ドクター!19

ドクター
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『殴られてよかった。おまえと一緒にいれる。』

返す言葉が見つからないほど、
なんてバカなんだろう。

固まるあたしを、洗面台に座ったまま引き寄せる道明寺。
長い足の間に挟まれて至近距離まで迫ってくる熱っぽい視線に目を合わせないようにするのがやっと。

「牧野、ここも消毒して。」

そう言って道明寺が指差すのは、鎖骨の下の赤い切り傷。
あたしは言われるがままワイシャツを少しだけずらして、その部分に綿棒を当てる。

道明寺の引き締まった体を見るのは久しぶりで、
鎖骨のホクロが昔の甘い記憶を思い出させる。

それを断ち切るかのように、綿棒を当てていた手を道明寺から離すと、そのあたしの手を逃がさないように、道明寺が掴んだ。

「道明寺っ。」

「牧野、」

「離して。」

「離さねぇ。」

道明寺が更にあたしを引き寄せる。
そして、二人の時にしか見せない甘えた顔で言った。

「おまえに会いたくて殴られたんだから、
もう少しだけ慰めて。」

そう言った道明寺は、
あたしの抗議の声なんて全部飲み込んで、
信じられないほど強引で、
信じられないほど優しい、……キスをした。


1度離れた唇はすぐに引き寄せられるように牧野へと向けられる。
逃げそうになるこいつの顔を両手で包み込み、
精一杯優しく、それでいて、精一杯感じさせたい。

「……んっ……道明寺。」

「好きだ牧野。」

牧野の体から力が抜けてきた頃には、俺の殴られた唇の痛みも感じられないほど夢中で、
俺は牧野の体を抱き上げると、くるりと体制を逆転させ、洗面台の上にこいつを座らせた。

赤く火照った顔で睨みながら、
「信じらんないっ。」
と呟くこいつに苦笑しながら、

「怪我人にはもっと慰めが必要なんだよっ。」
そう言って牧野の耳を甘噛みする俺に、

「調子に乗るなっ!」
とパンチを繰り出すこいつ。

分かってる。
いくら全身で欲してるとはいえ、このまま先に進めるほど俺は鬼畜ではない。
そう自分に言い聞かせ、なんとか理性を総動員して踏みとどまる。

洗面台の上に座らせた牧野は、すげー小さくてめちゃくちゃ可愛くて、もう一度軽くチュッとキスをすると

「っ!道明寺っ!」
すぐに暴れだす。

「なんだよ、うるせーな。」

「なんだよじゃないでしょっ!
どうしてこういうことになるのよっ。」
俺の胸をバシッと叩く牧野。

「触るからだろ。」

「はぁ?」

「おまえに体触られたら抑えがきかねぇ。
そんなの昔から分かってるだろ。」

「消毒してって言ったのはあんたでしょ!」

「6年間、してねーんだから、しょうがねぇだろ。
好きな女に触られたら、反応するだろ普通。」

「…………。」

あまりの直球になにも言わず固まる牧野。

「これでもすげー我慢してんだぞ。
我慢しなかったら…………」

言葉に出すと堪らなく想いが溢れ出す。
好きで好きで堪らなかった牧野が、
もう触れることさえ無理だと思ってた牧野が、
目の前で俺を見つめてる。

「我慢も限界なんだっつーの。」

溢れる想いは言葉じゃなく行動で。
さっきまでのキスだけじゃ全然足りない。
再び牧野の体を引き寄せて、食い付くようなキスをする。
強引に口を割り、舌を絡み付かせ、吸い上げる。
足りない……足りない……足りない。

6年を埋めるにはこんなキスだけじゃ足りなさすぎる。

狭い場所で体を寄せ合い何度も角度を変えて唇を愛撫する。
自然と手が牧野の体を這い、膨らみに乗せたとき、

「ど、ど、ど、道明寺っ!」
と焦った声で騒ぎ出す。

「なんだよ。」
首筋に顔を埋めながらそう聞いてやると、

「タイムタイムタイムっ。」
と色気のねぇ言葉。

「却下。」

「ちょっと!」

「んだよっ。今いいとこじゃん。」

「勝手にいいとこにすんなっ!」

両手で俺と胸を必死に押し返してくるこいつ。

「なんだよ。」

「だからっ、そのぉ、…………。
もう少し待って。
こういうことは、色々と整理してから……。
ね?ちゃんとあんたとのこと考えるから、
それまで、待って。」

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