セカンドミッション おまけ

セカンドミッション

西田のヤロー!
タイミングがわりぃーんだよっ。

せっかく晴れて牧野と夫婦だとわかり、6年ぶりに一緒に暮らすため動き出そうとしてた俺に、
「明日から二週間の出張です。」
そう告げてきた鉄の男、西田。

「あ?ふざけんなっ。」

「ふざけてなんておりません。前々から決まっていたスケジュールです。」

確かにそうだけどよ。
おまえは、この状況がわかんねぇのかよ。
愛しい女と夫婦になれて、新居を探そうかって時になんで二週間もくだらねぇ視察に行かなきゃなんねーんだよ。
空気を読め、空気を。

「せめて、来月にしろ。」

「いえ、出来ません。先月も同じ台詞を言って先延ばしにしたのをお忘れですか?
司様がその態度でしたら、牧野さまにご報告させて頂きますが。」

「やめろっ。あいつには言うな。
また俺と会わねぇとかって言い出すから勘弁してくれよ。
しかも、西田!牧野じゃねーよ。あいつは道明寺つくしだ!」

「明日、8時にお迎えにあがります。」

そんな会話をしたのが二週間前。
俺は今、長い長い出張を終えて、牧野のマンションに来ていた。
相変わらず、俺らはお隣同士。

新居探しどころか、牧野に会うのもあのババァのオフィスで話した日以来だった。
この二週間、マンションもメープルもマスコミが押し寄せていたため、牧野は滋のところに避難していたが、出張から帰ってきた俺に合わせて、久しぶりにマンションに帰ってきた。

そして、ようやく甘い二人の時間を過ごせると思っていたのに…………。

「やだやだっ、泊まっていく!」

「こら、健太。ダメだ帰るぞ。
ママも家で待ってるから今日はパパと帰ろう。」

「やだよっ。つくしの家に泊まる!
おじさんと一緒に寝るんだもんっ。」

俺の脚に絡まりついて離れねぇ健太を必死に引き剥がそうとしてる進とそれを見て笑いを爆発させてる牧野。

「アハハハーっ!健太、道明寺と寝るの?」

「うん!いいでしょ?」
俺を見上げて言ってくるガキにダメだと言いたくても、言えねぇ。

「…………わかったよ。そのかわり早く寝ろよ。」

俺のその言葉に喜んだ健太はすでに部屋の中に入って牧野と着替えをはじめている。

「ほんと、すいません。
寝たら迎えに来ますから。」
進がしきりにペコペコして言ってくるが、

「気にすんな。
あいつは俺の甥っ子なんだしよ。
ちっせーのに俺を気に入るってことは見る目があるってことだ。」
俺がそう言ってやると、ペコリと頭を下げて帰って行った。

ガキっつーのは、なんでこんなに元気なんだよ。
10時を過ぎたからベッドに入ろうと牧野が健太に言うと、俺と一緒じゃなきゃ入らねぇって駄々をこねだした。
しかたなく、俺と健太と牧野で川の字になってベッドに入ったとこまではよかったが、出張明けで疲れがたまってた俺は、そのまますぐに眠っちまったらしい。

ふと誰かに抱きつかれて目が覚めると、健太が俺の体に腕を回して抱きついたまま寝てやがる。
目を開けた俺の視線の先には、健太を挟んで隣に横になっている牧野と目があった。

「わりぃ、寝ちまったな俺。」

「ううん。疲れてたんだね。」

「それにしても、こいつの寝方、なんなんだよ。」

「完全に抱き枕状態だね、道明寺。」

「……そっち行ってもいいか?」

「健太起きちゃうよ。この状態で起きたら、夜泣き確定だね。しかも朝までコース。」

「マジかよ。嘘つくな。」

「嘘じゃないよ。なんならやってみる?」

「…………いや、やめとく。」

夜泣きで二人の時間が無くなるくらいなら、こうして健太を挟んでいてもゆっくりおまえの顔を見れた方がいい。

「久しぶりだな。おまえの顔見たの。」

「うん。二週間ぶり。」

「もっと長く感じた。」

「そう?」

「ああ。すげー会いたかったから。」

「…………。」
照れ臭そうに俺から目線を反らす牧野。

「なんか言えよ。バカ女。」
いってることとは逆に自然と声が甘くなる。

「…………あたしも。」
牧野が何か呟いた。

「あ?聞こえねぇ。」

「だから、あたしも会いたかったって言ったのっ。」

「マジで?」

「…………マジで。
このタイミングで出張はないでしょ。せっかく一緒にいれると思ったのに。
二週間は長すぎるっ。」

「おまえさっき、俺が二週間は長かったって言ったら、そう?って返事してただろーが。
俺だけが、おまえと一緒にいたいと思ってんのかって不安になるからやめろ。」

「あたしだって、道明寺が思ってることと同じこと思ってるよ。」

「例えば?」

「……はやく、……会いたいとか。」

「その他は?」

「その他?」

「俺と同じだって言うなら、キスしたいとか、抱きしめたいとか、触りたいとか……」

「だからっ、同じこと思ってるって!」
恥ずかしくなったのか急に声をでかくした牧野。

「バカっ、健太が起きるぞ。
なぁ、やっぱ、そっち行ってもいいか?
行くぞ。」

もう、健太が泣こうが騒ごうが、構わねぇ。
牧野が俺と同じことを思ってるなら、こうするのが普通だろ。

牧野の側まで行くと、こいつの体をズルズルとベッドの下に引き下ろして、その上に覆い被さる。

「全然起きねーじゃん。」

「ん?……ほんとだね。」

「とぼけてんじゃねーよ。そういえば、さっき弟が言ってた。健太は一度寝たら爆睡するタイプだって。」

「っ!進、なんでそんなこと言ってんのよ。」

「そりゃ、こうなることを予想してたんだろ。」

「ちょっ!…………ん、……道明寺。
ダメだってばっ。………やっ、……どこ触ってんのよ。…………ぅん…………もうっ、……」

「なぁ、早く俺らも子供つくろーぜ。」

Fin

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