バカな男

こはるびより

こはるびより 25

嫌な予感は的中した。 道明寺邸から帰ってきて数日、こはるの体調が良くない。 食べすぎたのか胃痛と吐き気が続き、今日の朝は微熱まである。 ベッドに横になるこはるに 「大丈夫か?」 ここ数日、俺は何度も同じ言葉を...
バカな男

バカな男 17(最終話)

久しぶりに二人で迎える朝。布団の温かさと、隣にいる牧野のぬくもりが気持ちよすぎて、なかなか目を開けられない。 ウトウトしてる俺のとなりで牧野が動く気配がして、俺もゆっくりと瞼を開けようとしたとき、 「信じらんない」と牧野が呟い...
バカな男

バカな男 16

久しぶりに抱き締めた牧野の体。いつもの『あの』香りがして、安心するとともに嬉しさが込み上げる。 牧野を腕の中に閉じ込めたまま、俺はどーしても気になってしょーがねぇことを口にした。 「なぁ、牧野。昨日のあいつ、誰?」 「え...
バカな男

バカな男 15

西田さんに再び連れてこられた場所は、ホテルメープル。 西田さんに促され、車をおりると「私はここで失礼致します。バーでお待ちですので、煮るなり、焼くなり、牧野様のお好きなようにして下さい。」 言われた意味がすぐにピンとこないが、...
バカな男

バカな男 14

昨日、あんなことがあって、きっとあいつは誤解してる。 でも一日たって冷静になってみると、あれでよかったのかもしれないと思える。酷い女だと思われてもいい。すぐに新しい彼氏を作ったと軽蔑されてもいい。悲しまれるより、憎まれた方がずっとい...
バカな男

バカな男 13

「月が綺麗だな。」あのメールが送られてきた日からずっと、同じような時間に道明寺からメールが送られてくる。 それはいつも短い文で、まるで独り言のようなもの。今日もまた寝る寸前に、 「おまえがNYで見た映画、日本にもやっと来たな。...
バカな男

バカな男 12

「あぁ、終わっちゃった。」自分の声があまりにも悲しげで、その事に少し驚いた。 道明寺をあの公園においてきたあと、どこをどう通って家までたどり着いたのか、はっきりと覚えていない。気づいたら、自分のマンションの部屋にいて、いつも通り夕飯...
バカな男

バカな男 11

牧野との約束の日曜日。意外にもあいつが指定してきた場所は美術館だった。美術館の入口に入っていくと、すでにあいつが待っていて俺を見つけると「これ」と言って1枚のチケットを渡してきた。「これ、見たかったの。付き合って。」それは、今、美術館で開...
バカな男

バカな男 10

牧野を腕の中に閉じこめた。NYでの逢瀬から4ヶ月。久しぶりのこいつの温もりと香りに包まれて、全身に安堵感が広がる。 さらに腕に力を入れてギュッと体を密着させようとした時、俺の膝下に牧野の蹴りがヒットした。 「痛てぇーっ。」 ...
バカな男

バカな男 9

俺は今、すげー後悔してる。帰国祝いと称していつものメンバーで飲んだあの日から10日あまり、毎日のようにため息をついている。何故かと言うと、『なんで俺はあいつの携帯番号を聞かなかったんだ』と悔やむ。 滋にでも聞けば教えてもらえるかも知...
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