一人暮らしが始まって2週間がたった。
ようやく引っ越しの荷物も片付いて、普段の生活が戻ってきたあたしは、今、思いっきり顔がニヤついている。
なぜかと言うと…。
夕食を2人で外で食べてきて、今ようやく戻ってきたばかりの道明寺が、あたしの部屋のリビングで寛いでいる。
部屋に来るのは今日で3度目。
ゆっくりしていくのは初めてだ。
そんなこの人の何があたしをニヤけさせているかと言えば、
それは『メガネ』。
今までメガネ姿の道明寺は見た事がなかったけれど、実はあまり目が良くないらしい。
今日みたいに仕事で長時間パソコンと睨めっこしてきた日には、かなり目が疲れていてメガネが手放せないようだ。
黒ぶちの普通のメガネなのに、どうしてこの人が付けるとこんなに様になるのだろう。
ジーンズとパーカーの服装と合ってオフ感が増強され、本人には言えないけれど、
ずっと見ていたいくらい可愛いのだ。
出来るだけそんな素振りを見せずに道明寺の隣に座ると、チラッと横目で彼の顔を見る。
真剣にテレビを見ている道明寺の横顔。
綺麗な鼻筋、そこに乗るのはまるでそこが元々の居場所のようにマッチするメガネ。
思わず見惚れてしまっていると、道明寺と目が合った。
「どした?」
「ううん。」
慌てて目を逸らすあたしに、
「なんだよ。」
と笑いながら、あたしの身体を足の間に挟み、背中から包み込む。
道明寺の顔があたしの首筋に埋められ、吐息がかかりくすぐったい。
耳を甘噛みされて、「ヒャッ」と逃げるように道明寺を見つめると、
数cm先にあるメガネの道明寺。
ドキンと大きく胸が鳴る。
至近距離で見つめ合ったまま、あたしが道明寺のメガネに触れると、
「ん?」
と、不思議そうに聞く。
「眼鏡…。」
「眼鏡?」
「なんか、眼鏡かけてる道明寺がレアだなと思って。」
「あー、確かにな。」
あたしに言われて眼鏡を外そうとする道明寺。あたしは慌ててその手を止める。
「眼鏡の道明寺、なんか…好き。」
小さな声でそう呟くと、
「なんだよ、それ。」
と、優しく笑うこの人。
その顔を見てると急に照れ臭くなって、いつものあたしに戻る。
「好きっていうのは、あれだよ?なんかオンとオフで言ったらオフ感が出てて、こっちまで緊張が溶けるっていう意味の好きって事!」
本当はもっと違う言い方があるはずなのに、
あたしの部屋でしか見せないオフの道明寺が好きだって
きちんと伝えればいいのに、
あたしの口は可愛くない。
でも、そんなあたしに道明寺は、
「どんな意味の好きでも、おまえに言われるのは嬉しいじゃん。」
と言いながら、あたしの唇にキスをおとす。
いつもと同じキスなのに、
眼鏡があるだけで、なんとなく距離が遠い。
道明寺もそれに気付いたのか、あたしを引き寄せるけれど、道明寺の眼鏡があたしの頬にあたり邪魔になる。
一度あたしから離れた道明寺は、
「やっぱ、おまえと2人の時は眼鏡は無しだな。」
と、笑いながら片手で眼鏡を取ったあと、
再びあたしの事を抱き寄せた。
長く長く続くキス。
あたしの一人暮らしは、どうやらかなり甘いものになりそうだ……。
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コメント
以前の「俺の彼女」のお話と少し追加してくださってます?
アレレ?私の記憶違いかしら?
司君のメガネ姿を見てみたい~~(私の妄想力の限界を越えてます)
こんにちは
以前は16話までしか書いてなかったので、
それ以降は新作です。
どうぞお楽しみくださーい。
眼鏡の司、きっとヤバいと思います笑