シークレット 21

シークレット

姉ちゃんに、あの日、
『牧野との交際はシークレットで。』と念を押された。

俺的には、全世界の奴らに公表したいほどオープンな付き合いを望んでいるが、牧野の事を考えると我慢するしかない。

理事長としてきちんと学園を立て直すこと、それをやる事で、俺たちの未来もある。

シークレットな付き合い…と言うのはどこまで許されるのか?
それが、最近の俺の悩みでもある。

二人でデートをするわけにもいかない。
お互い実家暮らしだから気安く家でデートというわけにもいかない。

仕事もかなり遅くまで詰まっていて、更に学園の立て直しにも着手していると、秘密の付き合いどころか、会うことさえ難しい。

唯一、寝る前の電話だけが俺たちを繋ぐ毎日の日課。

「明日、早めに仕事終わらせるから、会えるか?」

「明日は用事があるの。
先生たちと懇親会。」

「俺たち、もう2週間もまともに会ってねぇな。」

最後に牧野と会ったのは、仕事終わりに牧野の家へ行き、周辺を軽く散歩しただけ。

「毎日、電話してるでしょ。」

「声だけじゃ足りねぇ。」

本音を言えば、毎日声を聞いているせいか、会いたい気持ちが強くなって逆効果だ。
ガツガツ行くつもりはないけれど、色々男としての欲求は募る。




毎週木曜日の午前は理事長として学園で過ごすと決めた俺。

それを聞きつけた生徒たちで、理事長室の前はごった返している。

校内を歩けば俺の後ろに長蛇の列。
カフェテリアに行けば、すぐに満席になるほど。

少しでも牧野に会うため、学園に来ているはずなのに、声をかける事すら出来ない状態。

ようやく3時間目の授業が始まり、生徒が教室に戻った所で、俺は牧野が授業をしている2階の教室へ足を向けた。

久々に昼間に牧野を見る。
俺と二人でいる時に見せる笑った顔もいいが、こうして教壇に立つ真剣な顔のこいつもいい。

気付かれないように扉に隠れ授業を見ていると、男子生徒が2人前に呼ばれて黒板に英文を書かされている。

牧野はそれをじっと見たあと、
「はい、良くできてます。席に戻って。」
と、声をかけた。

すると、その内の一人の生徒が、牧野の横を通り過ぎたときに、「イエーイ」とハイタッチを求めたあと、あろう事か牧野にハグをしやがった。

「こらっ、ふざけないの。」
牧野が言うと、
教室内で笑いが起こる。

端から見たら楽しい雰囲気の授業かもしれねーけど、俺からしたら完全にアウトだろ。

彼氏の俺でさえハグどころか触れることさえ出来てねーのに、男子生徒が気安く触ってんじゃねーよ。




4時間目が始まるとまた校内は静けさに包まれる。
俺は理事長室を出て、牧野がいる英語科の個室へと向かった。

牧野は4時間目は授業がない。
自室で過ごすはずだ。

牧野の部屋の前まで来ると、静かにドアを鳴らす。

「はい?」
中からあいつの声。

ドアを開けると、コピー機の前で作業をしていた牧野が、俺を見て驚いた顔をする。

「道明寺っ。」
小声で牧野が呼ぶ。
「誰かに見られたらどうすんのよ。」

「授業中だから、誰もいねぇ。」

「なに?なんか用?」

そんな牧野の質問は無視して、牧野のデスクの椅子に座る俺。
すると、牧野もコピーを終え近づいてくる。

牧野の手を取り、その身体をデスクの上に座らせる。牧野が俺を見下ろす形。

じっと見つめる俺に、
「道明寺、誰か来たら困る…。」
と、照れたように視線を反らして言う仕草が堪らなく煽る。

「誰も来ない内に、…しようぜ。」

「え?」

牧野の腕を引き寄せると、俺の膝の上にこいつの身体が落ちてくる。
それを抱き寄せ、久しぶりのキス。

「んっ、…バカ…。」

「牧野、」

「クチュ……んっ、……ダメっ」

「会いたかった。」

「……道明寺ぃ……クチュ」

何度も何度も繰り返すキスに、さすがに俺の身体も反応してきてヤバい。

ようやく牧野を解放すると、
俺から逃げるように離れてブラウスとスカートを手早く直しながら、

「変態っ。」
と、睨んでくる。

「校内でこんな事してっ。」
小声で怒る牧野に言ってやる。

「おまえさー、気をつけろよな。」

「はぁ?何がよっ。」

「男子生徒に気安く触らせてんじゃねーよ。」

「え?」

「さっきの授業。
抱きしめられてただろ。」

「抱きしめ……あー、あれ?
ただのおふざけでしょ。」

こいつは高校生の男がどれだけ獣か分かってねぇ。

「他の男に触られたから、俺が上書きしただけだ。これからは気をつけろよ。」

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たぶん、司くんずっと暴走し続けます笑

コメント

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