こはるびより

こはるびより 8

こはるを勤務する病院まで車で送るようになって2週間が過ぎた。 もちろん、夜勤の日もあるから毎日ではないけれど、週4日は一緒に邸を出る。 車中では相変わらずほとんど会話はない。その日の手術の確認なのか、タブレットで臓器の生々しい...
こはるびより

こはるびより 7

治療を終えたこはるが部屋に戻ってきた。その腕には白い包帯が巻かれている。 「大丈夫か?」 「平気。」 そう答えて自分の部屋に入ろうとするこはるに俺は直球で言った。 「こはる、右耳はいつから聞こえていない?」 ...
こはるびより

こはるびより 6

昨夜、こはるにメールをしたが既読になったまま返信はない。 あいつは家に帰ってくるだろうか、それとも今日もまた病院に泊まるのだろうか。 どちらとも分からないまま時間だけが過ぎていき、20時を回った頃、俺たちの部屋の扉が開いた。 ...
こはるびより

こはるびより 5

結局、昨夜は笹倉邸に帰らず、勤務する大学病院の当直室で一夜を明かした。 そして今日、寝不足のまま白衣に着替え病棟に行き、いつものように朝の回診を済ませたあと、コーヒーを片手に病院の屋上にあがった。 そして、ベンチに座り空を見上...
こはるびより

こはるびより 4

笹倉家の義父は昔から、国内にある優秀な大学や企業の研究チームを支援するため多くの寄付金を出してきた。 そのうちの一つが、こはるが勤める大学病院の新井ドクターのチームで、先日国内初の移植を成功させ世間を賑わせたばかりだ。 その祝...
こはるびより

こはるびより 3

午前中に1件、少し休んで午後から1件の手術を終え、体力的にも精神的にもクタクタだ。 ドクタールームの「笹倉こはる」というプレートが置かれた自分の席に深く腰を下ろし、ガンガンに張った肩を揉みほぐしながら「はぁーーー」と息を吐く。 ...
こはるびより

こはるびより 2

こはるとの冷めた夫婦生活はもう3年以上も続いている。 笹倉邸の西棟は俺たち若夫婦のために広いリビングと大きな2つのベッドルームがある専用スペースだ。 そのベッドルームは元々夫婦のものと、生まれてくる子供のために作られたものだが...
こはるびより

こはるびより 1

この作品は道明寺司のラブストーリーです。相手役はつくしではありません。キュンキュンするような作品になれば…と思っています。どうぞお付き合いください。 ……………… ここは都内の高級住宅が並ぶ一等地。 そこに道明寺邸よりも...
お知らせ

新作について

前サイトも含めて約10年、色々な設定のつかつくを書いて参りました。 その中でも書きたくても書けなかった設定がありまして、それはつくしの方が司よりもお嬢様だという設定です。 何度か書いてみたのですが、どうしてもイメージが合わなく...
眠れない夜

眠れない夜 41(最終話)

…………半年後………… 数日前に町長宛てに一通の書類が届いた。それはあの視察団からの報告書だ。 視察団が帰って以降、なんの音沙汰もなく季節は冬を迎えようとしている。役場の職員や町民の間では、ホテル建設の話は白紙になったのだろう...
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