雨足は弱まるどころか、どんどんと強くなり
タクシーを降りて俺のマンションに辿り着く頃には
俺たちの服はずっしりと濡れていた。
「タオル持ってくるから待ってろ。」
部屋に入ると、玄関に牧野を残して俺はバスルームへと走る。
大きめのバスタオルを手に取り、待っていた牧野に手渡すと、
「テキトーに着替え探してくる。」
そう言って、今度は奥の部屋へ急いだ。
サイズが小さいTシャツ?それとも、パジャマのようなラフなもの?
女に服を貸すなんて想定外の事で頭がうまく回らないが、
結局、大きめのパーカーとトレーニングの時に履いているショートパンツを手に掴み、玄関へと戻った。
「こんなんしかねーけど、着替えろ。」
「あり…がと。」
「風邪ひくからシャワー使え。
その間に、部屋あっためておくから。」
「シャワー?ううん、大丈夫。着替えだけ、遠慮なくお借りしますっ。」
あからさまに動揺する牧野。
どうやら、俺が求めてる関係になるには、今夜もスムーズにはいかねーな、と苦笑しながら、
牧野をバスルームへと押し込んだ。
牧野が着替えている間に、俺もラフな服装に着替え、部屋の温度をいつもより5度高く設定する。
シャワーの音が聞こえてこないところを見ると、どうやら着替えだけしているらしい。
しばらくすると、俺が愛用しているパーカーに着替えた牧野がバスルームから出てきた。
その姿を見て、失敗したな…と心の中で愚痴る。
なぜなら、ただでさえ華奢なこいつが、オーバーサイズのパーカーを着込んでいるから、その下に履いているショートパンツがほとんど見えなくなっちまった。
まるで、下半身は下着だけか…?と思わせるようなシルエットに、頭がクラクラしてくる。
思わず視線を逸らした俺に、
「変ですよね。
あたしが着ると、子供がイタズラして、大人の服を着てるみたいになっちゃって。」
と、両手を広げてダボダボ感をアピールする牧野。
「変じゃねーけど…」
「…けど?」
「まぁ、…俺のせいだ。」
そう呟いた俺に、牧野はじっと見つめたまま動かない。
「牧野?」
「道明寺先生…、その髪…。」
「…あー、濡れたからストレートになってんな。」
雨で濡れた髪をタオルで拭いたから、今の俺は完全にストレートの髪になっている。
それを見て、牧野が驚いたように言う。
「えっ?道明寺先生ってパーマじゃなかったんですか?」
「おう。なぜか濡れたらストレートになる。」
「あれは天然のカール?」
「生まれた時からな。」
そう答えながらソファに座ると、俺の横に牧野も座り、珍しそうに俺の髪に触れてくる。
「信じられない。絶対パーマだと思ってた。
クスっ……ストレートだと、なんか印象も変わる。」
時々出てくる牧野のタメ口がめちゃくちゃ可愛くて、こいつにしか言えないような台詞が出る。
「どっちの俺がいい?」
「え?」
「いつもの?それともストレート?」
すると、少し考えた後、
恥ずかしそうに、でもはっきりと言った。
「どっちも…好きです。」
牧野からの「好き」という言葉の破壊力に、
完全にリミッターが外れた俺。
横にいる牧野の肩を引き寄せて、唇にキスをする。
今日は時間も場所も、誰にも邪魔される事はない。
唯一、ストップをかけるとしたら、こいつの反応だけだが、激しくなるキスにも抵抗は見られない。
そっと、パーカーの中に手を忍ばせると、直に温かい肌が触れた。
ピクッと牧野の身体が揺れ、唇が離れる。
「…ダメか?」
ほんの少しだけ出来た唇同士の隙間から、俺がそう聞くと、
「大丈夫。」
と小さく答える牧野。
俺は牧野の身体を横抱きに抱えると、奥のベッドルームへと移動した。
……………………
夜が明けて、部屋に少しだけ光が届き始めた頃、俺は薄らと目を開けて、隣で眠る牧野の顔を見つめる。
誰かをこんなに愛しいと思ったのは初めてだ。
昨夜だけで何度「好きだ」と囁いただろうか。
牧野の表情と声に煽られて、絶頂を何度も我慢しながら繋がる身体を揺らした。
こうして2人でいる時間が愛しくて、ほとんど眠れなかった。まだ、下半身が疼いて身体が熱い。
そっと、眠る牧野の頬に手を乗せると、ピクッと瞼が動きゆっくりと目が開いた。
そして、数秒間俺と見つめ合った後、突然ブランケットの中へ潜り込むこいつ。
昨夜のことが蘇って恥ずかしくなったのか?
「クスッ…出て来いって、バカ。」
「……。」
それでも無言で出てこない牧野に、俺は言ってやる。
「そこにいられたら、俺の方が恥ずい。
それともあれか?俺の裸が見たいのか?」
すると、今度は勢いよくガバッとブランケットから顔を出す牧野。
昨夜は抱き合ったまま寝たから、2人とも何も身に付けていない。
そんな状態でブランケットに潜り込まれたら、俺の少し反応している身体が丸見えだ。
ようやく顔を出したこいつに、俺は笑いながら
「バカ。」
と言って軽くキスをする。
「寒くないか?」
「うん。」
「身体…辛くないか?」
「うん。」
コクンコクンと頷いて答えるこいつを見て、今ならなんでも「うん。」と答えるかもなと意地悪をしたくなる。
「触っていい?牧野。」
「う、…へ?」
「うん、って言えよ。」
「だってっ!」
一気に顔が赤くなるこいつの身体を引き寄せて、首筋にキスを落とす。
そして、もう一度耳元で聞いてやる。
「触っていい?」
「……ん。」
今度は小さく言ってくれた返事に、俺の手が動き出す。
昨夜ゆっくりと解きほぐした牧野の中に、中指を沈み込ませると、まだそこは愛液でたっぷりと濡れている。
それだけで、頭がクラクラするほど快感だ。
「おまえの中、あったけぇ。」
「…ャ…ン…」
牧野に出会って、自分でも知らなかった俺にたくさん出会ってきたけれど、
こんな所でもやっぱりそうだ。
性への欲は強くない方だと思っていたが、そうでもないらしい。
なぜなら、
自分でも呆れるほど、……エロい。
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コメント
待ってました❗
先生設定も好き好き。
待ってました
らぶらぶ感がたまりませんわ( *´艸`)