ビターな二人 26

ビターな二人

道明寺と暮らす事に、正直、不安がないと言えば嘘になる。
生まれた環境があまりにも違いすぎるし、価値観だって大幅にズレている。
好きという気持ちだけで、乗り切れる事だろうか。

そんな不安は、一緒に暮らしてみて杞憂だったという事が分かった。

もともと、道明寺という人は、あの邸という大きなお屋敷で、何十人というスタッフと暮らしてきた。
その中で、自分のプライベートな空間の確保や、スタッフへの自然な配慮が身についてきたのだろう。

一緒に暮らして3ヶ月。
道明寺はどう思っているかは分からないけれど、あたしはとても幸せだ。

あたしたちが選んだ新居は、都内のマンションの高層階。
住居スペースと道明寺の仕事スペースが合わさったかなり広い空間。

朝起きると、まずは隣で眠る上半身裸の道明寺を起こす。
そして、寝ぼけ眼の道明寺をそのままにして、今度は幸の部屋に行き、これまた上半身裸で寝ている幸を起こす。
寝方や寝顔までそっくりな二人。

幸の中学校から少し遠くなってしまった為、朝はあたしが出勤する時に一緒に乗せていく。
バタバタと朝の用意をしているあたしたちの横で、道明寺はコーヒーとパンの朝食を準備してくれる。

「そんな事、出来るの?」
と、暮らした当初驚いて聞くあたしに、

「NYに出張の時は小さなアパートメントを借りてるから自炊は自分でする。」
と、さらっと言うこの人。

「へぇー。
こうやって恋人にも朝食を作ってあげたりしたの?」
なんて、聞いたこともある。

すると、幸が居ないからって、朝からベッドルームに連れ込まれたこともあり、迂闊にからかうもんじゃない。

とにかく、何度も言うように、
今のあたしは、最高に幸せだ。

14年前、幸の妊娠が発覚した時に、すぐに道明寺と結婚していたら同じような幸福が得られただろうか。
答えは誰もわからないけれど、
これだけは言える。

ずっと、ずっと、
この人を、道明寺だけを好きでいて
良かった。

……………

カタカタカタ…と、パソコンのキーボードを叩きながら、コーヒーカップに口付ける。

朝、自分で淹れたコーヒー。
最近の俺の日課だ。

朝食はパン派のつくしと幸の為に、毎朝簡単な朝食とコーヒーを用意する。
料理なんて日本にいる時は全くしなかった俺なのに、最近では仕事の帰りに人気のパン屋に寄ってくるほど。

それくらい、
俺は、つくしと幸との暮らしが幸せに満ちている。

今までは遅くまでオフィスで仕事をしていたが、つくしと結婚してから、完全に働き方改革を実行している俺。
午前中は自宅で作業、夜も遅くまでオフィスでダラダラしている事はなくなった。

西田に言わせれば、
「家族に会いたくて、仕事をこなす速さが倍になった」
そうだ。

幸は生意気盛りの中学3年生。
自分勝手な所もあるけれど、今のところ手に負えないほどの我儘もなく、俺の昔に比べたら可愛いもんだ。

それに、つくしとの生活は想像以上に
幸せだ。

チョコチョコと小さな身体で動き回るその姿に思わず笑みが漏れ、隙さえあれば後ろから抱きしめるほどメロメロ。
こいつの前だけはクールにカッコよく居たいと思うのに、顔が緩みっぱなしなのは自覚してる。

とにかく、俺は今声を大にして言いたい。
最高に幸せだ。

この間、邸に帰った時に、タマに聞かれた。
「坊っちゃん、新しい生活はどうですか?」

「幸せに、決まってんだろ。」
迷わず答える俺に、
タマは、にっこり笑いながら言う。

「良かったですね。
ずっとずっと好きだったつくしと一緒になれて。」

ああ。タマの言う通りだ。
俺にとって、あいつは運命の女だから。
俺の一生をかけて守り抜く。

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次のお話で最終話となります。お楽しみに!

コメント

  1. aroma より:

    やっぱり、終わりが見えて来ましたか?この設定のお話はレアなので、たまに番外編というか、短編の続編が、読みたいですが。(*≧∀≦*)

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