シークレット 32(最終話)

シークレット
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あのテレビ会見から2ヶ月後。
学園はすっかり平常運転へと戻りつつある。

俺も週に一度欠かさず学園を訪れ、理事長としての仕事をこなしている。

牧野との交際は順調だ。
先週は、牧野の実家で夕飯もご馳走になった。
結婚に向けて気持ちは確実に前進している。
このまま行けば、半年後には生徒たちにも結婚の報告ができるかもしれない。

そう思っていたのに、現実は残酷だ。

理事長室で書類に目を通していると、扉がコンコンと鳴った。

「……どうぞ。」
そう声をかけると、

「失礼します。理事長、少しお時間頂けますでしょうか?」
と、数学の男性教師と音楽の女性教師が顔をのぞかせた。

二人をソファに座らせて、俺もその正面に座ると、何やら二人で見つめ合ったあと、
「実は……僕たち結婚することになりまして。」
と、照れくさそうに言った。

「あ?」

「式の日取りが決まったので、ぜひ理事長にもご出席して頂きたいのです。」

式の案内状を手渡しされて固まる俺を見て、慌てて男性教師が付け加える。

「僕たちがこうして結婚できるのも理事長のおかげです!
交際禁止の校則があって、ずっと気持ちを隠してきたけれど、理事長のおかげでようやく付き合う事が出来ました。
二人で話し合ったんです。僕たちが英徳の夫婦第一号になって生徒たちに幸せな姿をみせようって。」

力説する教師を前に、俺は頭を抱える。
まじかよ…夫婦第一号になるのは俺達の予定なのに、まさか、先を越されるなんて。

「理事長?」

「あ?」

「恋のキューピッドとして式には出席頂けますよね?!」

そんなキラキラした目で俺を見るな。
恋のキューピッド?
俺に一番似合わねぇ言葉だから、ぜってぇ式では使うなよ。



二人が出ていったあと、式の案内状をデスクに置き、俺は理事長室を出た。

行き先は、牧野がいる英語科教師の個室。

一応、コンコンと鳴らしたあと返事を待たずに部屋に入ると、

「道明寺。」
と、少し驚いた顔で俺を見る。

「どうしたの?」

「疲れた。」

「はぁ?」

「少し休ませろ。」

そう言って小さなソファにどかっと座り目を閉じると、牧野がゆっくりと近づいてきて俺の隣に座る。

俺は無言で身体を横に倒し、牧野の膝の上に寝転がる状態で呟いた。

「先を越された。」

「ん?」

「俺達より先に結婚する奴らがいる。」

すると、
「あー、佐々木先生と前田先生の話し?」
と、クスッと笑いながら牧野が言った。

「知ってたのか?」
目を開けてそう言うと、寝転がる俺を見下ろす牧野と目が合う。

「今日、聞いたの。」

「付き合ってたのは?」

「全っ然、知らなかった。シークレットだったらしいよ。あたしたちみたいだよね。」

おかしそうにクスクス笑う牧野。

「せっかく夫婦第一号になってやろうと思ってたのによ。」

「そんなのいーじゃない。一号だろうが二号だろうが順番なんて関係ないでしょ。」

そうかもしれねーけどよ。
なんか、あいつらのために校則を改正したみたいで気に食わねぇ。

「道明寺、携帯鳴ってない?」

「あ?」

牧野にそう言われてポケットを押さえると、携帯が振動している。

牧野の膝から身体を起こしソファに座ると、
「もしもし。」と出る。
西田からだ。午後から社に戻ってやらなきゃなんねー仕事が出たから戻ってこいという連絡。

「ああ、分かった。これから戻る。」
そう言って電話を切ると、

「社に戻って仕事してくる。」
と、牧野に伝え立ち上がった。

部屋を出ようと扉の前まで来ると、
「道明寺」と、俺の側まで来て呼び止める。

振り向くと、頭一つ分小せえこいつが、少し照れながら言う。

「仕事、何時に終わる?」

「ん?」

「終わったら…会う?」

牧野らしいデートの誘い方に顔がにやけてくる。

「どうした?おまえから誘うなんて珍しいじゃん。」

「だって、…落ち込んでるみたいだから。」

こいつは、結婚を先こされて拗ねてる俺を慰めようとしてるのか。
あまりの可愛さにからかいたくもなる。

「ああ、すげぇ、落ち込んでる。」

すると、
牧野がグイッと俺のネクタイを下へ引っ張り、軽くチュとキスをした。
レアだ。牧野からのキスなんて酔ってもいねーのに激レアだ。

でも、
「そんなんじゃ、全然足りねぇ。」
そう強がって言いながら、軽く膝を曲げて待つ俺。

今度はさっきよりも長く唇を押し当ててくるこいつ。
おとなしくされるだけでいられるかよっ。
堪らずに濃厚なキスを返し、
「学園内でこういう事していいのかよ。」
と、自分でも恥ずかしくなるほど甘い声で聞いてやる。

「…やめる?」

「わけねーだろ、バカ。」

そうさ、もうしばらくは、
学園内でシークレット密会中の俺達。

FIN

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シークレット最後までお読み頂きありがとうございました。いつもいつもご訪問くださり感謝しております。これからもお付き合いください。次回作、もう決めております。今までとはちょっと違う雰囲気で……お楽しみください。

コメント

  1. T より:

    いつもありがとうございます!
    シークレット良かった~ーーーーーー。次回作待ってます。

  2. はな より:

    パチパチパチパチパチ
    作者のイジワルな恋愛禁止令をかいくぐりながら、司くん!よくぞ甘ーい展開に持ち込んでくれました!
    最後もキュンキュンよ!

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