俺の彼女 16

俺の彼女

メープルのプライベートルーム。
ここに誰かを入れるのは初めてで、もし入れるなら牧野だけと決めていた。

カードキーでドアを開け、部屋に入るなり今日初めてのキスをする。
これから朝までずっと一緒にいれるのに、この一瞬さえも離れるのが惜しいほど、俺はこいつが愛しい。

ようやく離した唇で、
「俺は向こうのシャワー使うから、おまえはここの使え。」
そう言うと、コクコクと牧野が頷いた。

俺から遅れて5分。
バスローブ姿の牧野がバスルームから出てきた。
同じバスローブに身を包むとそれだけで照れ臭い。

「少し飲むか?」

そう言ってシャンパンが入ったグラスを渡すと、
少し口につけた後、一気に空けるこいつ。

「おいっ、」

「ん、美味しい。」

「おまえ、意外に強い酒だから、一気に飲むな。」

「だって喉乾いてたから。もう一杯欲しいな。」

普段舐めるほどしか飲まない酒なのに、2杯も飲ませるのは気が引けるが、それでも頬を赤くして俺にグラスを差し出すこいつが可愛くて、
「少しだけだからな。」
と言いながら2杯目を注いでやる。

渡してやったグラスを再び口につける牧野は、
「やっぱり美味しい。」
そう言いながら、ごくごくといいスピードで飲んでいく。

それを横で見ていた俺は、あともう少しでグラスが空になるところで、牧野の手からグラスを奪い取った。

「飲みすぎだ。」

「……2杯ぐらい、」

「ダメだ。おかわりは……後でな。」

そのあとのこいつの文句は俺の口で塞がれて聞こえない。
ほんのりシャンパンの香りが残る牧野の体を抱き抱え、ベッドまで運ぶと、

「……電気、消して。」
と、最後のこいつのお願いを聞いてやり、俺たちの初めての夜は始まった。

バスローブの下の牧野の体は、想像以上に柔らかく温かかった。
緊張した体を全身余すことなく解かして、お互い十分に準備が整ったあと、ゆっくりと牧野の中へ入った。

頭の横に置かれた牧野の手に指を絡め、優しく腰を上下すると全身の熱が一気にそこへ集まるような快感にのまれていく。

くちゅりと濡れた音と牧野の堪える小さな吐息に、なんとも言えない罪悪感と幸福間に酔いしれる。

「大丈夫か。」

「……う…ん。」

頬を染め、目を潤ませ、下から俺を見上げる牧野の指が俺にしがみつき、そしてもう片方の手は自分の顔を隠すように口元に置かれた。
牧野の顔をよく見たい俺は、その手をどけようとして掴むも、嫌々と首をふるこいつ。

「牧野?どうした?」

「……ううん。」

それでも、手をどけないこいつに、もう一度
「嫌か?」
そう聞くと、

「……違う。……声、……声が出ちゃうから。」
と、予想以上に堪んない答え。

そんなことを聞いて、「そうか。」とおとなしく納得出来る男なんていねぇだろ。

さっきまで優しく揺らしてた腰を奥まで突いて、牧野の両手を頭の横に固定してやる。

「……ンッ……ヤッ……道明寺っ……」

「声ぐらい聞かせろよ。」

「……アッ……ンッ……」

部屋に響く水音と、甘い牧野の声。

どんなに俺が優しくしても、
初めてだから、痛みもあるだろうし、
恥ずかしさと緊張で気持ちいいなんて思えないだろう。

けど、
おまえが好きで、愛しくて、堪んないという気持ちを全身で感じてもらいてぇ。

絡まる指、名前を呼ぶ声、重なる唇、触れる手、
その全部に思いをのせて。

「牧野……愛してる。」

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