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こはるびより

こはるびより 14

邸に入ると、こんな時間にも関わらずたくさんの使用人たちが出迎えてくれた。 「お帰りなさいませ、お嬢様。」 「ただいま。……遅くなりました。」 申し訳なく思い頭を下げると、一斉に使用人たちも頭を下げる。 本当に申し訳...
こはるびより

こはるびより 13

耳の不調が出るようになってから3ヶ月が過ぎた。初めは耳に何かが詰まったようで聞こえにくい程度だったが、今は左耳はほとんど聞こえない状態にまで悪化している。 特に、夜勤が続き疲れていたり、夜眠れずに寝不足で目覚めた翌日は、聞こえる方の...
こはるびより

こはるびより 12

パーティー会場から抜け出した私たちはホテルの前からタクシーに乗った。 「楓ホテルまで。」 夫がそう告げるのを聞きながら、義母が所有する高級ホテルを思い出す。 確か、結婚したての頃はよく楓ホテルのバーで2人でお酒を呑み、そ...
こはるびより

こはるびより 11

三吉会長の喜寿のパーティー当日。 こはるは病院での仕事を終えてから到着する予定なので、俺は義両親と共に先に会場に入っていた。 20時からのパーティー。なかなかこはるは現れない。きっとまた緊急の手術が入って来られないのだろうか。...
こはるびより

こはるびより 10

笹倉邸 夫が家を出てから5日が過ぎた。 父は私たち夫婦が不仲で別居したことを知っているけれど、母は何も知らない。 もともとお嬢様育ちの母は、人を疑うということを知らない人だ。 だから、夫が道明寺家の仕事の関係で長く...
こはるびより

こはるびより 9

緊急で入った手術を終えて、ドクタールームへ戻ろうとしていた時、背後から 「笹倉っ!」 と、切羽詰まった声で呼び止められた。 「本田先生、どうしたんですか?」 また急患が来たのだろうか、そう思ったが、本田先生の次の言...
こはるびより

こはるびより 8

こはるを勤務する病院まで車で送るようになって2週間が過ぎた。 もちろん、夜勤の日もあるから毎日ではないけれど、週4日は一緒に邸を出る。 車中では相変わらずほとんど会話はない。その日の手術の確認なのか、タブレットで臓器の生々しい...
こはるびより

こはるびより 7

治療を終えたこはるが部屋に戻ってきた。その腕には白い包帯が巻かれている。 「大丈夫か?」 「平気。」 そう答えて自分の部屋に入ろうとするこはるに俺は直球で言った。 「こはる、右耳はいつから聞こえていない?」 ...
こはるびより

こはるびより 6

昨夜、こはるにメールをしたが既読になったまま返信はない。 あいつは家に帰ってくるだろうか、それとも今日もまた病院に泊まるのだろうか。 どちらとも分からないまま時間だけが過ぎていき、20時を回った頃、俺たちの部屋の扉が開いた。 ...
こはるびより

こはるびより 5

結局、昨夜は笹倉邸に帰らず、勤務する大学病院の当直室で一夜を明かした。 そして今日、寝不足のまま白衣に着替え病棟に行き、いつものように朝の回診を済ませたあと、コーヒーを片手に病院の屋上にあがった。 そして、ベンチに座り空を見上...
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