絡まる赤い糸

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絡まる赤い糸 19

「ママへの誕生日プレゼントでしょ?」 冬季にそう言われ、ハッとする。 今日は12月28日。つくしの誕生日だ。 一瞬気まづそうな表情をしてしまい、 「時差で曜日感覚がズレてんだよ、今日が何日か…」 と、言い訳を...
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絡まる赤い糸 18

「この件には口出しするな。」 親父からそう冷たく突き放されて、激しい頭痛を抱えながら一夜を明かした。 もうロサンゼルスにいる意味が無くなった。つくしとは5年前に終わったのだ。何を今更蒸し返そうとしているのか。 何度も自問...
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絡まる赤い糸 17

どこから漏れたのか、石橋家で開かれたパーティーの写真が流出した。 それも、どの角度から撮ったのか…と思わせるような巧妙なアングルで、石橋家の3人と俺とババァがフレーム内に綺麗に収まっている。 マスコミが騒ぎ立てるのも仕方がない...
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絡まる赤い糸 16

駐車場の奥から3台目にいつも停めている愛車のSUV車が見えた。 遠目からでは中の様子は分からなかったが、近くまで近づくと、助手席に黒い人影が見えた。 どうやら大人しく車の中で待っていたのだろう。 いつものように運転席を開...
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絡まる赤い糸 15

3日後、俺はロスへの飛行機に乗っていた。 親父が何の目的でつくしの会社を調べていたのか、そして同じ頃、遺伝子情報解析センターで誰のDNAを調べていたのか。 親父に聞けば早い。でも、俺はこの目でもう一度つくしの息子である冬季の顔...
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絡まる赤い糸 14

翌日の昼休み。俺はオフィスのソファに横たわりながら昨夜のタマの話を思い返していた。 坂東が道明寺邸を去った理由は親父との何らかのトラブルなのだろうか。それと遺伝子情報解析センターからの郵便物とは何なのか。 かなり気になる情報だ...
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絡まる赤い糸 13

どこから手をつければいいか…と考えると、やはり執事の坂東の周辺を調べるべきだと行き着く。 坂東は俺が物心ついた時から道明寺邸で働いていた。歳は50代半ば、親父やババァと同じくらいだろうか。 次の日、俺は道明寺邸に関する資料が置...
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絡まる赤い糸 12

石橋家のパーティーを終え道明寺邸に戻ると、スーツを着替えることも無くソファーで目を閉じ、自分の考えに集中させる。 坂東と繋がっているのは石橋夫妻ではなく娘の希美だ。だとしたら、何が目的なのか。 考えられることはひとつしかない。...
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絡まる赤い糸 11

婚約して3年目で初めて石橋家の門をくぐった。 石橋家は曽祖父の代に石橋産業を創設、その後、祖父は政界にも手を広げ官房長官にまでのし上がった人物だ。 曽祖父と祖父で約80年余り日本を代表する企業として名を馳せ、現在はその息子であ...
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絡まる赤い糸 10

その一週間後、俺は日本に帰国していた。 年末までロスで過ごすと話していたのに、急に日本に帰ると言い出した俺に、 「やっぱりあんたに心愛のお守りは無理だったのね。」 と、姉ちゃんが呆れて言う。 「ちげーよ。やり残した...
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