絡まる赤い糸

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絡まる赤い糸 7

「ママっ、ねぇ、ママ聞いてる?」 後部座席に座るとうりの声であたしは我に返る。 「ん?ごめん。何?」 「あのね、僕、ママに怒られることしちゃった。」 「怒られること?」 「うん。今日、チーズたっぷりのピザを食...
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絡まる赤い糸 6

「ピザがいい」 男の子のリクエストに応えて、俺はすぐにピザのデリバリーに電話をかけた。アメリカンサイズのピザは想像以上にデカいだろうと予測してMサイズを2枚と、他にもポテトを頼む。 「困ります。」 と、遠慮するベビーシッ...
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絡まる赤い糸 5

心愛のベビーシッターを……と自分から引き受けたはいいが、現実はそんな甘いものじゃないと早くも3日目で後悔している。 3歳児は怪物だ。 自分ではほとんど何も出来ないくせに、口だけは達者で、あれをして、これをしてと俺にせがんでくる...
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絡まる赤い糸 4

昨夜は勢いで司の言葉に「お願いします」と飛びついたはいいけれど、一夜明けて冷静になって考えてみるとまずい気がしてきた。 司を連れてロスに帰れば、もしも万が一つくしちゃんに遭遇してしまうことがあるかもしれない。 何年も暮らしてい...
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絡まる赤い糸 3

夕方5時を過ぎた頃、ようやく人気作家の類が俺たちのいるバーにやってきた。 「遅くなって悪い。」 「おつかれ〜。すげぇ、人気じゃん。」 「サイン会なんてしなくていいって言ってんのに、出版社側が毎回うるさいんだよ。こんな事な...
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絡まる赤い糸 2

あの日から1ヶ月が経ったが、私の頭の中にはあの光景が忘れられない。 花江さんに駆け寄る男の子とその母親。それは間違いなく、つくしちゃんだった。 彼女と最後に会ったのは5年前。銀座の小さな喫茶店で人目を避けるようにして会った。お...
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絡まる赤い糸 1

紫門 椿。旧姓は道明寺 椿。 8年前、ホテル王である紫門(さいもん)家の一人息子と結婚しロサンゼルスに移住した。 結婚してからは、紫門家の仕事も手伝いつつ、母が所有する楓ホテルのオーナーとなり、旦那とともに忙しく世界中を飛び回...
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