眠れない夜 1

眠れない夜
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新作です。

時系列的に司とつくしが同級生という設定になります。少し長いストーリー予定。どうぞお付き合いくださいませ〜。

…………………………

バイトの面接日。

大学に入学した時に両親に買ってもらったリクルートスーツを着て、電車に揺られ面接場所へと向かう。

高校の時からいくつものバイトを経験してきたけれど、面接でここまで緊張するのは初めてかもしれない。

なぜなら、今日受けるバイト先は日本で最も格式が高いと言われている最高峰のホテル。

そこの1階にあるラウンジカフェで裏方のバイト募集が出ていたのだ。

決めてはもちろん時給。

1時間で1600円と他よりも2割増しだ。

週に4回入れば、それなりに生活費の足しになる。

今のあたしにはかなり有難い好条件。

なんとしてでも面接をクリアして働きたい。

電車を降りホテルまでの道のりを歩きながら腕時計を見ると、面接時間より30分も早い。

どこかで時間を潰してから行こうか……、そう思い辺りをキョロキョロと見回していると、

ふと、前方から歩いてくる白髪の男性が目に入った。

オシャレなハンチング帽を片手に持ち黒い艶のある杖を付くその男性の足取りがどこかおぼつかない。

足が悪いのか?そう思ったが、いやそれだけでは無さそうだ。完全にふらついて真っ直ぐに歩くことが出来ていない。

声をかけて休ませようか……そう思い早歩きで近づいた時だった。

あたしの目の前でその男性が倒れたのだ。

「あっ!大丈夫ですかっ?」

慌てて抱き抱えたけれど、老人だといってもかなり身体は大きい方。

あたしの力では支えきれず一緒に地面にお尻をついてしまった。

「あのっ、大丈夫ですかっ?」

もう一度声をかけるが反応は無い。

どうしよう、誰か助けて!

そう思い周囲を見ると、ちょうど通りを横切る女性と目が合った。

「すみません!救急車、呼んで貰えますかっ?」

あたしの声にその女性が大きく頷き携帯を取り出す。

その間、男性の顔を覗き見ると、真っ青で血の気がなく声掛けにも反応しない。

「救急車呼びましたよ!どうしたんですか?」

「分からないんです。急に倒れて……」

「知り合いなの?」

「違います。」

「救急車、今来るから、それまで動かさない方がいいわね。」

女性がそう言って、あたしの膝の上に倒れ込んでいる老人を心配そうに見る。

そのうち10分程で救急車が到着した。

担架に乗せられ老人は運ばれていく。

救急隊員からはことの経緯を聞かれ、最後に一応という事であたしの名前と住所も聞かれた。

救急車が走り去っていくのを眺めながらあたしはハッと我に返る。

そうだった、バイトの面接!

時計を見ると8分前。

慌ててホテルまで全力疾走をした。

………………

ホテルのフロントで面接に来たと伝えると、直接ラウンジへ行ってくださいと伝えられた。

ラウンジ内に入ると、

「担当の者が来ますのでお待ちください」と奥の席へ案内される。

クラッシック曲が流れる店内。

客はまばらだが、どの人も上品でやはり普通のホテルとは客層が違うのは一目瞭然だ。

あたしは鞄から手帳を取りだし、何を聞かれてもいいように用意してきたメモをもう一度読み返していると、

ふわふわなカーペットを歩く微かな足音がして顔を上げた。

「司?」

面接官だと思って顔を上げたあたしの目に映ったのは、あたしの斜め横に座る男性に話しかける綺麗な女の人。

司と呼ばれた人の方をチラッと見ると、その顔は驚きで固まっている。

どうやら、この2人はここで待ち合わせをしていた訳では無さそうだ。

「……美音(ミオ)?」

「久しぶりね司。どうしてここに?」

旧友との嬉しい再会か……。そう思いながらあたしは再び手帳に視線を戻したが、次の言葉で2人の雰囲気が一変する。

「おまえには関係ねーだろ。」

「フフ…相変わらずね司は。」

「気安く話しかけてんじゃねーよ。」

そう呟くように言った言葉に、聞いているこっちの方がカチンとくる。

なんて男だ!

こんな綺麗な女性に対して横暴で乱暴な態度。

腹が立って、あたしはその男をキィッと睨みつけてやる。

すると、向こうもあたしの視線に気付いたのか、あたしの方を真っ直ぐに見た。

その時、あたしは気付いてしまった。

あ、この男……

確か司と呼ばれていたっけ。

という事は、あたしの見間違いでは無いだろう。

間違いなくこの男は

「道明寺司」だ。

同じ英徳大で「天下の道明寺様」なんて呼ばれている有名人。

話したこともなければ間近で見たこともなかったけれど、大学のパンフレットや経済誌などで何度か写真は見たことがある。

成績もよく家柄もよくルックスも良し。

どんだけ完璧な男かと想像していたけれど、実際はとてつもなく嫌な奴だったとは。

まぁ、あたしには関係ない事だ。

どうぞ、喧嘩でもなんでもしてくださいな。

そう思いながら2人を見つめるあたし。

でも、その時はまだ知らなかった。

この後、あたしがこの2人の間に挟まれて、

とんでもない日々を過ごすことになるとは……。

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