ライバルとなんて、恋しない 30(最終話)

ライバルとなんて、恋しない
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2日続いた雨が上がり、今日は快晴の空。

定時で退社したあたしは、千石バーのあるビルへと向かう。

1年前は週3で通っていたバーも、最近は2週間に一度行けばいい方。すっかり疎遠になってしまった。

その訳は、

3ヶ月後に迫った「結婚」

そう、あたしはとうとう道明寺と結婚するのだ。

仕事のライバルとして始まった関係は紆余曲折を経て、まさかの結婚というゴールにたどり着いた。

本人も驚いているけれど、それ以上に周囲の驚き方が半端ない。

仕事でバチバチにやり合っていたあたし達を知っている関係者は、

「まさか、あの2人が?」

と、口をあんぐりさせているらしい。

あたしだってこんなトントン拍子に結婚まで来るとは思わなかった。

それもこれも道明寺の押しの強さが決め手だけれど、それも悪くない。

元々、あたしの将来の夢は「お嫁さん」だったから。

幸せな結婚をして子供を産んでほのぼのと暮らす。

将来、道明寺ホールディングスを引っ張る道明寺との結婚がほのぼのかと言われれば違う気もするけれど、一緒に幸せになりたいと思う人も、この人の子供が欲しいと思える相手も、道明寺だけだから仕方がない。

千石バーのあるビルに到着し、久しぶりにバーの扉を開けると、いつものように優しい声で

「つくしちゃん、おかえりなさい。」

とママが出迎えてくれる。

「はぁー、やっぱりここは癒されるぅー。」

そう言いながらカウンター席に座ると、

「でしょ〜、その気持ちわかるぅ〜。」

と、もう既に半分ほどグラスを空けた優紀が言う。

そして、その優紀の隣には梨花さんまで。

「梨花さん、お店は?」

「いーのいーの。今日は気が向いたら店に出るってママに伝えてあるから。」

「クス……気が向いたらって」

「だってー、お姉さんに会うのも久しぶりだし、道明寺さんも最近お店に来てくれないから、」

「ほんとそう、つくしが遊んでくれなくて私も寂しいー。」

梨花さんと優紀があたしを睨むようにして言う。

すると、そんな2人を呆れたような顔で見ながらママが言った。

「何言ってるのよ、あなた達。つくしちゃん聞いて、この2人ったら最近随分楽しそうなのよ。」

「え?楽しそう?」

「そう、実はね、このバーに最近新しいお客様が増えて、そのお客様と仲良くなったのよね〜。」

「新しい客?」

あたしがそう聞くのと同時に、バーの扉が開き、

「こんばんはー。お邪魔しまーす。」

と、ゾロゾロと男連中が入ってきた。

そして、あたしの顔を見るなり、口々に

「おー、牧野さん、おつかれ〜。」

「来てたんだね〜。」

「もう、飲んでる?」

と、聞いてくる。

「えっ、みんなどうしたの?」

驚くあたし。

それもそう、この男連中は、張社長と一緒に飲みに行ったあのメンバーなのだ。

「つくしちゃん、みんなに千石バーのこと宣伝してくれたんだって?それ以来、もう何度も来てくれてるのよ〜、優紀ちゃんや梨花ちゃんともすっかり顔なじみになっちゃって。」

確か、2ヶ月くらい前にみんなに結婚を報告した時、その飲み会で千石バーの事を話した記憶がある。

道明寺とあたしが付き合うきっかけになったのもこのビルでの数々のニアミスを経てだから。

みんなに付き合うまでの経緯をしつこく聞かれ、

「行きつけにしているお店がたまたま同じビルだった」と話したのだ。

「この近くで飲んでた時にその時の話を思い出して、ふらっとここに立ち寄ったら、もう俺たちすっかりママのファンになっちゃってさー。」

そう言いながら、自然な動作で優紀の隣に座る佐々木さん。

それを見てあたしは「ふ〜ん。」と笑みが盛れる。

なによ、なんだかんだ言って、優紀も佐々木さんもお互いここに来る理由があるって訳ね。

いい雰囲気を醸し出している2人。

そして他のメンバーも梨花ちゃんとすっかり仲良くなっている様子。

そんな光景をニヤニヤしながら見つめていると、

再びバーの扉が開いた。

そして、次に姿を現したのは、今日ここで会う約束をしていた道明寺だった。

「道明寺さんっ!」

道明寺の顔を見るなり嬉しそうに駆け寄っていく梨花さん。

思いっきり抱きつこうとして、道明寺におでこを押さえつけられ阻止される。

「それ以上来んなよ。」

「なんでですかー、いいじゃないですか、久しぶりに会ったんだからっ」

「接触禁止だって言ったろ。」

「ケチくさっ、ハグするくらい挨拶なんだからいいじゃないですかっ」

「よくねぇ。」

そう言いながら梨花さんから離れてあたしの方にやってきた道明寺は、

あろう事か、あたしの身体をすっぽりと両手で包み込みながら

「俺に触っていいのはこいつだけ。」

と、言い出した。

みんなの前で、何を言い出すこの人はっ。

「道明寺っ!」

急激に頬が赤くなるのを感じながらあたしは道明寺を睨むと、

道明寺はニヤッと笑いながら

あたしの頭をクシャっと撫でた。

「さぁ、今日は朝まで貸切よー。

つくしちゃんと道明寺さんの結婚を祝ってカンパーイ!」

ママの声が店に響き渡る。

そして、あたしの大事な仲間たちが声を揃えて言った。

「カンパーイ!!」

Fin 

お付き合いありがとうございました。

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