、ピンクのブラジャー姿で、白い肌と胸の膨らみがはっきりと見えた。

「っ!ごめんっ、」
咄嗟にそう呟き、ドアを素早く閉じるけれど、もう遅いのは分かっている。

部屋の中から、案の定、つくしの叫び声。

「ぎゃーーーっ!
ばかっ、変態っ、痴漢っ!」

その声を聞きながら、俺は部屋の前で座り込むと、赤く火照る耳を両手で抑える。

すると数秒後、部屋の扉が開き、つくしが怒りながら俺に突進してきた。

「痛ってぇ!殴るなって!」

「殴られて当然のことしたからでしょ」

「おまえが部屋にいるって知らなかったんだよっ」

「ノックぐらいしなさいよっ」

「んなこと、今までした事ねーだろ」

俺に馬乗りになりながらポカポカ殴ってくるこいつは、相変わらず男勝りでガキの頃から変わってねぇ。

でも、
さっきの光景は想像以上にこいつを『女』だと感じさせるには十分で、

もうとっくにつくしを「幼なじみ」という枠の中だけでは見ることが出来ない俺にとっては、

かなり刺激的な光景だった。

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