俺の彼女 4

俺の彼女

自室に戻りソファに座ると、すぐに携帯を取りだし牧野に電話する。

さっきまで一緒にいたのに、また声が聞きたい。
電話する理由があるなら遠慮することもない。

「もしもし?」
牧野の声が耳元で甘く響く。

「俺だ。少しいいか?」

「うん。」

ババァにフォローしろと言われた通り、早速牧野に香苗のことを話すと、

「別にあたしは気にしないから大丈夫。」
と、相変わらず嫉妬のしの字も出さねぇこいつ。

「ババァがおまえが変な誤解したら困るからフォローしとけって。」

「誤解?お母さんが?」

「ああ。おまえが嫉妬に狂ったら困ると思ったんだろ。」

そう言う俺に、
「嫉妬に狂うって……」
と、ケラケラ笑い声をあげてやがる。

「ったく、嫉妬ぐらいしろよ。」

「クスクス……
とにかく、あたしは変な誤解なんてしないから心配しないで。道明寺も勉強頑張ってね。」

「おう。」

そこまで言ったとき、突然俺の部屋の扉がノックされ、答える間もなく、
「司~入るね~。」
と、香苗の声。

「おいっ、」

「ごめん、電話中だった?」

「勝手に入ってくんじゃねーよ。」

牧野と繋がってる携帯を握りしめながら香苗にそう言うと、

「ごめんごめんっ。」と言いながらも、
「部屋、左隣のゲストルーム使わせてもらうことにしたから。
それと明日、久しぶりに総二郎たちにも会いたいから、大学に一緒に連れてってね。
じゃ、おやすみ~。」
そう勝手に言いたいことだけ言いやがって出ていく香苗。

残された俺は恐る恐る携帯を耳に当て、
「牧野?」
と、呟くと、

「道明寺、……香苗さんって美人?」
と、唐突に聞くこいつ。

「あ?」

「美人なの?」

「なんだよそれ。」

思わず苦笑する俺に、
「だって!……3ヶ月とはいえ、可愛い人がそばにいたら、そのぉ、……目移りというか、心移りというか……、」
と、さっきまでの威勢はどこにもねぇ。

「全然、平気だったんじゃねーの?」

「…………。」

「嫉妬なんかしねぇんじゃねーの?」

「だって……」

牧野の拗ねたようなその声が堪らなく愛しい。

「牧野、」

「ん?」

「俺はおまえしか眼中にねーよ。
だから、くだらねぇ心配すんな。」

「ん。」

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