シークレット 28

シークレット

修学旅行から2週間。
ようやく準備は整った。

今日、正式に英徳学園の校内規則を改正する文書を公表する。

校内恋愛に対する罰則の廃止はもちろん、寄付金額による生徒への優遇廃止や、成績以外での推薦を今後行わないなど、約8項目に及ぶ内容が改正されている。

前理事長や父母会からなる役員の了承を得るのに、想像以上に時間がかかったが、なんとか自分が納得できる内容で仕上げる事ができた。

学園のホームページ上で公表されたそれは、またたく間に生徒たちに知れ渡り、彼らの興味はもっぱら恋愛規則の改定。

公表して間もなく、ホームページ上にある理事長宛へのコメント欄が
「サイコー!」「理事長、大好き!」という興奮した生徒からのコメントで埋め尽くされて、一時はパンク状態となるほどだった。

その夜、牧野との電話でも、
「生徒たち、かなり喜んでた。
まさか、長年禁止されていた校内恋愛が解禁されるとは思ってなかったみたい。
今日の下校時は、早速男女二人で帰ってるカップルも見かけたわ。」
と、嬉しそうだ。

「これで、俺たちも堂々と付き合えるな。」

「んー、そうだけど、…」

「なんだよ、」

「さすがに生徒たちみたいに校内で二人でいるのはまずいでしょ。
今までどおり、学園内では適正な距離を保ってね!」

「分かってる。
なら、今週末、二人でどこかに行こうぜ。」

「へぇ?」

「温泉にでも行くか?
それとも、都内でデートしたあと、メープルのプライベートルームでゆっくり過ごすか?」

「……。」

修学旅行でのあの日以来、俺たちはまだ2回目を過ごせていない。
二人で泊まるということは、その意味を牧野も理解しているだろう。

「週末、空けとけよ。」




規則改正以来、理事長の株は爆上げだと西田が言っていた。

きっかけは牧野との交際を認めさせたいという思いからだったが、実際蓋を開けてみれば、学園の規則は問題だらけだったと言ってもいい。

生徒だけじゃなく、保護者の不満も多かったはず。改正後は、特に異論を唱えるものも無く、順調に学園生活が過ぎていくと思っていた。

だが、

改正後、2週間がたったある日、
学園の掲示板にある文書と写真が何者かによって貼り出された。

『騙されるな!規則改正は理事長の保身のためだった!』
という文書と、
俺と牧野、そして姉ちゃんが一緒に食事をしている写真が数枚。

俺と牧野の視線や仕草で、誰もが恋仲だと分かるような写真だった。

短い文書と写真。
それだけで、充分だった。
あっという間に噂は広まり、

自分たちの恋仲がばれるのを恐れて、理事長という権力を使い規則改正をした、という話が校内を駆け巡った。

俺はいい。
週の殆どは会社にいて学園に顔を出すことはない。
けれど牧野は違う。

教師や生徒から白い目で見られ、授業もほとんど進んでいないと西田から聞いた。

「大丈夫か?」

「あたしは大丈夫。」

いつもの日課である電話での会話。
気丈に振る舞う牧野だが、声に元気がないのは分かる。

「少し、仕事休めよ。」

「ふふっ…休まないよ。
授業もあるし、それに、逃げても仕方ないでしょ。」

ああ、分かってる。
逃げてもどうしようもねーし、
牧野は逃げると言わねぇ事も。

「俺がなんとかする。
だから、」

もう少し待ってくれ。と続けようとしたとき、牧野は言った。

「道明寺。
あたしは大丈夫だから、道明寺は理事長として学園のことだけを考えて。」

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