絡まる赤い糸

絡まる赤い糸 2

あの日から1ヶ月が経ったが、私の頭の中にはあの光景が忘れられない。 花江さんに駆け寄る男の子とその母親。それは間違いなく、つくしちゃんだった。 彼女と最後に会ったのは5年前。銀座の小さな喫茶店で人目を避けるようにして会った。お...
絡まる赤い糸

絡まる赤い糸 1

紫門 椿。旧姓は道明寺 椿。 8年前、ホテル王である紫門(さいもん)家の一人息子と結婚しロサンゼルスに移住した。 結婚してからは、紫門家の仕事も手伝いつつ、母が所有する楓ホテルのオーナーとなり、旦那とともに忙しく世界中を飛び回...
こはるびより

こはるびより 26

4年後。 「司、小雪のお昼寝バッグ持った?」 「ああ、もう車に積んだ。」 「帰りは私が迎えに行くって先生に伝えてね。」 「分かった。こはる、そろそろ時間だぞ。」 「あっ、遅刻しちゃう!じゃあ、行ってくるね。」...
こはるびより

こはるびより 25

嫌な予感は的中した。 道明寺邸から帰ってきて数日、こはるの体調が良くない。 食べすぎたのか胃痛と吐き気が続き、今日の朝は微熱まである。 ベッドに横になるこはるに 「大丈夫か?」 ここ数日、俺は何度も同じ言葉を...
こはるびより

こはるびより 24

笹倉邸の俺たちの住居スペースには、今日も甘い雰囲気が流れている。 いつの間にか寝室も一緒になり、2度目の新婚生活を満喫している俺たち。 「行ってくる。」 「行ってらっしゃい。」 そう言葉を交わし、軽くこはるの唇にキ...
こはるびより

こはるびより 23

最近の俺たちは、まるで新婚のような暮らしをしている。 別々だった寝室もいつしか一緒になり、仕事中以外は常に一緒。 どこに行くにも2人で……が当たり前になった。 そして今日は、月に一度のこはるの検診日。午後から仕事の休みを...
こはるびより

こはるびより 22

店を出てタクシーに飛び乗ると、類から携帯に動画が送られてきた。 さっき見たあの動画だ。 まさか4年前のあの呑み会で動画を回していたとは夢にも思わなかった。 けれど類には感謝してもしきれない。 これをこはるに見せれば...
こはるびより

こはるびより 21

あきらが日本に帰国した。半年後の結婚式を控えて色々と準備が忙しそうだ。 あきらの婚約者はアジア系アメリカ人で、仕事の付き合いで3年前に知り合い、その後ゆっくりと関係を深めていった。 昔はマダムキラーと呼ばれていたあきらだが、結...
こはるびより

こはるびより 20

あの日以来、俺たち夫婦はお互いを意識しあっている。 それもそのはず、あんなに濃厚なキスをしたあと、普通に何も無かったようには暮らせない。 正直、近頃はあのキスを思い出し夜も眠れなくなるほどだ。攻めて攻めてこはるの舌を誘い出し、...
こはるびより

こはるびより 19

出張最終日の夜。 父と夫は経済界の重鎮らが集まるパーティーに招かれていて夕方からその準備でバタバタとしていた。 「こはるも一緒に行かないか?」 そう父に聞かれ、即座に首を振ってみたけれど、テーブルに置かれた招待客リストを...
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