道明寺楓社長が直々に会見を開くとあって、更に報道が過熱化していた。
会見予定時刻は午後2時から。
それまで牧野は俺のオフィスで過ごすことになった。
ソファに座り、小型のノートパソコンを開き、何やら仕事をはじめた牧野。
俺はそれをチラチラと盗み見しながら顔がにやけるのを抑えられねぇ。
結婚したら俺専属の顧問弁護士として雇おうか。
そしたらこうやっていつも一緒にいられる。
なんなら、俺の隣にデスクを置いても構わねぇ。
そんなことを考えていると、書類を渡しに来た西田がうるせーことを言う。
「司様、お仕事に集中してください。
お顔が弛んでいらっしゃいます。」
わかってる。俺だってちゃんとわかってる。
今日は2時から会見を見るため、仕事の予定も変更している。
その分、今やっておかなきゃなんねぇ仕事が山積みだ。
けど、少しでも気が緩むと、昨日のことを思い出す。
牧野の白い肌、柔らかい感触、熱い内部。
今服で隠れている部分も、俺が付けた赤い花びらが無数に散ってると思うと堪らない。
西田が部屋から出ていったのを確かめて、ソファに座る牧野の隣にドカッと腰かけた。
「なに?休憩?」
目線はパソコンに向けたまま聞いてくる牧野。
「ああ。充電しにきた。」
「……コンセント、ここにあった?」
ほんとの充電だと勘違いした牧野はキョロキョロとコンセントを探している。
「ちげーよ。俺の充電。」
俺はそう言うと、牧野を後ろから抱きしめて首に顔を埋めた。
今日は同じバスルームを使ったからか、牧野からは俺と同じ香りがする。
「ちょっと!道明寺っ。…………待って……」
後ろから抱きしめながら、牧野のブラウスの一番上のボタンをひとつだけ外し、片手でぐいっと肩まで開かせた。
胸の膨らみが少しだけ見えて、そこに手を伸ばしたい衝動にかられる。
「少しだけ。」
俺はそう呟くと、牧野の首に唇を這わせた。
「やっ、……ダメ。西田さんが来るっ……」
こいつはわかってねえ。その焦った声が俺を更に煽るってことを。
「少しだけ充電させろ。じゃねえと仕事になんねぇ。」
俺は牧野を正面から捕らえ、唇を塞ぐ。
ソファの背に体を預けた牧野は、はじめはジタバタ抵抗してたが、俺のキスが深くなるにつれ体から力が抜けてくる。
「……んっ…………はぁ…………ん……」
抑えてるつもりなんだろうけど、堪えられなくて溢れる甘い声。
俺はそれに煽られて右手をそっと牧野の胸に置き、親指で先端を刺激する。
ほんとは今すぐにでもブラウスのボタンを外し、ブラジャーを引き下げて牧野の胸に舌を這わせたい。
そして、牧野から堪えきれない甘い声を出させたい。
俺の手が胸にのった途端、牧野は体をビクッと震わせ、
「道明寺っ!ほんとダメっ、これ以上は……」
困った顔で見上げてくるから、
「わかってる。…………夜までなんとか我慢する……けど、あともう少し。」
情けねぇけど、盛ってるってのも自覚してる。
けど、20代前半の一番盛んな時期に我慢してきたんだから、少しぐらい許せ。
会見までの少しの時間、俺は理性を保つギリギリのラインまで牧野を堪能した。
2時まであと15分になった頃、西田が牧野を呼びに来た。
「長塚先生が到着されました。」
俺は残りの仕事を片付けるため、
「すぐ行くから、先に行ってろ」
そう言って牧野だけ先にいかせた。
10分遅れでババァのオフィスに行くと、
応接セットで牧野と談笑していたのは、
先日もババァのオフィスで見かけたあの男性だった。
こいつが長塚だったのか。
俺が部屋に入ると同時に長塚が立ち上がり、
「お邪魔しております。」
と頭を下げた。
俺も長塚の前まで歩いていくと、
「いつも牧野がお世話になっております。」
と頭を下げる。
至近距離で見れば見るほど、前回も抱いた疑問が頭をよぎる。
「あのー失礼ですが、以前どこかでお会いしたことが?」
自慢じゃないが、パーティーや仕事関係で会ったやつらのことなら、興味はなくとも顔と名前は覚えてる。
けど、長塚の場合、その記憶がねえ。
俺の問いかけに、一瞬目をでかくして驚いたようだったが、
「始まるようですよ。」
そう言って、テレビの方に手を向けた。
画面上には多くの報道陣がカメラを構えてババァが出てくるのを待っている様子が映し出されている。
あと数分で始まるようだ。
俺と牧野は壁にかけられた大型モニターの正面にあるソファに二人で並んで座り、その斜め前の一人がけソファに長塚氏が座った。
すると、モニターを眺めている俺に向かって長塚氏が
「さきほど牧野さんにはお話ししましたが、
これから聞く会見ですが、かなり驚かれるかもしれません。
また、牧野さんに至っては異議申し立てがあるかもしれません。
そのためにわたしが今日同席いたしました。
すべて会見が終わりましたら、少しわたしの方からもお話がありますので、」
そこまで長塚氏が言ったとき、たくさんのフラッシュ音と共にババァが会見場に現れた。
そして、ババァが言った第一声に俺らは意味が解らず固ることになる。
「このたびお騒がせしております息子、道明寺司と、お噂にあります牧野つくしさんは、6年前から婚姻関係を結んだれっきとした夫婦でございます。」

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