『氷の王子 お相手は高校の後輩』
『帰国半年 初のスキャンダル』
『高級車の中の熱いキス』
朝早く西田からオフィスに呼び出された俺の目の前には、各種新聞で一面を飾った俺のスキャンダル記事があった。
昨日の車での一部始終をすっぱ抜かれたようだ。
幸い夜の車内ということで、牧野の顔写真は鮮明ではなかったが、記事を読めば分かる奴には牧野のことだと分かる内容だ。
「新聞社から連絡はきてたのか?」
こういう記事が出る前には必ず連絡が入るはず。
まずい記事なら道明寺の力で握り潰すくらいはできたはず。
「いえ、私の耳には入っていません。」
西田が知らねぇってことは入ってなかったということに等しい。
「とりあえず、ババァがなんか言ってくるかもしれねえから、電話がきたら教えろ。」
まずは、牧野に知らせるか。
あいつのことだから、すげー焦るんだろうな。
それを想像しただけで顔が緩む。
そんなことを考えていると、西田が
「司様、マンションの方にマスコミが押し寄せているようです。」
どこからか連絡が入ったようだ。
「牧野は?仕事に出たか?」
「たぶん、この時間ですし……。
マスコミは牧野さまのマンションが司様と同じだとは分かっていないと思われますが。」
「わかった。牧野には俺から電話入れとく。
……ところで西田、……いつからおまえは知ってた?俺と牧野のこと。」
「司様の表情を見てれば分かります。
そんなお顔は牧野さまの前以外では見たことありませんので。」
一礼して出ていく西田。
ババァや牧野の親にも知られることは時間の問題だ。
俺的にはもう少し時間をかけて進めたいと思っていたが、これは神様が味方してくれてんのかもしれねぇな。
「牧野、仕事中か?」
「ん。なんかあった?」
声を潜めて聞いてくる。
「牧野、落ち着いて聞けよ。
マスコミに俺らのことがバレてスポーツ紙にのったらしい。」
「えっ!はっ?えっ!」
「だから、落ち着けって。
マンションも記者が待ってるかもしれねーから、今日はメープルに泊まれ。」
「ちょっと、待って。
それって、あたしの名前も出てるってこと?」
「いや、名前は出てねぇけど、バレるのも時間の問題だ。
今のとこおまえの職場も知られてねーけど、明日にはわかんねぇ。
マスコミは2、3日中に俺がなんとかするから、牧野はそれまでメープルで隠れてろ。
俺も仕事が片付いたら行くから。」
「そんな…………。」
「大丈夫だ。俺を信じろ。」
「…………わかった。」
俺にとっておまえとの関係を守ることが最優先だ。
誰にも邪魔させねぇ。
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