シークレット 26

シークレット

牧野たちと別れたあと、部屋へ戻ろうとホテルのロビーに入ったとき、ある事を思い出した。

「やべぇ。」
小さく呟く。

さっき、牧野に貸したパーカーのポケットに、ホテルのカードキーが入ったままだったのだ。

もうあいつは部屋に戻っているだろうか。
それとも、生徒たちとどこかに行っているだろうか。

携帯を取り出して牧野にコールすると、数秒であいつが出た。

「もしもし?」

「俺だけど、おまえ今どこにいる?」

「え?部屋に戻る途中のエレベーターの中だけど。」

それを聞いて、俺もすぐに間近にあるエレベーターに乗り込む。

「生徒たちは?」

「下の階で降りた。」

「おまえの部屋、何階?」

「どうして?」

「いーから、教えろよ。」

「……。」

「おまえに貸したパーカーに、俺の部屋のカードキーが入ってる。」

「えっー!」

慌てて探してる光景が目に浮かび苦笑する。

「今から取りに行く。何階だ?」

「15階の1506室」

もうすでに俺の乗ったエレベーターは12階まできていて、慌てて15のボタンを押すと、数秒で扉が開いた。

電話を耳に当てたまま、1506室へ直行。
廊下を曲がると、部屋の前で牧野の姿を捉えた。

「牧野。」
小さく呼ぶと、驚いた顔で振り向く。

「っ、」
何かを言おうとする牧野に、
「誰か来る前に、早く開けろ。」
と急かして、二人で滑り込むように部屋に入った。




ビーチに面したハワイの三ツ星ホテル。
それだけでも、現実からかけ離れた世界なのに、今あたしの目の前には、道明寺がいる。

「どーして、ハワイに?」

「修学旅行だからに決まってるだろ。」

「はぁ?道明寺に関係ある?」

「理事長が参加して何が悪いんだよ。」

そう言いながら、ベッドにゴロンと横になるこの人。

「ちょっと!誰か来たら困るから早く帰るっ!」

「これからのおまえの予定は?
確か、今日は自由行動だよな?」

知ってて来たのかこの人は。

「明日の朝までは自由だけど、だからって生徒たちがたくさんいるんだから、外で一緒には居れないからね。」

「だなー。」
ベッドに横になったままそう呟いたあと、道明寺はとんでもない事を言った。

「じゃあ、部屋の中ならずっと一緒に入れるっつー事じゃねえ?」

「……はぁ?」

「ここなら、誰にも見られねーし、誰にも邪魔されねぇ。」

ベッドの上に座り直し、いい事を思いついたみたいな顔で言う。

「あのね、バカな事言ってないで帰りなさいよ。
ほら、鍵返すから。」

そう言って道明寺の側に行き、借りていたパーカーを脱ごうとして、慌ててその手を止める。

そうだった。これを脱げばあたしは水着姿なのだ。
下は水着の上からスカートをはいているけれど、上は道明寺のパーカーだけ。

それに気付いたあたしは、
「あー、あのさ、ちょっと待ってて。」
そう言って、バスルームへ行こうとするも、

「なんだよ、早く返せよ。」
と、この状況を理解したであろう道明寺の手に捕まる。

「返すから、待ってて!」

「待てねぇ。」

なんとか道明寺の手から抜け出して、バスルームへ逃げようとしたけれど、あともう少しという所で道明寺に再び捕まり、壁に追い詰められる。

あたしを見下ろす道明寺。
その目は、その先を予想するのには充分なほど熱くて、あたしは観念したように目を閉じた。

唇に感じる温かいぬくもり。
久々のキスに、身体がジンと火照るのが分かる。

一度離された後、もう一度重なるのと同時に、借りていたパーカーの前のファスナーも下ろされていく。

これを脱げば、下着同然の水着だけ。

あらわになった首元に道明寺の大きな手が触れ、その心地よさに身を委ねる。
初めてだから、恥ずかしくて、…怖い。
けど、それ以上に触れられる事が嬉しいと思える。

パーカーがあたしの足元へ落ちる。
そして、左肩から水着の紐も落とされ、行き場を失った胸が、道明寺の手で包まれた。

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