俺の彼女 11

俺の彼女

道明寺から逃げて3日目。
優紀が仕事に出掛けたあと、お世話になった部屋の掃除をしたり、使わせてもらった布団を干したり、冷蔵庫の食料の補充をしたり、いよいよ帰る身支度を始めたあたし。

昨夜、明日はもう帰ろう、道明寺と向き合おうと決心したあと、携帯に何件も残る留守電のメッセージを再生した。
そこには、道明寺がなぜ香苗さんと抱き合っていたかの疑問に答えた道明寺からのメッセージもあった。

雨でキャンプが流れ、邸に戻っていた香苗さん。
それを知らなかった道明寺はあたしが来るのを待っていた。
そこに、あたしの服を着た香苗さんがいて……。
真相を知ったあたしは、早とちりした自分の行動に、一人布団の上で頭を抱えた。

次の日、近くのスーパーに寄って飲み物やおかし、優紀の好きなデザートなども買い込んで大荷物で優紀のマンションに戻っているところに、突然後ろから声がかかった。

「そんなに買い込んで、冬眠でもするつもりかよおまえは。」

その声にビクッと立ち止まるあたし。
聞き間違えるはずもない、道明寺の声。

「ったく、逃げ足だけは早ぇーんだよな。」

そう言って道明寺は後ろからあたしの両手に抱えた荷物を奪って
「行くぞ。」
と歩き出した。
突然のことに戸惑うあたしは、その場に立ち尽くしていると、
「来いよ。」
そう言って優しく笑う道明寺。

久しぶりに見る、前を歩く道明寺の大きな背中。
久しぶりに見る、優しく笑う顔。
そんな道明寺を見ていると涙が出そうになる。

優紀の部屋の前まで来ると、
「俺はここで待ってる。」
そう言ってあたしに買い物袋を手渡すと、玄関の横の壁に背中をついて腕を組んだ道明寺。

あたしは言われるがまま部屋に入ると、買い物してきたものを冷蔵庫に並べ、部屋を整え、3日間お世話になったこの部屋にペコリと頭を下げた。

優紀のマンションから歩いてほど近い、大きな公園にたどり着いたあたしたち。
その間も、道明寺は黙ったまま。

この3日間で道明寺からの着信は3桁になった。
その間、ずっとあたしを探してたんだろう、そう思うと、公園に入ってすぐに自然と口から、
「道明寺、ごめん。」
という言葉を発したあたし。

そんなあたしを一瞬じっと見つめたあと、手を引き公園の外壁のところまで連れていく。
そして、抱えるようにしてあたしをその外壁の石段に座らせた道明寺は、目の高さが同じくらいになったあたしの目をまっすぐに見つめて言った。

「3日間、何してた?」

「……優紀の家にいた。」

「その間、何考えてたおまえ。」

「えっ、何って…………、」

どう答えていいか迷ってるあたしに、道明寺は更に1歩近付き距離を縮めて言った。

「俺に会いたくなかったのかよ。
俺のことばっか、考えてたんじゃねーのかよ。」

その言葉はバカみたいに俺様なのに、
その言い方は切なくなるほど拗ねているようで、
あたしの目の奥にジワッと涙が溜まる。

「…………会いたかったよ。」

消え入りそうな声でそう答えたあたしに、

「俺も。会いたくて溜まんなかった。」

そうはっきりと返してくれる道明寺。
そんな道明寺にきちんと伝えたくて、

「……あんたのことばっかり考えてた。」

下を向いてそう続けたあたしに、

「俺も、おまえのことしか頭にねーよ。」

と、あたしの頬に手を添える道明寺。

こんな昼間に、
遊具で遊ぶ子供も、ジョギングする大人も、
たくさんにいる昼間の公園で、
絶対に、するような事じゃないのに、

重なったあたしたちの唇は、なかなか離すことが出来なくて、

あたしたちを囲む大きな木々たちに身を隠しながら、何度も何度もキスをした。

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コメント

  1. みのぽこりんこ より:

    続きが早く読みたいです。

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