不埒な彼氏 27

不埒な彼氏

はじめての夜を経験してからあたしは道明寺に翻弄されっぱなし。

いつまでも恥ずかしさが残るあたしとは反対に、
『男なんて好きな女を前にしたらこんなもんだろ。』
と、会えば濃厚な夜を求めてくる。

そんな道明寺との交際は順調に時を重ねてはいるけれど、そろそろこれからの進路についても考えなくちゃいけない時期に迫ってきた。

ここ2年は、夢である弁護士への道に進むべく勉強してきたけれど、法律の事を大学で学ぶうちにその知識をいかして違う分野での仕事にも興味を持ち始めたあたし。
それは、企業法務。

大きな規模の会社には法務課と呼ばれる部所があり、契約書の審査やコンプライアンス、訴訟対応等の中心的な役割を担っている。
もちろん、弁護士や司法書士といった資格を有する者が多く採用されることから、難易度は高い。
その中でも司法書士の役割は、契約書類作成などに重要な手続きを任される仕事。

そんな仕事に就くことができたら…………、
いつしかそれがあたしの夢になり、目標になった。
大学を編入して挑んだ一年目の司法書士試験。
結果は不合格。

ダメもとで挑んだとはいえ、合格率5パーセント以下の狭き門に全く太刀打ちできなかった一年目。
それからあたしは時間のあるかぎり寝る間も惜しんで勉強に励んだ。

そして、二年目。
筆記試験をなんとか突破して、口述試験へと進んだあたしは、今自分の家のパソコンの前で正座をしている。
今日が合格発表の日なのだ。
合格者は法務省のホームページに載ることになっている。

ふぅーーーー。
深呼吸をして、マウスを握りしめる。
ここにあたしの受験番号がなければ、あたしは来年からただのフリーターになってしまう。
大学も卒業して、就職も決まっていない。

英徳高校に通わせて、大学まで行かせてくれたのにパパとママに申し訳なくて頭が上がらない。
でも、この一年、やるべき事はすべてやった。
大学の他にバイト代をためて司法書士試験の予備校にも通ったのだ。
唯一の息抜きは、…………道明寺だけ。

忙しいあいつとの月に数回のデートは、唯一の息抜きであり幸せな時間で、それがあるから勉強もここまで頑張ってこれた。

もう一度ふぅーーーーと深く深呼吸をすると、目の前の法務省のホームページを見つめる。
司法書士試験の合格発表。
どうか、どうか、あたしの番号がありますように。

ゆっくりと目を開けて、画面をじっと見つめる。

あった!
あるっ、ほんとにあった。
間違いない。
何度も受験番号とパソコンの画面を見比べてみる。

そのパソコンを見つめるあたしの目にジワッと涙がうかんだ。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村

ランキングにさんしています。応援お願いしまーす⭐︎

コメント

タイトルとURLをコピーしました