俺の彼女 22

俺の彼女
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道明寺がNYに旅立って2年が過ぎた。
そして、今日、あたしは英徳大を卒業した。

卒業式はママが用意してくれた着物に袖を通し、両親と3人で英徳大の前で写真を撮った。
そしてその後、進も一緒に合流して卒業祝いをしてくれる事になっていたのだが、事件はそこで起こった。

「つくしちゃーん!」
聞き覚えのある声に振り向くと、

着物やドレスを着飾っている卒業生の誰よりも輝きを放っている人物があたしを見つめて大きく手を振っているのが見える。

「おっ、お姉さんっ?!」

「つくしちゃん、卒業おめでとう。」

相変わらず綺麗な笑顔で近づいてきたのは、久しぶりに会う道明寺のお姉さんだった。

「どうしたんですか?こんな所で。」

「どうしたもこうしたも無いわよ。今日はつくしちゃんの卒業式でしょ。もちろんお祝いに来たのよ。」

「…ありがとうございます!」

どこにいても目立つ存在なのは姉弟同じようで、周囲の人たちがお姉さんを見つめて釘付けだ。

「つくしちゃん、この後少し時間あるかしら?」

卒業式を見に来た両親と、夕食を一緒に食べる予定だが、まだそれまでには時間がある。

「はい、大丈夫ですけど…」

「卒業のお祝いにサプライズプレゼントを用意したのよ。」

「サプライズプレゼント?」

「そう。とりあえず、家にパスポート取りに行きましょう。」

「…はい?」

「いいの、いいの。つくしちゃんは深く考えないで、とにかく私に従って頂戴。」

腕をガシっと掴まれ、もはや拉致状態。
訳がわからないまま、そのままあたしのマンションへ行き、着物から服に着替えると、ようやくそこでお姉さんから聞かされた。

「司に会いに行きましょう。」

「え?」

「しばらく会ってないんでしょ?司が愚痴ってたわ。
つくしちゃんが就職活動で忙しくて半年以上も会ってないって。」

「それは、……。」

教師になると決めたあたし。
大学最後の一年間は実習や教員資格の勉強、就職活動が忙しくて、道明寺との時間がほとんど取れなかった。

「卒業と就職のお祝いに何かプレゼントしたいと思ったのよ。でも、何がいいか悩んじゃって。
もし、嫌じゃなければ、NY行きのチケットを受け取ってくれないかしら?」

「そんなっ、NYなんてっ。」

「行きたくない?」

「……。」

「司に会いたくない?」

心配そうにあたしを見つめるお姉さん。
そんな顔しないでください。

だって、あたし、
道明寺に会いたくて、会いたくて、堪らないから。

「行きたいです。あたし、…道明寺に会いたい。」

………………

道明寺ホールディングスのNYのオフィスは、日本と違いワンフロアに仕切りなしでスタッフが働いている。

打ち合わせをしている者、パソコンで仕事をしている者、ランチをしている者。
色々な人種が混ざり合って働いているせいか、すべてが自由だ。

ちょうどランチの時間になり、いつものように俺も同僚と近くのカフェで軽く食事を済ませてきた。
コーヒーを片手にオフィスのある階までエレベーターで上がると、自分のデスクまでゆっくりと歩いていく。

その間、同じフロアにいる同僚たちが、
「調子はどう?」
「ランチはどこで?」
と、声をかけてくる。

軽く答えながら歩いていると、フロアの右側にあるガラス張りの一角に小柄な黒髪の女性の後ろ姿が目に入った。

アジア系のスタッフか?
それとも、仕事関係の客か?

チラッと目に入っただけなのに、もう俺の頭の中にはあいつのことで一杯になる。
日本に置いてきた俺の彼女。
2年の遠距離恋愛中で、今まさに会いたくて堪らない女。

少し似てる後ろ姿を見たからって、猛烈に声が聞きたくなるなんて…と自分でも呆れて自嘲しながらデスクにつくと、
隣のスタッフが俺に言った。

「司、日本からお客さんが来てたぞ。」

「日本から客?」

「ああ。ツバキ…」

カタコトの日本語でツバキと発音するのを聞き、
あー、確か姉貴がNYに来るって言ってた事を思い出す。

「あー、OK。」

どうせ親父のところにでも顔を出した後、また戻ってくるだろう。
そう思った俺に、同僚が言った。

「ツクシ…が待ってる。」

「…つくし?」

「ああ。ツバキが連れてきてくれたんだ。
ツクシが会いに来て、向こうで待ってる。」

同僚がそう言って指差すのは、さっき俺が通ってきたフロア。
まさか、あの黒髪の後ろ姿は…。

俺は持っていたコーヒーを乱暴にデスクに置くと、今きたフロアを全速力で引き返す。

「司っ、どうした!!」
驚く同僚たちが、立ち上がって俺を見つめているが、今はそれどころじゃない。

頼むっ、まだそこに居てくれ!
そう心の中で叫びながら、あの場所まで引き返すと、
俺に背を向けて立つ女の姿。

「ま…きの?」

上がる息を整えながらそう聞くと、
驚いたように振り向く女。

「道明寺っ。」

「マジかよ…。」

「へへ、来ちゃった。」

照れたようにそう笑うこいつ。
何年経っても、離れていても愛しくて愛しくて堪らない存在。
そんなこいつを俺は力一杯引き寄せて、両腕で抱きしめる。

「んーっ、道明寺っ」

「連絡なしで、これは反則だろ。」

「だって、お姉さんが…。
道明寺、みんなが見てるっ。離してよっ。」

軽く暴れるこいつなんてお構いなしに、俺は更に髪とおでこにキスをすると、それを見ていた同僚たちから「ヒューッ」と、歓声がおこる。

「司っ、その子は誰だい?」

「前に話しただろ。」

NYに来た時から公言してる。
日本に愛しい彼女がいると。

「例のあの子かい?」

「ああ、そうさ。俺の彼女だ。」

そう言って牧野の唇にキスを落とすと、
今度こそ、フロア全体に拍手が沸き起こったのだった。

俺の彼女 FIN

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俺の彼女、お付き合いくださいましてありがとうございました。

毎日たくさんの方にご訪問頂き、嬉しい限りです。これからもどうぞよろしくお願いいたします♡

次回作は新作です。

少し大人の2人。ドタバタ、じれじれ、ニヤニヤ満載でお届けします。まだ書いてませんがね笑

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