司一筋

絡まる赤い糸

絡まる赤い糸 5

心愛のベビーシッターを……と自分から引き受けたはいいが、現実はそんな甘いものじゃないと早くも3日目で後悔している。 3歳児は怪物だ。 自分ではほとんど何も出来ないくせに、口だけは達者で、あれをして、これをしてと俺にせがんでくる...
絡まる赤い糸

絡まる赤い糸 4

昨夜は勢いで司の言葉に「お願いします」と飛びついたはいいけれど、一夜明けて冷静になって考えてみるとまずい気がしてきた。 司を連れてロスに帰れば、もしも万が一つくしちゃんに遭遇してしまうことがあるかもしれない。 何年も暮らしてい...
絡まる赤い糸

絡まる赤い糸 3

夕方5時を過ぎた頃、ようやく人気作家の類が俺たちのいるバーにやってきた。 「遅くなって悪い。」 「おつかれ〜。すげぇ、人気じゃん。」 「サイン会なんてしなくていいって言ってんのに、出版社側が毎回うるさいんだよ。こんな事な...
絡まる赤い糸

絡まる赤い糸 2

あの日から1ヶ月が経ったが、私の頭の中にはあの光景が忘れられない。 花江さんに駆け寄る男の子とその母親。それは間違いなく、つくしちゃんだった。 彼女と最後に会ったのは5年前。銀座の小さな喫茶店で人目を避けるようにして会った。お...
絡まる赤い糸

絡まる赤い糸 1

紫門 椿。旧姓は道明寺 椿。 8年前、ホテル王である紫門(さいもん)家の一人息子と結婚しロサンゼルスに移住した。 結婚してからは、紫門家の仕事も手伝いつつ、母が所有する楓ホテルのオーナーとなり、旦那とともに忙しく世界中を飛び回...
こはるびより

こはるびより 26

4年後。 「司、小雪のお昼寝バッグ持った?」 「ああ、もう車に積んだ。」 「帰りは私が迎えに行くって先生に伝えてね。」 「分かった。こはる、そろそろ時間だぞ。」 「あっ、遅刻しちゃう!じゃあ、行ってくるね。」...
こはるびより

こはるびより 25

嫌な予感は的中した。 道明寺邸から帰ってきて数日、こはるの体調が良くない。 食べすぎたのか胃痛と吐き気が続き、今日の朝は微熱まである。 ベッドに横になるこはるに 「大丈夫か?」 ここ数日、俺は何度も同じ言葉を...
こはるびより

こはるびより 24

笹倉邸の俺たちの住居スペースには、今日も甘い雰囲気が流れている。 いつの間にか寝室も一緒になり、2度目の新婚生活を満喫している俺たち。 「行ってくる。」 「行ってらっしゃい。」 そう言葉を交わし、軽くこはるの唇にキ...
こはるびより

こはるびより 23

最近の俺たちは、まるで新婚のような暮らしをしている。 別々だった寝室もいつしか一緒になり、仕事中以外は常に一緒。 どこに行くにも2人で……が当たり前になった。 そして今日は、月に一度のこはるの検診日。午後から仕事の休みを...
こはるびより

こはるびより 22

店を出てタクシーに飛び乗ると、類から携帯に動画が送られてきた。 さっき見たあの動画だ。 まさか4年前のあの呑み会で動画を回していたとは夢にも思わなかった。 けれど類には感謝してもしきれない。 これをこはるに見せれば...
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