アリーナとの電話を切ったあと、すぐに秘書課へコールする。
「はい、秘書課です。」
「牧野はいるか?」
「あっ、専務。
牧野さんは……、えーと、今席を外しておりまして」
「どこにいるっ?」
苛立ちを抑えずにそう聞くと、
「資料庫に行きましたっ。」
と、慌て答える社員。
それを聞いて俺はオフィスをでて、1つ下の階にある資料庫へ向かった。
大学の図書館を思わせる程の資料が整然と並べられた資料庫。
IT社会とは言え、紙ベースで残しておかなければならないデータも多々あり、フロアの半分を埋めつくしている。
午前中のこの時間は、ほとんど人がいない。広いスペースの中、俺は1列ずつ資料棚の間を牧野を探して歩きはじめた。
かなり奥まで来たところで、両手に分厚いファイルを抱えた小せぇ女を発見。
辺りを見回すと誰もいない。いじめるのにはかなりの好条件。
俺はその獲物にゆっくりと近づき、
「サボってんじゃねーよ。」
と、後ろから小さく声をかけた。
案の定、盛大に驚いたこいつは、持っていた資料を危うく落としそうになり、俺が上手くキャッチ。
「せ、専務っ!」
「シッ!」
声を出すなと制して、資料を床に置くと、俺は牧野の身体を資料庫の1番奥へと連れていく。
ここならカメラもねぇし、他のやつに見つかる心配もない。
何が起こったのか分からないこいつは、俺の顔を見上げながら、
「なんですか?!」
と、小さな声で聞いた。
「おまえのせいだからな。」
「…はぁ?」
「俺とアリーナの写真が撮られた。週刊誌に載るらしい。」
「えっ!!アリーナは?大丈夫ですか?」
驚いてそう聞く牧野。俺はムカついてこいつの身体をジリジリと資料棚に追い詰める。
「おまえは俺の心配はしねーのかよ。」
「それは…、」
「アリーナが俺に好意を持ってるって、おまえ知ってたらしいな。それで?俺たちをくっつけようとして昨日も途中で消えたのか?」
「……。」
「だとしたら、かなりのお仕置が必要だな。」
俺はそう言うと、牧野の身体に覆い被さるようにして唇を奪う。
「…っ!んっ……、専務っ」
抵抗しようとする腕を頭の上にあげて押さえ付けながら、牧野の両足の間に俺の脚を絡ませる。
いつも以上にやらしいキス。音がなりそうな所を、唇ですべて吸収して深く絡める。
手も足も拘束されているから逃げられない牧野は、そのうち身体が崩れそうになってきて、ようやく俺は唇を解放してやる。
「し、信じらんないっ。」
潤んだ目で睨んでも、ただそそるだけ。
「お仕置だろ。」
「なんのっ?」
「俺をアリーナに売った罰。」
「売ったって…、」
「社長もラファエルも、今回の写真が出ればビジネス的にもオイシイと思ってる。アリーナも俺との交際を望んでるから構わないって。
おまえは?どう思う?」
牧野の耳元でそう聞いてやると、牧野は数秒目を泳がせたあと、
「あたしには関係ないことなので。」
と予想通りの答え。
だと思ったよ。おまえはそうやっていつもクールに言いやがる。
俺たちの関係は無かったことにって。
それが無性にムカついて、俺は再びキスをする。
「クチュ…ンッ…ハァ……」
マジで気持ちいい。
これがいい雰囲気の二人なら言うことねーのに、実際はバタバタ暴れ出す女相手だから、こっちも力づく。
「ちょっ!変態っ!」
「声がでけぇ。誰かきたらやべーぞ。」
「ヤバいのは専務ですっ。」
普段は冷静沈着な秘書の牧野が、こうやって乱れ出すとますます俺の大好物。
牧野の右耳の下を軽く甘噛みしながら、
「俺とアリーナが付き合ってもいーのかよ。」
「……ンッ…別に…」
「ヤダって言わねーと、このままこの場で裸になるまで続けるぞ。」
本気じゃねーことくらい分かってるだろバカ。それなのに、拘束されてる脚を思い切っ切り伸ばして俺をケリつけるこいつ。
「いってぇ。」
「痛いじゃないわよ!これ以上やったら警察行きだからねっ。」
乱れた服を直しながら、俺を思いっきり睨んでくるこいつ。
と、その時、
遠くで扉が開く音がして、
「専務、いらっしゃいますか?」
と、西田の声がした。
同時に、目を合わせてヤバいという表情をする俺たち。
隠れていても仕方がない。
そろそろ仕事に戻る時間だと観念して、資料棚の影から出ていこうとする俺。
その腕を牧野が掴んで言った。
「付いちゃった。」
なんの事か分からずにこいつの目をのぞき込むと、
牧野は俺の唇を触りながら、俺にしか聞こえない程の小さな声で、
「あたしのリップが付いちゃった。」
と、気まづそうに言う。
その仕草に、多分俺の顔は西田に見せらんねぇほど赤い。
つい数分前まで、警察行きになってもおかしくない事をしてた男に、これは反則だろバカ。
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