シークレット 20

シークレット

今までの触れるだけのキスとは違う。
ゆっくりと押し付け、牧野の唇の感触を味わう内に、初めは緊張から硬かった唇も徐々に柔らかくなってくる。

そうなると、簡単に止めれるはずもなく、
牧野を引き寄せ、更に激しくなる。

「んっ、…道明寺、」

キスの合間に聞こえる小さな抗議も、全て飲み込むように続けると、さすがにジタバタ暴れだすこいつ。

「なんだよ。」

「なんだよじゃないでしょ、バカっ。」

ソファの背もたれに牧野を追い詰め、その上に半ば乗るような形で襲っていた俺に、牧野は潤んだ目で睨んでくる。

「誰か来たらどうすんのよ。」

「来ねーよ。
牧野、もう一回。」

「ダメ…。」

そんな甘い顔で拒否られても煽るだけだろバカ。
そう思いながら再び牧野へ覆いかぶさろうとした時、

「道明寺、ダメ…」
その牧野の声と、
「司?…あんたって人はーーっ!」
という聞き覚えのある声がかぶった。

顔を上げて個室の入り口を見ると、
そこには姉ちゃんの姿が。

キレた顔で俺に突進してきて、得意のパンチで俺の頭を叩きやがる。

「いってぇー。」

「帰国して早々、バーの個室に女の子を連れ込んで何やってんのよ、あんたはっ。」

「姉ちゃんこそ、なんだよ急に。」

「なんだよじゃないわよ。
あたしは仕事でここに来てたの。
駐車場に邸の車があったから運転手に聞いたら、街で女の子を乗せてここに来たって言うじゃない。」

そう言って牧野へ視線を移した姉ちゃんは、牧野をじっと見たあと言った。

「あなた、まさか未成年じゃないわよね?」

姉ちゃんがそういうのも無理ねぇ。
パーカー姿の牧野はかなり幼く見える。

「いえっ、違いますっ。」

「そう、良かった。
街でナンパされてホイホイ付いてきちゃだめよ。」

心配そうに牧野を見る姉ちゃん。

「あ?ナンパ?」

「なによ、違うの?街で声かけて連れてきたんじゃないの?」

「ちげーよ、んなダサいことするかよっ。
こいつはれっきとした俺の彼女だ。」
そう言うと、一瞬考え込んだ姉ちゃんが、
ニヤッと笑い言った。

「どういう事か説明してもらおうかしら〜。」




「牧野つくしちゃん?
なんか聞いたことあるわね。」

改めて、個室に座った俺と牧野と姉ちゃん。
俺が牧野を紹介すると、姉ちゃんがそう言う。

「大学の一期後輩になる、」

「あっ!思い出したわっ!
確か、テストで司から一位の座を奪った子よね?つくしちゃんって変わった名前だから覚えてたのよ。」

「今は英徳高校で英語の教師をしてる。」

「へぇ〜、そうなの。
それで?二人はいつから付き合ってるの?」

ニヤニヤ顔の姉ちゃんがそう聞くと、
牧野が困ったように俺を見た。

「ん?」

「道明寺、ごめん。
付き合う事は出来ない。」

「あ?」

牧野からの予想外の反応に固まる俺。

「英徳の規律を教師が破るわけにはいかないから。」

「また、それかよ。
俺が理事長なんだから、そんな規律どうにでもしてやるよ。」

「そんな簡単なことじゃないの。」

「簡単な事だろ?
俺の事が好きだっておまえ言ったよな?なら、付き合うのが当たり前だろ。また4年前みたいに逃げるのかよ。」

「だって、」

言い合う俺たちを止めたのは、姉ちゃんのドスの利いた声だった。

「二人でごちゃごちゃ言ってないで、あたしにも分かるように説明しなさいっ。」



「なるほどね〜。
生徒同様、教師も恋愛禁止な訳ね。」

「ええ。そうです。
前理事長はかなり厳しい人で、あたしが英徳で働き始めてからの2年で、少なくとも4人の生徒と2人の教師が退学させられて他校に移っています。」

「噂では聞いていたわ。
前理事長がいた3年で、かなり生徒も他校に流失したようで、それで経営も悪化したのよ。
だから、道明寺が助け舟を出したって事は母から聞いたわ。」

「あたしは、退学させられて行った生徒から相談も受けていたのに、助けてあげられなかった。
だから、道明寺が理事長になったからって、自分だけ付き合う事は…、」

牧野のその言葉に、俺は近くにあるソファを思いっきり蹴る。

「司、モノに当たらない!
つくしちゃんの言う事はよく分かるわ。
司が勝手な行動をすれば、つくしちゃんの教師生活も危ういのよ。」

「……分かってる。
けど、じゃあ、どーすんだよ。
4年だぞ?4年も待って、ようやく手に入れたのに、一緒にいる事も出来ねーのかよ。」

お互い好きなのに、付き合うことが出来ないなんて想像もつかねぇ。
牧野を見つめて、思わずその頬に手を伸ばすと、
そんな俺を見て姉ちゃんが言う。

「司がそんな顔するなんてね。
女の子に全く興味がなくて心配してたのに、4年も思い続けていたのね。
見直したわ、司。」

そう言ったあと、姉ちゃんが俺たち二人を見て言った。

「シークレットで付き合うって言うのはどうかしら。」

「…シークレット?」

「そう。
あなた達が付き合っているのは私達だけのトップシークレット。
その間に、司はきちんと学園内の規律を改正する事!
教師だけじゃなく、生徒にも自由恋愛をさせなくちゃ。
英徳は今も昔も、誰もが楽しくて、憧れる学園であるべきよ。」

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