一ヶ月ぶりに優紀と待ち合わせて買い物に来た。
どこもクリスマス一色。
久しぶりに会う優紀は幸せモード全開で、見てるあたしまで嬉しくなるほど。
買い物が一段落してカフェでお茶をしていると、優紀の携帯に短い着信音。
「なになに~彼氏から?」
冷やかしながら携帯を覗き込むと、
「えへへ。」
と、照れ臭そうに見せてくれる優紀。
そこには、明日のデートの時間と場所が書かれた彼氏からのメール。
「へぇー、明日はプラネタリウムに行くんだぁ。」
「うん。クリスマスのイベントがやってるらしくて連れていってくれるって。」
そんな優紀のラブラブトークを聞いてると、ふと昔のことを思い出す。
道明寺にはじめて邸に連れていかれたとき、あいつの部屋から天体望遠鏡で星を見せてくれた。
まるで、手に取るように近く、輝いて見える星たちに感動していると、
『俺とおまえは土星人だ。』
なんて、訳の分からないことを言って笑ったあいつ。
そんなことがあったのを道明寺は覚えているだろうか。
急に黙り込んだあたしを心配そうに見つめて優紀が言う。
「つくし、道明寺さんとはどうなの?」
「どうって?」
聞き返すあたしに、眉間にシワを寄せながら
「そろそろ3年目だよね。」
と、言う優紀。
「あいつはあたしのこと特別な目で見てないから。」
「そんなことないでしょ。」
「さぁー、どうだろ。
この間なんて、あたしのことガリガリの小鹿だってさ。
そりゃ、あいつが見慣れてるスタイル抜群の女性たちに敵うはずないってことは分かってるけど、比べる方が悪いよね。」
道明寺との会話を思いだしてため息をつくあたしに、優紀はニヤニヤ顔で言う。
「道明寺さんってさ、つくしのことが可愛くてしょーがないんだろうね。」
「はぁっ?」
思わず聞き返す声が大きくなるあたし。
「西門さんが言ってたけど、道明寺さんはつくしにだけは甘いって。」
「ないないないっ!
甘いどころか、あたしを怒らせることばっかりっ。」
そんな憤慨するあたしに、クックックッと笑いながら、
「甘いのは、態度じゃなくてつくしを見る目。
小鹿を怒らせて拗ねさせるところが素直じゃないけどね…………。」
なんて呟きながらコーヒーをのむ優紀。
優紀の言ってることが本当ならあたしはこんなに悩んだりしてないよ、と思いながら
「ねぇ、優紀はどっちから告白したの?」
と、前から聞きたかったことを口に出す。
「えっ?……あたしからだよ。
好きになったのもあたしの方だし、一緒にいたいと思ったのもあたしが先。」
「…………。」
「つくし?」
優紀の言う、
『好きになったのもあたしの方だし、一緒にいたいと思ったのもあたしが先。』
たぶん、この言葉はそのままあたしに当てはまる。
でも、一度も優紀のように勇気をだして口にしてこなかった。
このまま諦めるなら、結果は分かっていても最後にきちんとあいつに伝えたい。
「優紀、あたしね、
……恐いけど、ぶつかってみる。
道明寺にちゃんと気持ちぶつけてみるっ。」
最後の方は完全に自分に言い聞かせるように拳を握りしめるあたし。
「つくし!頑張れっ!」
クリスマスまであと5日。
あたしの誕生日まであと10日。
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