俺の彼女 6

俺の彼女
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道明寺と香苗さんの3ヶ月におよぶ集中授業が始まった。
週に4日の授業は、邸に先生を呼んで3時間びっしりと指導を受けたあと、宿題もどっさり出るらしい。

その結果、今まではあたしのバイト終わりに迎えに来てくれて、束の間の夜のデートを楽しんでいたのも出来なくなり、日中も宿題を片付けるためキャンパスでは香苗さんといることが多くなった道明寺。

必然的にあたしたち二人の時間は大幅に減った。

3ヶ月の我慢だから……そう自分に言い聞かせても、頭の中はモヤモヤする一方。
その原因は……香苗さんの人柄にもよる。

彼女はとにかく、……可愛いのだ。
見た目も去ることながら、性格も◎。
常に彼女の周りは人で溢れている。
あたしと変わらない身長なのに、メリハリのある体型も羨ましい限りで、薄着の今の季節には男子たちの目の毒だ。

NY仕込みのファッションなのか、色白の手足を大胆に出した服装が多く、Tシャツにショートパンツが彼女の定番。
同じような服装の学生はたくさんにいるの、なぜか香苗さんは色っぽく見える。

そんな香苗さんと、道明寺は四六時中一緒にいるのだ。
隣の部屋にこんなに可愛い人が寝起きしていたら、どんな気持ちだろう…………。

そんなことを考えちゃうと、頭のモヤモヤはMAX。
『あたしは全然、平気。』
そう道明寺に言った手前、こんなに嫉妬してることは知られたくない。

今日もキャンパスの図書館には並んで座る道明寺と香苗さんの姿がある。
机の下で組まれた香苗さんの足は相変わらず綺麗。
ほんの少しずらせば、道明寺の足と絡まりそうなその距離に胸がキュッと苦しくなるあたし。
そんな二人にチラッと視線を送ると、道明寺もそれに気付いてすぐに携帯を取りだしなにやら操作している。

すると、あたしの携帯にメールの着信。

『いつものところで5分後に会おうぜ。』

『分かった。』

5分後に待ち合わせた場所は、今は使われていないキャンパス内の教室。
新しいキャンパスが建ったため今は資料室として使われているけれど、天井高く積み上げられた段ボールを見れば、要らないものを詰め込んだただの物置だということは分かる。

そこがあたしたち二人の秘密の場所。
キャンパス内で唯一二人きりになれる場所なのだ。

「ごめん、遅くなった。」

待ち合わせより5分遅れて到着した道明寺は、そう言ってあたしの頭を優しく撫でる。

「勉強はいいの?」

「ああ。まだ出された課題は終わってねぇけど、息抜きもしねーと。」

ニヤッと笑いながらあたしの体を後ろからすっぽりと抱きしめた道明寺は、あたしの耳元で、
「今日もバイトだろ?」
と、聞いてくる。

「うん。」

「今日も迎えに行ってやれねぇけど、大丈夫か?」

「大丈夫。」

「運転手に迎えに行かせるから、車に乗って帰れ。」

「いいって、大丈夫。
そんなに遅くならないし、暗い道は通らないから、心配しないで。」

背中に張り付いている道明寺にそう言うと、
「心配に決まってんだろ。」
そう呟いて、耳元にキスをする。

最近の道明寺はこういう仕草が増えた。
前まではキスは唇に……が定番だったのに、ここ最近は耳や首にすることも多くなって、自然とその先を連想させるような動作が増えた。

しかも、その動作がスマートすぎる。
心臓が破裂するほどドキドキしてるあたしとは逆に、道明寺はいつも余裕で、あたしの戸惑いをからかうように優しく攻めてくる。

そんなとき、あたしはバカみたいに少しだけ思ってる。
もしかして、道明寺はこういうこと初めてじゃないのかも……。
そして、相手はもしかして香苗さん?

道明寺を決して疑ってる訳じゃない。
でも、心のど真ん中には常に同じ思いがあって、
「香苗さんには敵わない。」
そう自分でも完敗を認めているから、

だから、尚更、
嫉妬してるなんて恥ずかしいこと……言えそうもない。

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