セカンドミッション 8

セカンドミッション

牧野と6年ぶりの衝撃的な再会を果たした日から、俺の頭の中にはずっとあいつが居続けている。

牧野と離婚してから、ただひたすらあいつの幸せを願ってきた。
自分が叶えてやれなかったこともあり、どこかで絶対幸せでいて欲しいと思ってた。

それが、思いもかけない姿で見せられて、正直言って…………パニックだ。
幸せに……と思っていたはずなのに、実際小さなガキの手を握り、高級マンションに住んでいるあいつを見て、なぜだか胸が苦しくなる。

どこからどう見ても、幸せな暮らしをしてるんだよな?
あの時、俺と別れてよかったんだよな……。
そんな言葉を、あの日から俺は自分に言い聞かせている。

「司様、何かございましたか?」
それから1週間たったある日、唐突に西田が聞いてきた。

「あ?何かって何だよ。」

「いえ、……ここ最近、仕事のペースが少し…。それに、ボーと窓の外を眺めていることも多いですし……。」
言われてみて気が付いたが、そうかもしれない。

「いや、大丈夫だ。何でもねえ。」

「わかりました。」
そう言って、オフィスを出ていく西田を眺めていた俺は、

「おい!西田っ。」そう呼び止める。

「はい。」

「ちょっと、一つ頼みがある。」

その日の午後、西田に頼んでおいた書類が届いた。
緊張しながらも中を開き、読み進めていくと、俺が想像していたものとはかなり違い、眉間にシワがよる。

長塚 誠 56才
職業、弁護士。
25才で一度結婚しているが28才で離婚。
その後は独身を貫いている。
30才でNYに渡り、国際弁護士としても活躍。
今は都内で個人事務所を開き、若手弁護士四人を抱えている。
2年前にあのマンションを購入。

これが、俺のとなりの住人だ。
一つ気になったのは「独身」ってことだ。
年齢も牧野と30も離れている。
もし、こいつがあのガキの父親で、一緒に暮らしてるんだとすれば、籍も入れずになにやってんだよっ。
表向きは未婚のシングルマザーじゃねーかよ。
俺の中で沸々と怒りがこみ上げてきた。

その日、久しぶりにメイプルのバーでF4が集まった。
6年前、俺のしたことに怒りを隠さなかったF3も、実際牧野に離婚を突き付けられて、その後NYに飛ばされた俺を見て、半年後には3人でNYに会いに来た。

そして、類から
「牧野は許してくれなかったみたいだけど、俺は離婚したから司のこと許してあげる。」
と、有りがたくねぇ言葉をもらい、
俺らの関係はもとに戻った。
それからは、3ヶ月に1回は四人で会い、それぞれの近況を話し合っている。

俺がメープルのバーにつくと、総二郎の姿がねえ。
「あいつはどうした?」俺の問いに、

「知り合いにあったらしいぞ。」
そう言って、あきらが指差す先には女と談笑する総二郎の姿。
いつものことだ。相変わらず、あいつは女にマメだ。

しばらくすると、総二郎が俺らのところに戻ってきた。
「わりぃな。ちょっと昔の知り合いでよ。」

「久しぶりにあって、再熱か?」
あきらがからかう。

「まぁ、そんなところだ。」
その総二郎の返事に、

「そろそろお前も一人にしぼれよ、全くっ。」
俺が口を出すと、

「おいおい、司よりはいいだろーが。
もう6年だぞ。そろそろおまえも先に進んでもいいんじゃねーの?
出家してんじゃねーんだから。
6年もまったく女なしで、どうやって暮らしてんだよ。俺はそれの方が信じられねーけどなっ。」
総二郎が返してくる。

「うるせー、何が出家だよっ。」

そんなくだらねぇ会話をしながら過ごしている間も、頭の中にはあいつの姿が思い浮かぶ。
どうやっても離れねぇ。

俺は深いため息を吐いて、F3に言った。

「なぁ、牧野は今どうしてる?」

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コメント

  1. はな より:

    浮気司は、どうしてる?かも聞いてなかったんかいっ!

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