イツモトナリデ 26

イツモトナリデ
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NYから戻ってきた滋さんは、ある決断をした。
それは、会社を年内いっぱいで退職すると。

実家の大河原を継ぐ事に決めたらしい。

元々、道明寺ホールディングスに就職したのも、お父様から社会経験を積んでこいと言われたからで、ゆくゆくは家を継ぐことは決まっていた。

旦那さんになるアランと、準備が整い次第籍を入れて、正式に2人で後継者となるべくお父様の下で働く事になる。

NYから戻ってすぐに、会社の上司に退職の旨を相談した。
「理由は?」
そう聞かれ、滋さんらしく冗談混じりに
「結婚して子育てに専念します!」
と話したが、

当然ながら周囲は滋さんが大財閥の一人娘だと知っているから、家業を手伝うのだと言うことは周知の事実。
でも、辞めるという噂が流れ始めると、「結婚」というワードが一人歩きして、あっという間に社内で

「誰と結婚するんだ?」
というヒソヒソ話が沸き起こっていた。

そんな時、あたしの課の後輩たちが話しているのを立ち聞きしてしまった。

「ねぇー、大河原さんの結婚相手って、やっぱり彼だったの?」

「それしかないでしょ!いつも一緒にいるし、婚前旅行も目撃されてるし。」

「ホテルのエレベーターでキスしてたって!」

「きゃーーーっ、なにそれっ!羨ましいっ!」

彼女たちが話す内容を聞いて、あたしは口元が緩む。
きっと、
NYでアランとラブラブデートをしているのを、誰かに見られていたのだろう。
ホテルのエレベーターでキス?
何やってるのよ滋さん。

そう思っていたあたしは、その夜滋さんの部屋で滋さんの口から衝撃的な事を聞かされた。

「ねぇ、社内でとんでもない噂が流れているの知ってる?」

「あ?」

「あたしが結婚するって。」

「事実だろ。」

「事実だけど、事実じゃないのよっ!」

なぜか怒っている滋さんに、
「どう言う事?」
と、あたしが聞くと、

「あたし、司と結婚する事になってるみたい。」
と、半泣きで滋さんが言う。

「はぁ?」

「なんか知らないけど、あたしと司が結婚するって噂が流れてるのよっ!
NYの教会に一緒いたとか、ホテルのエレベーターでキスしてたとか。」

「あ゛?
やめろ笑えねぇ冗談。」

「こっちだって迷惑だからっ!
教会にいたのは事実だけど、キスって何よ、どこの誰がそんなデタラメ言いふらしてるの、まったく。」

「どこからの情報なの?」

「それが、営業三課の山崎って知ってる?あの子の知り合いがNYのホテルで働いてるの。
そこのホテルに司が泊まったって言ってて、エレベーターの監視カメラに司とあたしがキスしてる画像が……、」

そこまで言った滋さんが、じぃーっと道明寺を見つめて固まる。
そして、見つめられた道明寺も罰が悪そうに視線を逸らす。

次の瞬間、
「つかさぁーっ、あんたって奴は本当にっ!」
と言いながら滋さんが道明寺に飛びかかった。

「やめろバカっ。」

「バカはどっちよ!
NYのホテルのエレベーターなんて監視カメラがあるのは常識でしょ!
それなのに、部屋まで我慢できなくてつくしのこと襲ったって事ね!」

滋さんの言葉を聞いて思い出した。
NYに泊まったあの日、あたしたちはエレベーター内でキスをした。
それが、滋さんだと勘違いされたのだ。

「えっ、えっ、やだぁっ!!
あたしがカメラに写ってたって事?それを誰かに見られたの?」

事実を知って動揺するあたしに、道明寺がしれっと言い放つ。

「大丈夫だ。おまえの顔は映らないように角度を調整したから。」

「…はぁ?」

「わぁー、つくし。
こんな男とは今すぐ別れた方がいいよ。
エレベーター内のカメラの位置まで確認してキスするなんて、どんだけ女に手慣れてるのかしら。」

嫌味ったらしくそう言う滋さんを、
「アランこそバーの死角になる場所でおまえとキスしてただろ。」
と、一瞬にして黙らせる道明寺。

ほんと、どっちもどっちだ。
呆れて2人のことを冷たい目で見るあたしに、
「話をもとに戻そうか…。」
と、道明寺と滋さんがお互いに目配せし合うのが見えた。



「それにしても心外だわ。あたしが司と結婚する事になってるなんて。」

「それは俺のセリフだ。」

「否定してもいい?結婚するのは別の相手だって。」

「そうしろよ。」

「そしたらね、司は誰とキスしてたんだって事になるわよね。」

「……。」

「思い切って、つくしとの交際を宣言しちゃう?」

滋さんがニヤニヤ顔で道明寺に聞く。
すると、道明寺は少し考えた後、真剣な顔で
「いや、言わねぇ方がいいかもな。」
と呟いた。



その夜、あたしをマンションまで送ってくれた道明寺は、
そのまま部屋に流れ込み、ベッドへと直行した。

大きな手で全身を愛撫され、繋がり揺らされている。
まだ慣れない行為。
恥ずかしさで、明かりを消した暗闇でしか出来ない事を道明寺は分かってくれていて、今日も視界は月明かりだけ。

ふと、さっきの道明寺の言葉を思い出す。
交際宣言したら?滋さんのその問いに、
言わない方がいいと道明寺は言った。

それはどう言う意味なんだろう。
やっぱり、あたしとの交際は公にしたらまずいのか。
道明寺の立場上、あたしと不釣り合いなのは百も承知だ。

けれど、それを言ってしまえば、
あたしたちに未来はない。
あたしだって、人並みに結婚をして子供だって欲しい。

それは、道明寺とは望めないのか。
道明寺もあたしとは望んでいないのか。

そんな事を考えてると、
耳元で道明寺が言った。

「他のことを考えられるほど余裕か?」

「え?」

「こっちはかなり手加減してやってるぞ。」
そう言った後、グッと奥まで入り込んでくる。

思わず、
「んっ…あっ…」
と、甘い声が漏れると、

「物足りなくて悪かったな。」
と、笑いながらあたしの頭を撫でて、激しく動き出した。

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